「簡化24式太極拳」の再開

例年になく暖かい秋です。新しい参加者を迎えています。 半年間中断していた太極拳の練習を、基本に立ち返って再開しました。 きょうは、適切な立ち幅を学び、基本的な型を練習し、「正宗太極拳」の型の特徴を理解しました。

異様に暑かった夏がようやく終わったかと思ったのに、11月になっても夏日になる今年の秋です。
夏の間は、冷たいものを飲み、冷房にあたって芯が冷えてしまった体を癒し、気を体じゅうにめぐらすことをしてきました。
この間、嬉しいことに、新しい生徒さんがひとり、ふたりと増えてきました。

基本に立ち返る

11月からは、半年遠ざかっていた太極拳のお稽古が再開しました。
「再開」といっても、一通り習ったはずなのに忘れてしまった人がほとんどで、また、最近参加された方は初めてだということで、基本に戻っての再開です。

先生が繰り返し教えてくれることは、「太極拳は、手を動かしているように見えるが、手は動いていない。足を動かす」ということです。足の動きこそ、太極拳の動きをつくり、コントロールしているのです。

足の間隔を覚えておこう!

私たちが習っている太極拳は、太極拳のなかでも「正宗太極拳」というものです。
太極拳でも、流派によって型がちがいます。両足の間隔の長さも、流派によって異なるそうです。
私たちの場合は、両足の間隔を肩幅にとります。
それは、家の中をふつうに歩いている歩幅です。
きょうのお稽古では、まず、みんなでふつうに室内を歩き回りました。

立つ感覚をおぼえる。

歩幅の間隔が分かったら止まり、手のひらを広げ、両手を前方、胸の高さに出して、円をつくるように丸めます。膝は伸ばさず、軽くまげています。このとき両手のあいだは拳3個分あけます。目は下を見ず、遠くを見ます。ちょうど球を抱く形なので「抱球」という型です。

両足を前後に並べる。

立ったら、左足をかかとを軸にして左へ90度回転させます。次に右足のかかとを左に押し出すように90度回転させます。すると体は、ひとりでに左へ90度向きが変わっています。このとき、両足のあいだは、箒の柄1本分が通っている幅です。
ところで、槍を構える姿勢⇔槍を突く姿勢を思い浮かべていただくと、両者では重心の置き方が違うのが分かるでしょう。
私たちが習っている太極拳の大きな特徴のひとつは、前者の「槍を構える」のように、攻撃を溜めておく型になることです。

なかなか言葉では伝えられません。実際に繰り返し繰り返し、体で間隔を覚えていくものだからでしょう。

気を通す

「簡化24式太極拳」を一通り終えてから

3年がかりで「簡化24式太極拳」を最後まで、なんとか真似をしてみた生徒たちですが、1人でやれと言われても、もちろんできません。
真似することすらむずかしいので、きちんとした形で演じるには、まだまだ程遠い状態です。
それでも先生から、注意するところ、たとえば手の位置や向き、重心の置き方、足先の向き、等々をだんだんに細かく教えていただくと、同じ所作なのに以前と異なる感覚をおぼえます。太極拳の奥深さを垣間見る思いです。
しかも、太極拳の流派によって、歩幅、腕の構え方、重心の置き方などがちがうそうです。

いまお稽古では、縦の腕振りから始まり、横の腕振りまで、ひととおり全員で行ったあと、さらに、気の流れをよくする動きをしています。
手首、腕、肩を順番に、前回りを9回ずつ、後ろ回りも9回ずつ、大きく、ゆっくりまわします。
このとき、膝の屈伸を利用するのがポイントです。3×(9+9) 回動かすので、これだけでも疲れます。
その次は、虎の動き、龍の動きをします。虎の手のようにした両手で爪をたて、前方の(イメージの)壁を、「ヒューウッ」と息を吐きながらひっかき下ろす動作です。

これだけ気を練ると、体の内側が充実し、肩が軽くなります。体中の関節を緩め、気の巡りがよくなってきた証拠です。
この状態から太極拳をはじめると、さらに、いつもと違った動きになります。

含胸抜背(がんきょうばっぱい)

先生が呪文をとなえているようです。
「が・ん・きょ・う・ばっ・ぱ・い
 が・ん・きょ・う・ばっ・ぱ・い」
はじめて耳にする言葉。
聞いているだけでは、どんな意味か、見当がつきません。
先生がタブレットを見せてくれて、ようやく漢字が分かりました。
「含胸抜背」
漢字が分かっても、何のことか分からない。やっぱり、呪文なのか?

が・ん・きょ・う・ばっ・ぱ・い

先生が呪文をとなえているようです。

 が・ん・きょ・う・ばっ・ぱ・い
 が・ん・きょ・う・ばっ・ぱ・い

はじめて耳にする言葉。
聞いているだけでは、どんな意味か、見当がつきません。

先生がタブレットを見せてくれて、ようやく漢字が分かりました。
含胸抜背

漢字が分かっても、何のことか分からない。やっぱり、呪文なのか?

いつも教室では気功をして、関節を隅々までゆるめて、リラックスした体の状態をつくってから、太極拳のお稽古にはいります。
時どき先生は、気功や太極拳のいろいろな動作、それぞれの意味、その動作のほんとうのしかたを、遊びを交えながら説明してくれます。
きょうは、「が・ん・きょ・う・ばっ・ぱ・い」について、説明してくれました。

「正しく立つ」ということ

気功も太極拳も、基本は「立つ」ことです。
正しく立つ、地球に垂直に立つ、天と地とを一直線に立つ、……。
いろいろな表現があります。
私なりに、いま思っている「まっすぐ立つ」という状態を言葉にしてみます。

肩幅よりちょっと広めに足を開きます。
肩の緊張をゆるめ、リラックスします。
両手の合谷(親指と人差し指のあいだ)を両足の体側に接します。
背筋を伸ばし、顎をひき、目線は水平に真っすぐ遠くをぼんやりながめる。
両ひざを軽く曲げ、左右の母指球に重心を置く。
このとき、仙骨がはいって(立って)います。また、へその下のあたりに圧がかかっています。

ふつうに立っているときと比べ、体がかなり前傾している気がして、じっさい、前に倒れそうなかんじがします。でも、これが、「まっすぐ立っている」状態なのです。

実は、立っているという感覚が分かってきたのは、ここ2年ぐらいのことです。気功に初めて接してから四半世紀になります。3年ぐらい、同じ先生の教室に通ったのですが、仕事が忙しくなったことと、教室の場所が変わったことがあって、再び練習を始めたのは3年半前です。その間、ときどき飲み会だけには顔を出していましたが。

四半世紀前からずっと気功、太極拳を続けていたら、どんなに上手になっていたことか、とも思いますが、反面、やっと、気功や太極拳の良さ、すごさを感じられる年になったという気もしています。

含胸抜背は、太極拳の基本姿勢だった

さて、正しく立った状態から、人差指をピンとさせ、指をしっかり伸ばした状態で、肩は緩やかにしたまま肘を軽く曲げ、両手を前に、水平の状態までさし伸ばします。
それから、両掌が向き合う状態に、両手を開き(曲げ)ます。上の写真の両手のようにです。

このとき、前すぎると思うほど、両手を前方に置くことが大切です。
こうすると、両腕が、上の写真の赤線の円弧のようになります。同時に、背もその円弧の一部分になっています。肘から先は、人差指をピンとして、上の写真での青線のように真っすぐを保ちます。

この形が「含胸抜背」です。

含胸抜背の形が決まると、肩や腕を他人から押されても、体はピクリとも動きません。
体がカーっと熱くなってきます。

そして、このときの両腕の形は、太極拳の動作を通じて変化せず、変化するのは重心の移動だけになるのです。

奥深いですね。

今日の結論 (?)

こうして言葉で説明しようとすればするほど、どんどん分かりにくくなってきました。

百聞は一見に如かず、実際にやってみて、身体におぼえさせるのが、いちばんです。

「遊び」のようなことも交えながら、楽しく練習をしています。
興味をもたれたら、練習をのぞきにきてください。事前に連絡をいただければ、見学できます。お気軽にお問い合わせください。

2021年、最後のお稽古

あと数日で、2021年が終わろうとしています。
阿佐谷気功教室のお稽古も、きょうが今年最後のお稽古でした。

先生は簡化二十四式太極拳のお稽古を、年内に一通り終わらせる心づもりだったようですが、私をはじめ、なかなか進歩しない不肖の弟子がいて、残念ながら、それも年を越してしまいます。

あと数日で、2021年が終わろうとしています。
阿佐谷気功教室のお稽古も、きょうが今年最後のお稽古でした。

先生は簡化二十四式太極拳のお稽古を、年内に一通り終わらせる心づもりだったようですが、私をはじめ、なかなか進歩しない不肖の弟子がいて、残念ながら、それも年を越してしまいます。

振り返ると、太極拳の練習を開始してから、早2年が経とうとしています。
2019年の最後のお稽古のとき先生が「来年から、気功のあと、太極拳の練習を始めます」と宣言。
2020年から練習が始まりましたが、そのころ隣国では、隣国政府が情報を隠ぺいしているあいだに新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がり、日本にやってきたクルーズ船の乗客たちはその感染症に冒されていました。ここから緊急事態宣言が発せられ、人と人とのリアルな交流が制限される生活が始まり、太極拳のお稽古も一時期中断を余儀なくされました。
本格的に太極拳の練習を始めたのは、最初の緊急事態宣言が解除されてからでした。

はじめは、重心の移動、足の運びを、ひたすら練習しました。部屋の端から反対の端まで、ひたすら行ったり来たりが練習でした。

同時に、足は動かさず、手の動きだけの練習も、繰り返し繰り返し練習しました。動きの順番、動く形はなんとなく覚えても、先生と同じ動きにはなりません。どこがどうちがうのかも分かりません。

2つの型をなんとなく動かせるようになったら、手と足の動きをいっしょに行います。途端に、わけが分からなくなりました。先生の動きを見ながら真似するだけなのに、足と手の動きがバラバラになっているのです。これに呼吸もつけようとすると、もーっ! 分からない!

こんな繰り返しをなんども練習してきました。

年が明けたら、春までにはいちおう二十四式を最後まで流せるようになりたいと思います。
とは言っても、これは、表面を撫でただけということが、分かるようにはなってきました。

気功も、太極拳も、奥が深い。十年間、一生懸命に練習して、ようやく分かってくる入口にたどりつくぐらいです。

肩を上げない。肩の緊張を緩める。

1. 起勢 (チーシー)
太極拳(簡化二十四式)の最初の型です。
ここがいちばん大事だ、と先生はおっしゃいます。
始める前にスワイショウをして、肩や肘や関節の緊張をほぐしておきます。
姿勢、重心、体の沈み具合。これから行っていく太極拳の動きは、この最初のかたちで決まります。

1. 起勢 (チーシー)

太極拳(簡化二十四式)の最初の型です。
ここがいちばん大事だ、と先生はおっしゃいます。

始める前にスワイショウをして、肩や肘や関節の緊張をほぐしておきます。

姿勢、重心、体の沈み具合 (丹田=へそより少し下のあたりの位置)。これから行っていく太極拳の動きは、この最初のかたちで決まります。

まず、両足をそろえて顎を引き、目線は真正面を見て、背筋を伸ばし、両手は親指と人差し指のあいだにある合谷(ごうこく)を体側(たいそく)にあてて、立ちます。

つぎに、膝を少し曲げ、右足に重心を載せながら、左足を円弧を描くように左向きに回して、両足で立ちます。
仙骨をいれ、両足の母指球に重心を載せて立っています。膝を曲げて体を沈み込む (丹田の位置を下げる) ほど負荷がかかるので、慣れないうちは、膝は軽く曲げた状態でいいです。

この状態から、両手を、前方に差し伸べるような感じでゆっくり、水平に投げ出していきます。

大事なことは、肩に力をいれず、肘は手先よりも上げずに軽く曲げ、 両足の母指球に重心がある状態で、足のふくらはぎに圧がかかっていることが分かります。
正しい位置にあると、両手にジーンとした感覚が生じるかもしれません。

ここで決まった肩と肘の位置、丹田の位置は、これから行う様々な型を通して変わりません。動いているように見えますが、実は、体の重心が変化しているだけなのです。

超簡化8式太極拳について」にある動画をご覧ください。