イントロカフェオンライン ~若者支援を知る~ 開催レポート②

②安心できる居場所がない! ~女性支援の現場から~

イントロカフェは様々なテーマの話を聞き、社会課題や地域活動を知るキッカケの場。スピーカーを招いて、話を聞いたり参加者も含めて話ができる企画です。

11月に3回開催のイントロカフェオンライン、

第2回目は「安心できる居場所がない!~女性支援の現場から~」をテーマに、NPO法人BONDプロジェクト代表の橘ジュンさんにお話を伺いました。

橘さんは、2006年、街頭の女の子の声を伝えるフリーマガジン「VOICES」を創刊。これまで少女たちを中心に3,000人以上に声をかけ、聞いて、伝え続けてきました。2009年、10代20代の生きづらさを抱える女の子を支えるNPO法人BONDプロジェクトを設立。行き場所がなく困っている女の子のために街頭パトロールや自主的に保護するなど、虐待、家出、貧困など様々な困難を一人で抱えてしまう女の子に寄り添う活動を行っています。
当初のスタッフは3人でしたが、今では30人ほどに増え、「動く相談窓口」として、出会いを求め、全国各地を飛び回っています。

【活動のモットー】

聴く  ありのままの声を聴き表現できる場を作る
    (LINE相談、メール相談、電話相談、面談、オンライン面談、
     出張面談、ネットパトロール、街頭パトロール、アンケート)

伝える 女の子の声を知ってもらう
    (フリーマガジン「VOICES」発行、講演会・啓発活動、
     渋谷のラジオパーソナリティー「渋谷の漂流少女たち」)

繋げる 一人一人に見合った支援、大人に繋ぐ
    (弁護士と連携し、他専門機関へ繋ぐ、
     一時保護、同行支援、
     中長期保護、自立生活支援)

【令和2年度の相談件数】

LINE(アクセス件数):46,397・(対応件数):19,308、
メール:10,133、電話:1,331、面談:1,276、保護:988、同行支援:55

学校に行けない、仕事をしたくてもできない状況での相談が多く、LINEでは対応件数がアクセス件数の半分にも満たない状況だったので、対応時間を増やして取り組んでいます。
家で虐待を受けている、学校では家のことを話せないなど行き場がない、公的支援に繋がれない、未成年、身分証がない、お金がない、働けるところがない、公的機関の情報を知らない少女たちは、状況を変えたいと思っても家出しか方法が思いつかず、街を彷徨ったりSNSを利用して居場所を求めたりしています。
そんな行く場所がない少女たちのために「ボンドのイエ」というシェルターをつくり、安心できる生活、生活習慣の獲得、心のケア、つながりを増やす、自立へのサポートを提供して、自分の足で立つ力を後押しています。

実際の事例で、「トー横キッズ」の話もしていただきました。
「トー横キッズ」とは、新宿歌舞伎町にある新宿東宝ビルの周辺に集まる13歳~20歳くらいの少年少女たちのことです。様々な理由で居場所を求める若者が、そこに行けば自分と同じ境遇の子に会えると、SNSを通して全国から集まっています。
そこには子どもたちを狙う大人もいて、売春のあっせん、性被害、誘拐されて軟禁、知り合った者同士が自殺するなどの事件も発生しています。警察も取り締まってはいるのですが、それでも、トー横しか居場所がないという子どもたちが集まってきます。
橘さんは、トー横キッズの少女の一人と繋がり、SNSで毎日のように連絡を取っているそうです。その少女が、「からだ目的以外の人はみんなただ通り過ぎるだけだ、誰も自分たちのことを気にして話しかけてくれない」と言ったそうです。少女の孤独、社会への絶望感を感じ、これからもどうにか関係性を作って安心できる場所を提供していきたいとお話していました。

後半は、橘さんを交えてグループトークを行いました。

同じ世代の子どもを持つ親、地域活動を行っている方、中高校生向けに居場所づくりを行っている方、高齢者分野で働いている方など、それぞれの視点で、何ができるのか話し合いました。

BONDプロジェクトさんの活動を通じて、今起きている若者の現状の一面を学ぶことができました。

【参加者の皆さまの声】

・アウトリーチの重要性はもちろん、聴くことと信頼関係の構築の大切さを感じること ができた。
・テレビなどでBONDプロジェクトさんの活動を見て居場所づくりについて興味があった。目に見えるいつでも出入り自由な場が地域のあちらこちらに必要なのかな?と思った。
・今の現実をもっと多くの人に知ってもらえたら社会は変わっていくのか、共感や助けたいと思う人も多く出てくると思う。一方で騙したり、上手く利用しようと思う人も出てくるかもしれない。また、行政にはどこにいても誰もが同じ支援を受けられるようにすることは急務だと感じた。
・橘さんの「社会のセーフティネットで救えない若者を支援する活動」がテレビで紹介されていたのを見たことがある。今回、直接お話しを聞いて、より関心が深まった。

BONDプロジェクトさんのHPはこちら
https://bondproject.jp/

すぎなみ協働プラザでは、『あなたの「気になる」をちょっと身近に』をキーワードに、ニュースやSNSで流れてくる社会課題や地域課題で皆さんと共に関心を深めてみる、「気になる」を「知識」に変えてみようというチャレンジの場「イントロカフェ」を開催しています。

次回もお楽しみに!