【ステップアップ講座】「笑って学ぶ実践的クラウドファンディング講座~100万円を目指した資金調達方法~」開催レポート

2025年10月31日に、【ステップアップ講座】「笑って学ぶ実践的クラウドファンディング講座~100万円を目指した資金調達方法~」を開催しました。

(※クラウドファンディング:インターネットを通して不特定多数の人々から少額ずつ資金を集める方法)

すぎなみ協働プラザでは毎年団体の資金調達についての講座を開催しています。方法のひとつとしてクラウドファンディング(以下クラファン)がありますが、挑戦してみたけれど思うようにいかなかった、気にはなっているけれど挑戦には至らない、などの団体からの声がありました。
今回はそんないろいろなクラファンへの疑問に応え、団体活動の役に立ててもらえるよう講座を開催しました。

開催当日は、あいにくの雨にも関わらず多くの方に参加いただきました。
講師には、これまでもステップアップ講座でお世話になった山田心さん(東京おもちゃ美術館館長、認定NPO法人芸術と遊び創造協会理事)と、ゲストに武内剛さん(芸人:ぶらっくさむらい、株式会社ぶらっくかんぱにー代表)をお迎えしました。山田さんはこれまでに多くのクラファンに関わってこられ、ファンドレイジング大賞も受賞されています。武内さんは三度のクラファンに挑戦し成功されています。
まずは「クラファンとは?」というところから山田さんに説明いただき、その後のお二人の体験談で「クラファンの成功とは」に繋がるお話をじっくりとお聞きしました。

山田さんが所属されているおもちゃ美術館では、いろいろな取り組みをされています。おもちゃで遊ぶということだけではなく、地域との関係を築き、美術館へ参加するカタチを作ってこられた体験をお話しされました。その際にクラファンを利用し、一度寄附をして終わりではなく、継続的な来場につながったという事例を上げられました。それは、寄附による「特典」です。二つのパーツに分かれる木製プレートを作成し、名前入りのものは美術館へ飾られ、もう一方は寄附者に贈られます。美術館に足を運ぶことでそのパーツがひとつになり完成する仕組みです。

講師:山田心さん
ゲスト:武内剛さん

後半は、武内さんの三度のクラファン挑戦、体験談を詳しくお聞きしました。
武内さんは一度目は3、4ヶ月の準備期間を経て、「父親探しの旅」の映画制作のための資金集めとして挑戦されました。
最終的に目標額に達成しましたが、待っているだけではとても達成には至りませんでした。多くの人に対象のプロジェクトを知ってもらうために、常に最新の情報を発信することも必要です。武内さんは、一人でも多くの寄附者を募るべく毎日SNSを使って、プロジェクトの紹介動画や記事、チラシを駅前で配布している様子なども配信したとお話されました。

その後二度目は映画配給のために、、三度目は映画をもとにした書籍出版のために、とクラファン挑戦をされています。

寄附をお願いするだけではなく、これまでのことと、これからの思い描いているストーリーを伝え、思いを可視化し、何よりも地道に声がけを続けることが達成につながるとお話されました。また上記のおもちゃ美術館の事例のように、寄附の「特典」には活動に一緒に参加したいと思わせる、背中を押してくれる、「体験型」の特典を設定することもできます。単に返礼品として「物」を贈るのではなく、参加したと感じる体験型の特典はお金を寄附したことで終わりではなく、今後の活動への参加応援にも繋がります。山田さんが行ったクラファンでは寄附者とつながり、寄附者からの提案により、おもちゃ美術館を、入院中の子どもに楽しんでもらうために移動おもちゃ美術館という活動をされたという経験もあったそうです。

最後に山田さんから「クラファンの成功とは何か」というお話がありました。
「クラファンでプロジェクトを発信することによって、この活動が大事だと思ってくれた人がいた。仲間が増えた結果、人の支援が広がりお金も集まった。目標額達成で得られたのはお金だけではないのです。寄附をした支援者がその後の活動にも参加してくれることが何より大きな成功です」
と話されていました。

参加者からの声
・講師の取り組みからたくさんのヒントをいただき、お二人のかけあいを楽しみながら、具体的なコツを伺えました。
・解説が非常にわかりやすく、具体的な話と論理的な話の両方が聞けました。
・発信し続けることの大切さを改めて感じました。
・どのような準備をし、どのような情報発信をすればよいのかの(“の”は要らない?)感覚がつかめました。また、クラウドファンディング以外の資金調達方法も示唆いただき勉強になりました。
・ファンドレイジングについて効果的な技術ばかり追ってしまい基盤の部分の理解に欠けていたので今回の講座でだいぶ整流化しました。

今回の講座が団体活動の助けになりましたら幸いです。今後もすぎなみ協働プラザは団体活動に役立つ講座を開催していきますので、地域活動団体の皆さまはぜひご参加下さい。

東京おもちゃ美術館:https://art-play.or.jp/ttm/

武内剛さんInstagram:

https://www.instagram.com/black_samurai50?igsh=eGV3bzRmM3Q1Zm8w

文責:有馬 写真:有川

【イントロカフェ】落語で考える それが差別と解っちゃいるが なぜか男女で差をつける 開催レポート

【イントロカフェ】とは、身近にある「ちょっと気になる」をテーマに深掘りして考える講座です。今回も杉並区区民生活部管理課男女共同・犯罪被害者支援係との協働事業として「落語で考える ~それが差別と解っちゃいるが なぜか男女で差をつける~」を令和7年9月27日に区役所で開催しました。

「男性だから」「女性だから」と意識しているつもりはないのに、日常会話の中などで男女差別的な発言をしてしまう方は多いのではないかと思います。落語を楽しみながら、差別につながる「無意識の偏り(アンコンシャス・バイアス)」について考える機会にしようと講座を企画しました。

講師は、落語と歌を通じてジェンダー平等を伝える活動を続けている 千金亭値千金(せんきんてい あたいせんきん)さんをお呼びしました。1987年から2022年まで埼玉県鶴ヶ島市職員として勤務し、その間に男女共同参画を担当。趣味の落語鑑賞を活かして創作落語を始め、これまでに18本の作品を創作、254回の口演を行い、1万人以上に伝えている方です。

講座のはじめは、アイドルグループのヒット曲を替え歌にした「ガラスの天井を割れ!」の歌から始まりました。女性の昇進を妨げる「ガラスの天井」を割っていこうという替え歌です。

つぎに創作落語『あんこんしゃす・ばいあす』を披露しました。
「無意識の偏り(アンコンシャス・バイアス)」を考える落語で、終了後には台本が配布され、講座後も振り返りができるようになっていました。

ミニ講座「15秒で言える男女共同参画」では、ホワイトボードに男女共同参画の目的・目標・手段が穴埋め問題のように書かれており、穴の空いた部分を皆に問いかけ、埋めていきながら講義をしました。性差別をなくし人権を実現することや、性別による役割を押し付けないこと=ジェンダー・ハラスメントを無くすことについて、わかりやすく解説いただきました。

最後に、人気アニメの主題歌の替え歌「思惑がいっぱい」を講師が歌い、職場の男女差別について問い直しました。

当日は満席御礼となり、笑いあり歌ありの盛りだくさんの講座となりました。

参加者の方からは
「替え歌や落語が楽しくてわかりやすかった」
「ホワイトボードの説明が理解しやすかった」
「改めて男女共同参画について考える機会になった」
「性差別が多かった世代なので、当時を思い出すきっかけになった」
「無意識の偏りは男女共同参画以外の場面にもあると思う」

などの様々な感想をいただきました。

今回の講座は、歌と落語という親しみやすい切り口から、無意識の偏りや男女共同参画を考える貴重な機会となりました。参加者からも共感の声が寄せられて、男女共同参画について理解が深まった時間でした。

写真・文責:大久保

ゆるプラ(2025/10/21開催) 開催レポート

2024年4月に開始した「ゆるプラ」。閉館後に地域の「ちょっと気になる」を持ち寄って、闇鍋的に、ゆるっと皆で話しあい、聴きあう場です。開始してから2年半が経ち、今回のゆるプラでは、遊び心満載の、ちょっとした工夫をしてみました。

「何が出てくるかわからない、闇鍋的なお話会」がゆるプラのコンセプトです。特にテーマはなく、身の回りや地域で、ちょっと気になったことや知りたいこと、、、なんでも持ち寄って“ゆるく”話し、聴き合います。

「闇鍋なら、鍋を用意しなきゃ!」という雑談の中からうまれた、参加者の一声をきっかけに、ついに本物の鍋を用意してみました。

鍋の中には、「お題」が書かれた紙が仕込まれています。これを一人ひとりがひいて、その「お題」に沿って話を展開していくという進め方でした。

この日の参加者は、7名。年代、職業や活動内容も様々。中には、つい先日杉並に引っ越してきたばかりの方にも参加いただき、今までで一番ユニークな集まりだったかもしれません。そんな集まりだからこそ、新たな視点や繋がりが生まれてほしいと願いながら、会を進めていきました。

闇鍋のお題は、「実は〇〇です」「最近発見したもの、こと」「熱中していること」「気になっている流行りのもの」「左隣の人の良いところを3つ」「向かいの人との共通点3つ」「最近、楽しかったこと」「やってみたいこと」など、何が出るかワクワクドキドキしながら紙を引いて和気あいあいと話をする姿をみて、この遊び心たっぷりの仕掛けに良い手ごたえを感じ、話が弾む様子に嬉しくなりました。

不登校や引きこもりなどの地域課題も話題に上がり、様々な視点から意見を聞くこともできました。

間もなくハロウィンということで、バルーンアートでかぼちゃを作り、その中に飴を入れてお土産にお持ち帰りいただきました。手作りの素朴なお土産でしたが、予想以上に皆さんに喜んで頂けたことが、プラザにとって大きな収穫となりました。

参加者からは、

・ゆるプラが楽しみで毎回出たいと思っている。

・いろいろな意見を聞け、地域に生かすことができてよかった。

と、うれしい声を聞くことができました。

これからもゆるプラで皆さんの関心ごとを聞いて、色んな視点の考えを聞き、新たな気づきや繋がりが生まれたり、何かが生まれなくても皆さんの居場所になれればと感じています。

文責・写真 大庭

ゆるプラの開催日程は毎月上旬~中旬にこちらのページでご案内しています
 ➨ ゆるプラ 気軽に話しに来ませんか?

ゆるプラが取材を受け、記事になり紹介されました。
 ➨ すぎなみ協働プラザ主催「ゆるプラ」の意義と魅力

【ステップアップ講座】個人情報管理講座 (オンライン連続2回講座) 開催レポート

2025年7月、2回に渡り、杉並区内のNPOや地域活動団体向けに「個人情報管理講座」をオンラインで開催しました。

「個人情報」と聞くと、どこか遠い話のように感じる方もいるかもしれません。しかし、NPOや地域活動団体が日々の活動の中で取り扱っている名簿や申込書、写真、メールのやりとり。それら一つひとつが、実は個人情報と密接に関わっています。昨今では地域活動団体のみならず、町会やPTAも個人情報についてはアンテナを張っているものの、正しい扱い方が分からないという悩みもあるようです。そんな皆様に、個人情報について正しく理解し取り扱ってほしいと願い、企画しました。

今回の講座を通じて、

・個人情報保護法の基本用語や具体的な事例を団体内で説明できるようになること
・会員や職員全員が個人情報管理を意識し、管理の徹底を行うこと

を目指して開催しました。

講師には、特定非営利活動法人 情報公開クリアリングハウスの三木由希子氏を迎え、個人情報にまつわる基本から、具体的な対応の方法、そして「組織としてどう向き合うか」まで、じっくりと学びを深める時間となりました。

■ 「なんとなくやっていた」を見直す機会に

1回目の講座では、「個人情報とは何か?」という根本的な問いからスタート。個人情報保護法の基本や、NPOが特に注意すべきポイント(利用目的の明示、安全管理義務、第三者提供の定義など)について、わかりやすく整理しながら説明してもらいました。

また、マイナンバーの取り扱いの話では、制度上の注意点だけでなく、「マイナンバーと一緒に管理されている情報は、一般の個人情報とは別の規制がされている」という視点に、参加者の多くがハッとさせられた様子でした。

■ 「守る」だけでなく「つくる」ステップへ

2回目では、前回の復習に加え、個人情報が漏えいしてしまった場合の対応や事例も紹介してもらいました。「漏えいしたらどうなるか?」という視点を持つことで、「そもそもどう防ぐか?」という具体策にも説得力が増します。

また、2022年の法改正で追加された内容や、プライバシーポリシー作成のポイント、団体としてルールを整える方法まで、実践的な内容が続きました。

特に印象的だったのは、「まず、現状把握から始めよう」という講師の言葉です。すぐに完璧な体制を整えるのではなく、自分たちの団体では今どんな情報を扱っていて、誰が責任者か、どんなルールが必要なのか。一歩ずつ整理していくことの大切さを教えられました。

事後アンケートで参加者からは、

「先生の話がとてもわかりやすく、具体例も参考になりました。配慮しすぎるくらいでちょうどいいという言葉が印象に残りました」

「講座を受けて、個人情報への向き合い方に枠組みができた気がします」

「団体として、どんなルールや体制が必要か、整理できました」

との声をいただきました。

■ 「個人情報を大切に扱うこと」は、信頼を守ること

地域活動の現場では、「相手との信頼関係」が何よりの土台になります。個人情報を丁寧に扱うことは、まさにその信頼を守る行動のひとつです。 今回の講座に参加できなかった団体の皆さまも、自分たちの団体にとって必要なルールや体制について、団体内で話し合ってみませんか?まずは「どんな情報を扱っているか」を見える化することから、次の一歩が始まります。

すぎなみ協働プラザでも、個人情報管理の徹底につとめていくことをスタッフ全員が改めて再確認できた講座となりました。

特定非営利活動法人 情報公開クリアリングハウス HP

文責:大庭

【ステップアップ講座】“通る”助成金申請書を作ろう! 開催レポート

2025年6月30日(月)に、杉並区立産業商工会館展示場で、【ステップアップ講座】「“通る”助成金申請書を作ろう!」を開催しました。

講師には、一般財団法人リタ市民アセット財団副理事長の奥田裕之氏をお招きしました。

奥田氏の前職は認定NPO法人まちぽっと事務局長で、NPO法人へ融資をするNPOバンク、助成をする市民ファンドの立ち上げ・運営、市民社会に関する調査や実践、国等への政策提案、被災地支援、特定非営利活動促進法の成立過程アーカイブ作成などを行っていました。
現在は、一般財団法人リタ市民アセット財団副理事長の他にも、未来バンク理事、公益財団法人ひょうごコミュニティ財団研究員、立教大大学院専任講師など多くの場面でご活躍されています。

今回の助成金講座では、助成金の概要は分かっていても助成金申請をすると申請が通らないという団体のために、実際に申請書に記入するワークを取り入れました。

初めに、講師から助成金についてわかりやすくお話ししていただきました。
市民活動、NPO法人と資金の関係の説明から始まり、団体に合った助成金の選び方、選考者側の視点、助成金の探し方などの内容でした。
杉並区の助成金事業である、NPO活動資金助成、まちづくり助成制度、地域福祉活動費助成も例に取り上げていただき、地域性、分野、対象の違い等、それぞれの特徴の説明もありました。

次に、すぎなみ協働プラザで作成した架空の助成金の募集要項を確認し、その申請書の記入例を発表、その後に奥田氏よりその内容の修正箇所を指摘してもらいました。この申請書の記入例は、間違えやすいところをより分かりやすくするため、あえて間違った記載をしていました。参加者の方は、真剣にメモを取っていました。

記入例の説明の後は、実際に参加者に申請書の記入をしてもらい、記入が終わった方から、奥田氏が個別に添削、修正をしました。少人数の参加のため一人ひとりに丁寧に対応していただくことができ、中身の濃いワークになりました。

参加者からは、
・申請書の書き方についてコツが少しわかりました。マンツーマンで教えていただきありがとうございました。
・NPO法人の特色と助成金申請のポイントを知ることができました。 
との声をいただきました。

奥田氏からは、
「募集要項はルールブックです。必ず熟読してください。
選考者側は、お金を提供することで助成プログラムの目的が達成されるか、事業は発展するか、知りたいことが書かれているのかを見ます。なぜその事業が必要なのか、なぜその団体が行うのか、事業で団体や社会はどうなるのか、具体的に何を行うのか、事業を遂行する能力はあるかなどストーリーが見えること、整合性が取れていることが重要です。
申請書を書く時は、一人で書くのではなく、必ずメンバーにも見てもらう、複数人の目で確認すること、誰が見てもわかるように書くことが大切です。」
とコメントをいただきました。

今回の講座が、皆さまの団体の助成金申請に少しでもお役に立てたら幸いです!

文責・写真:椎野