アンネのバラサポーターズの活動が東京新聞に掲載されました!

<ひと ゆめ みらい>アンネのバラ・サポーターズ代表 鳥生千恵(とりう・ちえ)さん(66)=杉並区

2020年6月8日 06時31分   東京新聞より転載

赤、黄色、ピンク−。五月下旬、杉並区立高井戸中学校の校門をくぐると、多くのバラが出迎えてくれた。「今年は病気にもならず、きれいに咲いたんです」  
同校のシンボル「アンネのバラ」。学校では日本で初めて植えられた。卒業生の親や地域の人でつくる「アンネのバラ・サポーターズ」が、生徒たちと協力して約三百株を育てている。メンバーは約四十人。「生徒たちと、地域の人たちの活動が両輪になって、うまく回っている。多くの人の力があってここまできた」と鳥生さん。  

一九七五年、生徒たちが授業で「アンネの日記」を読み、感想文を文集にした。ボランティアの協力で翻訳してアンネの父オットーさんに贈った。  
交流する中で、バラの存在を知った生徒たちが「平和のシンボルとして校庭に植えたい」とお願いすると、オットーさんから翌年、三株が贈られた。  

多くの人の尽力で大切に育てられてきたが、時間がたつにつれ記憶が薄れ、危機もあった。九〇年代後半、校舎の建て替えで、花壇から鉢植えに移されたときには、事務職員二人が懸命に世話をして守り抜いた。  
そのころ、子どもが在校していた鳥生さん。バラの由来も当初は知らなかったが、世話をしてきた職員二人が同時に異動になったため「枯らすわけにはいかない」と二〇〇四年にPTA会長らとサポーターズを作った。  
生徒たちがバラを世話する委員会もスタート。学校、地域と連携してバラを増やしてきた。要望があった学校や公共施設には株を分け、全国に広がる。  
サポーターズは月二回は集まる。毎年五月と十月に咲くように計画して栽培する。きれいに咲かせるには、枝を切ったり肥料をあげたり、こまやかな手入れが欠かせない。  

開花前は最も忙しい時期だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ緊急事態宣言と重なった。メンバーの伊藤和代さん(65)らが、個別に世話をしてきた。伊藤さんは、同校の用務主事でもあり、宣言下でも校舎を管理する仕事があった。伊藤さんは「最低限しかできなかったけど、今年も花が咲いて良かった」。  宣言が解除され、活動を徐々に再開。鳥生さんは「きれいなバラを見ると、不安なときも笑顔になる。これこそが平和じゃない?みんなの力で残していきたい」と話している。 (三輪喜人)

<アンネのバラ> 第2次世界大戦中にナチス・ドイツによる大量虐殺で、15歳で命を奪われたユダヤ人少女アンネ・フランク。戦後、ベルギーの育種家が、バラを好きだったアンネのために作った。つぼみは赤、咲き始めはオレンジ、ピンク、赤と色が変化する。

東京新聞web <ひと ゆめ みらい>https://www.tokyo-np.co.jp/article/34041?rct=t_news