労務コラム⑭ 教えて梶谷先生

事業場における労働関連用語の一考察
私たちが『働いている』上で、よく見たり聞いたりする用語があります。当たり前のことと看過せず、ちょっぴりその中身を考えてみると意外な発見があるかもしれません。

第14回:雇用調整助成金等について


 『喉元過ぎれば熱さ忘れる』という諺がありますが、新型コロナが猛威をふるったころ、毎日のように報道でも採り上げられていた雇用調整助成金という公金の名は、ほとんど聞かなくなりました。コロナが原因で社員に出勤しないよう命じざるを得なかった事業所が多くありました。行政や事業所の命令で休業を命じたわけですから、従業員には休業手当の補償をしなければなりません。その時に大活躍したのがこの雇用調整助成金でした。多くの事業所はこの公的給付のおかげで従業員の雇用を守れたのです。

現実の実務はすさまじいものでした。緊急事態の続発に助成金のルールも頻繁に変わっていきました。労働局の助成金センターは毎日長蛇の列。詰め寄られた女性職員が泣き出してしまった場面にも遭遇しました。私は延べ1000人分ほどの雇用調整助成金申請をしましたが、あまりの目まぐるしさに頭がおかしくなってしまいそうでした。

助成金というのは基本的に雇用保険で徴収したお金から拠出されるのですが、このとき国は約五兆円あった国庫をこの雇用調整助成金で使ったそうです。なくなったものは補填しなければなりません。翌年の雇用保険料率が労使合算で6/1000から15.5/1000になりました。雇用保険の収入は保険料率を1/1000調整すれば2000億円ほど収入を上げられるそうですので、2026年の現在ではほぼ国庫は回復したのでしょうね。振り返ってみれば未曽有の緊急事態にも日本の労働社会は耐えうる力を持っていたわけで、そういう点では日本という国はたいしたものだと思いました。

今回は雇用保険を使った助成金として、雇用調整助成金の話をしましたが、それ以外にも有期労働契約者を正社員にしたときに申請できる『キャリアアップ助成金』や、社員の賃金を上げて且つ設備投資などをしたときに申請できる『業務改善助成金』等、知っていれば使える多くの助成金がありますので、皆さまもぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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