団体訪問 NPO法人Sign-サイン-『水鉄砲大作戦』(NPO活動資金助成事業)

NPO法人サインは令和6年度杉並区NPO活動資金の助成金を受託し、夏休みに子ども向けのイベントを3つ開催しました。そのうちの最後のイベントである『水鉄砲大作戦★2024』にお伺いしてきました。

開催日の8月29日は台風の心配がありましたが、なんとか天気は持ち、『水鉄砲大作戦』を予定通りに校庭で行うことが出来ました。

『水鉄砲大作戦』は2本立てで行われました。1回戦は、校庭のトラックの中と外から他の子どもや先生方が水鉄砲で妨害するなか、障害物競走で校庭のトラックを一周しリレーをする競技。

2回戦は小学生チームと中学生・先生チームの対戦です。先生は小学生のしっぽを取ったら勝ち、小学生は中学生と先生が持っているポイを破ったら勝ち。軍配は…どちらも良い勝負だったようです。ずぶ濡れになりながらも、世代や立場の違うみんなが笑顔で楽しめる素敵なイベントでした。

 

校内では荻窪地域で居場所つくりや地域の活性化の活動に取り組んでいるOgiLoveさんによる駄菓子屋がオープンしていました。

お店で子どもたちはみんな首からスタンプカードを下げています。お話を伺うと

「参加費を事前に徴収していて、駄菓子屋で200円使えるカードを渡しています。たくさん並んでいる駄菓子の中から子どもたちは200円分の商品を選ぶことができます。買った金額分、スタンプカードにチェックがつくので、あといくら使えるかカードを見ながら買わなければいけなく、自然と計算の勉強にもなるんです」と仰っていました。

駄菓子屋さんでは杉六小OB・OGの中学生が売り子をしており、参加者が支援者になっていく好循環が生まれていました。

校門付近では、小学生の通学時、放課後などでの児童の安全・見守りなどをしている「ご近所付き合い広目隊」の皆さんがかき氷を振舞ってくれました。

子どもたちは美味しそうにかき氷を食べていて、ここでも多世代交流がされていました。

大成功の楽しいイベントですが、サインの小山内さんから課題について伺うと次のようなお話が聞けました。

「今回の参加者は杉並第六小の生徒がほとんどでした。地域に住んでいる他の小学生にも周知したいけれど、今の区立小学校はネットでの周知が主流で、拡散しすぎて参加者が増えてしまった場合、安全の確保やボランティアの人数不足などで、開催が難しくなるということもあり、どこまでの周知が適切なのかが手探り状態です」とのことでした。

ただ、イベントとしての魅力は絶大で、今回駄菓子部門をOgiLoveさん、かき氷部門をご近所付き合い広目隊が担っていて、他の地域団体を巻き込んでのイベントは理想的だと感じました。またOB・OGや保護者、教員などが地域に関心を持ち、支援者が増えていくことは間違いないと思います。

学校でも、学校支援本部でもないNPO団体が学校という場所を使用してイベントを行うには、様々なハードルもありますが、学校長含め教員や地域団体がサポートに回りイベントを成功させて、地域を明るくしようという気概の見えた、真夏にぴったりのイベントでした。

特定非営利活動法人Signサイン
公式WEBサイト:https://sign-ibasho.org/
Instagram:https://www.instagram.com/nposign

OgiLove
公式サイト:https://ogilove.com/

文責・写真 大久保・有川

団体訪問 楽学倶楽部『てらこや』(NPO活動資金助成事業)

今年の1月にも訪問させていただきましたが、今回は令和6年度NPO 活動資金助成事業となった「てらこや」を見学するために、2024年8月21日(水)楽学倶楽部に再度訪問してきました。

この「てらこや」は、荻窪地域区民センターで、毎月2回、15:30~17:30まで開催しています。学童クラブになじめない、家に閉じこもりがちな子どもたちを対象とした「居場所づくり」と「学習支援」を目的としています。異なる学校の子ども達が安心して勉強したり遊んだりする環境を提供することで、学習支援だけではなく子ども同士の新しいつながりによる社会性の向上を目指しています。

 
西田小学校と桃井第二小学校の1年生から4年生の子どもたち12名が登録していて、当日は子どもの参加人数は9名。夏休みの宿題や、「てらこや」で用意した学習プリントや家から持ってきた塾の宿題やドリルなどに取り組んでいました。わからない問題があると、手を上げて先生を呼びます。先生は、子どもたちが理解するまで、マンツーマンで丁寧に教えていました。一人の先生に15分ほど質問攻めにしている子どももいました。ある子どもが「『てらこや』って何?」と聞くと、他の子どもが優しく答えている様子も見られ、微笑ましく感じました。勉強の途中で水分補給の声かけ、休憩時間にはジュースやお菓子の配布があり、とても和気あいあいとして和やかな雰囲気でした。

お迎えに来た保護者の方にお話を伺いました。
・型にはまってなく、自由なところがあるので通いやすい。うちの子どもの場合は、毎週だと嫌になってしまうので、月2回の開催がちょうど良い。

子ども達にもお話を聞きました。
・お友だちに会えるので楽しい。
・先生が優しい。

代表の中澤さんにお話を伺いました。
以前は違う場所でも活動していたが、コロナのため中断していました。
昨年、保護者の方から、緩やかな学習の機会と居場所に関する要望を受けて、2023年4月に活動を再開しました。
学習内容は、各自の持ち込みの他に、「てらこや」が作成している算数の文章問題を用意しており、算数と文章力理解という両面の学習ができるようになっています。
テーブルの配置は毎回同じではなく、様々なレイアウトで児童を迎えることで、飽きさせず楽しく学習できるよう工夫しています。
取り組んで良かったことは、小学生と交流することで、自身の人生が豊かになったこと。また、今は困っていることはなく、メンバー全員が楽しく活動しています。会社の定年が伸び、地域に帰ってくる後任人材は75歳以上なので、メンバー絶賛募集中です!と仰っていました。
11月から、荻窪地域区民センターが改修工事に入るため、会場を荻窪地域の中道寺の会議室をお借りするとのこと。区民センターにいる間に、映画上映会を行いたい、来年度からは英語を教えたいと企画が次々と出ていて、これからの活動も楽しみです。

以前使用していた
「杉並区NPO支援基金助成事業」
の旗を、今回、リメイクしました。

※「らくがく(楽学)・てらこや」の情報は、2024年8月現在のものです。最新の情報については団体に直接お問い合わせください。
楽学倶楽部
https://www.sugi-chiiki.com/rakugaku/

訪問・記録:小林(淳)・椎野
文責・写真:椎野

団体訪問 NPO法人杉並冒険あそびの会『子どもプレーパーク事業』杉並冒険遊び場☆のびっぱひろっぱ

2024年7月24日(水)、NPO法人杉並冒険あそびの会を団体訪問しました。この日は、杉並区から『子どもプレーパーク事業』として受託しているプレーパーク=冒険遊び場(杉並冒険遊び場☆のびっぱひろっぱ)を、井草森公園で開催していました。
冒険遊び場とは、すべての子どもが自由に遊ぶことを保障する場所であり、子どもは遊ぶことで自ら育つという認識のもと、子どもと地域と共につくり続けていく、屋外の遊び場です。言い換えるなら、子どもを遊ばせてあげる場所ではなく、子ども自身の『遊びたい』を出来る場所と言えます。具体的には、普段の遊びの中ではなかなか出来ないたき火等の火遊び、木を使ってのロープ遊具、ベーゴマ、投げごま等の昔遊び、大工道具を使った木工作などいろいろな遊びを出来る用意があります。普段しない、あるいはなれない遊びが多いので、危ない事もあります。そのために、プレーパークの専門家=プレーリーダーや団体のスタッフがいて、子どもと一緒に遊びながら、様子を見守っています。キーワードは『自分の責任で自由に遊ぶ』『けがと弁当は自分持ち』です。参加費は無し、年齢制限も無し、出入りの時間制限も無しといつでも自由に参加が出来ます。

冒険遊び場の開催時間は午前10時から午後4時まで。この日は朝から蒸し暑かったのですが、たくさんの乳幼児が、お父さん・お母さんと一緒に遊びに来ていました。

まずは、受付で、冒険遊び場の趣旨や遊び方などの説明を受けます。その後は、子どもも大人も自由です。用意している遊びだけでなく、自分で考えて遊びを作ることも出来ます。また、何もしたくなかったら、何もしなくてもOK。それもまた自由なのです。

またこの日は、井草森児童館の子どもたちが、夏休みの館外活動で、児童館の先生と一緒に遊びに来ていました。実際に、たき火にくべる薪をノコギリで切ったり、薪を焚火にくべたり、大きなシャボン玉を作ったり、木材で自分の好きなものを作ったりなど、いつもと違った遊びを思う存分楽しんでいました。水遊びでは、服が濡れたり、汚れたりするのも構わず、楽しそうに遊んでいました。公園は子どもの笑顔と楽しい声でいっぱいでした。

スタッフのお仕事の合間に、副代表理事の吉田さんに活動のきっかけをお聞きしました。

ご自身のきっかけは、子どもと区立公園に遊びに行ったときに、うるさいから静かに遊ぶようにと近所の方に怒られてびっくりし、さらに『静かに遊びましょう』と書かれた公園の看板に驚いたという出来事にありました。そこで杉並区に電話で聞いたところ、「公園に隣接する住民の要望からこのようになったので、守ってください」と回答を受け、子どもたちが大声を出して、思いっきり遊べる場所を作りたいと思ったのが最初のきっかけでした。その後、世田谷区でやっていたプレーパークの活動を知り、杉並区でも出来ないかと始めたのが活動につながったそうです。

活動の始めの頃、杉並区ボランティアセンターと社会教育主事に相談し、まず仲間づくりから始めました。タイミング良く、民間助成金をもらえるチャンスがあり実際の活動を開始しました。助成金頼みの活動は、毎年資金繰りに苦労しました。後に杉並区の協働提案事業を経て、区の委託事業となり現在に至ったそうです。今でも、各方面に相談に乗ってもらいながら、運営を続けているとお話をもらいました。

現在、課題に感じていることは、後継者を育てていくこと、とのことです。活動開始後、20年以上になり、全体的なスタッフの高齢化が進んでいます。本当は子育て世代の方にも、加わってもらいたいと考えていますが、サービスは受ける物という感覚が強い、また、共働きの世帯が増えるなど、親自身が忙しいなどの事情があり、なかなか運営者として加わってくれる人は少ないそうです。参加者としてだけでなく、一緒になって運営していきたいとおっしゃっていました。

たまたま、訪問当日に、学生時代、ボランティアとして参加していた方が、結婚し、お子さんを連れて遊びに来ていました。スタッフと仲良く写真を撮ったりしながら、昔を懐かしんでいました。また、子どもの時に遊びに来ていた子どもが大学生や大人になって、再び訪れ、中にはボランティアとして参加してくれることもあるそうです。活動を続けていて、とてもうれしい瞬間だとお話しされていました。

子どもたちが年齢に応じた冒険遊びを展開できる環境を提供し、子どもの自発性、自主性、創造性を育んでいくことを目的として活動している「杉並冒険あそびの会」の活動を応援していきたくなりました。

特定非営利活動法人杉並冒険あそびの会

公式WEBサイト:https://nobippa.org/

Facebook:https://www.facebook.com/nobippa/

Instagram:https://www.instagram.com/nobippa/

文責・写真 椎野
校閲 NPO法人杉並冒険あそびの会

団体訪問 DANKAIプロジェクト「自習を中心とした学習室と子ども食堂(みんなの食堂ルンルン)」

2024年6月5日(水)NPO法人DANKAIプロジェクトを団体訪問しました。

これまでは、主に武蔵野市で活動していましたが、団体副理事長の藤澤さんが杉並でも活動したいとのことでご自宅を使い毎週水曜日に「自習を中心とした学習室と子ども食堂(みんなの食堂ルンルン)」を始めました。
2019年から始めようと思っていたそうですが、コロナの影響で2021年から本格的に活動をスタートしました。

訪問した日の放課後は近くの小学生(6名)がきて、各々が持ち寄った宿題を自分のペースで始めました。それをボランティアの大学生(2名)が勉強のサポートをする形式でした。ボランティアは毎回2名ずつ交代で参加する仕組みになっているようです。近隣の東京女子大学や団体理事長の栗田さんが教鞭をとっていた亜細亜大学の学生がボランティアとして来ています。

コロナ禍という大変な中でのスタートでしたが、活動は保護者、学生ボランティアや調理ボランティアの方々、そして子どもたちにも支えられて活動を続けられているそうです。食材は農林水産省や杉並区社会福祉協議会、むすびえや他団体などからの寄付でお肉以外は賄えるようになっていて、地域に支えられて活動を続けられているとのことでした。
学びの時間を終えると大学生と子どもたちが共にゲームを行う時間もあり、参加した子どもたちはとても楽しそうに過ごしていました。

学習が終わり夕飯の時間。「みんなのルンルン食堂」のスタートです。

献立は食中毒予防のためもあって、カレーが中心で、藤澤さんと調理ボランティア2名程度で調理にあたっています。

私たちも子どもたちと一緒に、お肉と野菜がたくさん入ったカレーをとても美味しく頂きました。

食材はお肉以外のものは充実しているとのことですが、保管方法には苦慮されていて、現在は大きな保管庫のある他団体に預かってもらい、定期的にそこから食材を運んでいるとのことでした。特に夏場の食材保管は大変なようで課題のひとつと仰っていました。

この日は誕生日会も兼ねていて、誕生日の子には参加している皆からの寄せ書きや、保護者からの手づくりシフォンケーキがあり子どもたちは盛り上がり、みんな大満足でした。

食事中、子どもも大人も楽しそうにお話しながら食べる姿は地域の多世代交流の憩いの場としてとても有用で、充実している場になっていると感じました。初めて訪問させていただいたにも関わらず、子どもたちは気さくにいろんな話をしてくれて、そういう「人懐っこさ」は大人と子どもが一緒の時間を過ごす中で身に付いたものなのかと思いました。

学習支援に子ども食堂、多世代での交流の場。「自習を中心とした学習室と子ども食堂(みんなの食堂ルンルン)」は、子どもたちにとって貴重な体験を学べる場所でした。

文責・写真 有川

団体訪問 NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou「赤ちゃんカフェ」

2024年5月22日、荻窪・西荻窪エリアで地域に根差した子育て支援をしているNPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou(以下、シュシュ)の事業の1つである「赤ちゃんカフェ」にお邪魔してきました。

子育てひろばchouchou外観

「赤ちゃんカフェ」は毎週水曜日9:00‐11:00に開催。子育て経験豊富なシュシュのスタッフが見守る中、ゆったりと過ごしていただきながら、同じ0歳児を持つ家族同士、子育てについて語り合ったり、情報交換したりする場となっています。

見学した日は10:00からゲスト講師を招いて講座も開催されました。今回は靴職人の内山知子さんによる「足と靴の話」で、ファーストシューズは生後何か月頃に履かせたらよいか、良い靴の選び方とは、赤ちゃんの足の成長のためにすると良いことは、などを教えてくれました。

靴職人の内山知子さん

講座はお母さんと赤ちゃんが場所に慣れた頃にゆるりとスタートし、赤ちゃんがグズリ始める前の30分くらいでお話が終わるように工夫されていました。

講師が持参した沢山の種類の靴を実際に触って、靴の素材や質感を確認

次回以降の赤ちゃんカフェでは「お口のお話」「リトミック講座」「栄養相談」「マネーセミナー」などの講座を予定しているそうです。またゲスト講師をお呼びせず、パパママの育児相談の日やスタッフによる手遊びという日もあるそうです。予約は不要で、当日ふらりと行ける気軽さも魅力のひとつです。定員は10名ほどで3名のスタッフで対応しています。コロナ時はドリンクの提供を中止していましたが、5類に移行した昨年5月以降はドリンク提供を再開しています。

木のおもちゃや、職員手作りのおもちゃが大人気

利用者に話を聞くと
・近所に住んでいて、居場所検索をしたら見つかった
・児童館と併用していて、シュシュに来ない日は児童館に行っている
・子育て応援券がなかなか減らないので、応援券が使えるのが嬉しい
との声があり、シュシュさんは地域の子育て場、親子の居場所となっているようです。

シュシュさんより
『シュシュでは、ほっとリラックスできる時間と空間の提供を目指しています。シュシュに関わるみなさんが笑顔になることが私たちの目指すものでもあり、やりがいでもあります。赤ちゃんカフェではパパとママと両方で連れ添ってくることもあります。気軽に育児相談、栄養相談にきてください。ぜひ出産前の妊婦さんにこそ来ていただきたいです。いろんな月齢の赤ちゃんがきているので、リアルな子育ての様子を肌で感じてもらいたい』とのことです。

シュシュでは赤ちゃんカフェのほか、一時預かりの「ひととき保育上荻」、乳幼児を持つ方や妊娠中の方々がいつでもふらっと立ち寄りができる「つどいの広場上荻」、シュシュが出張してくれる「プチシュシュ(出張ひろば)」、などの子育て支援をしています。「プチシュシュ(出張ひろば)」は、シュシュから少し離れた杉並区の地域の方々にも、シュシュのあたたかい「ひろば」の空間を楽しんでいただきたくて、出張しています。

また、地域のお餅つき大会や区民センターまつり、すぎなみフェスタなどで役割を担い、地域との関わりを大切にしている団体です。

2022年には樹保育園(上荻3-22-13)も開園し、成長を続けています。今後の展開も楽しみなシュシュさんでした。

2022年に開園した樹保育園

※開催日時や場所は、2024年6月時点での情報です。詳しくは団体ホームページ等でご確認ください。

■NPO法人すぎなみ子育てひろば chouchou(シュシュ)ホームページはこちらhttps://chouchou-suginami.com/

■赤ちゃんカフェ
https://chouchou-suginami.com/oyakono-hiroba/babies-cafe/

■NPO法人すぎなみ子育てひろば chouchou(シュシュ)
〒167-0043 東京都杉並区上荻3-26-14 ドミトリー上荻Ⅱ 201
 電話 : 03-3395-0135    FAX : 03-6913-5271

【アクセス】
JR/東京メトロ荻窪駅北口より関東バスか西武バスで「八丁」バス停下車徒歩1分
JR西荻窪駅北口より関東バスで「八丁」バス停下車徒歩2分

文責・写真 大久保