団体訪問 NPO法人すぎなみムーサ・杉並区立郷土博物館「節分」

2024年2月3日(土)、杉並区立郷土博物館(以下、郷土博物館)での年中行事の1つ「節分」にお邪魔してきました。このイベントは郷土博物館内の古民家にて毎年2月に開催されています。

この日は、お天気も良く、到着した10分前には、既に多くのお客さんで賑わっていました。子ども連れの方が多かった中で、ふらっと古民家を見学に来た人たちもいて、古民家の造りを目を凝らして見たり、囲炉裏の火に暖を取る姿も見られました。

節分の会場となっている古民家は、NPO法人すぎなみムーサ(以下、すぎなみムーサ)が囲炉裏の火入れなどの維持管理を受託しています。すぎなみムーサは、杉並区の郷土の歴史や文化を調査・研究して区民参加の展示などの発信も行っている団体です。今回は、郷土博物館とすぎなみムーサの許可を得て見聞をさせていただきました。

14:00、節分イベントの開催の時間となりました。
まず最初は、すぎなみ昔話紙芝居一座「すかい」による紙芝居口演です。杉並区にまつわる民話をもとにした2つの紙芝居は、子どもにも大人にも人気で、読み手の工夫を凝らした読み方に、笑い声が聞こえてきました。

古民家の中から紙芝居を口演し、観覧する来場者

次に郷土博物館の学芸員・金子さんによる「節分のお話」がありました。
なぜ「やいかがし」(焼いた鰯の頭を柊の枝に刺したもの)を家の戸口に飾るなど、古くからの風習を丁寧に分かりやすく教えてくれました。初めて目にする「やいかがし」に、子どもたちは目を丸くして眺めていました。

本物の鰯を使って作ったやいかがしに子どもたちはくぎづけに。

いよいよ、お待ちかねの豆まきのスタートです。家長が最初に豆を撒くという風習に倣って、郷土博物館の牛山館長により、最初の豆が撒かれました。そのあと、来場者の豆まきのスタートです。郷土博物館とすぎなみムーサのスタッフ数名が折り紙の箱に入った豆を来場者に配りました。

豆は手作りの箱に入れられ、「かわいい!」と子どもたちは大興奮!

「福は内!」と大きな声をあげながら豆を撒いていると、古民家の裏手から、金棒を持った赤鬼と黒鬼が登場!子どもたちは、びっくりして泣き出したり鬼に向かって一生懸命に豆を投げたり、大人も童心にかえって豆まきをしている姿がとても印象的でした。

鬼は迫力満点!
金棒を持つ鬼にあとずさりしながらも「福は内!」と言いながら一生懸命豆を撒く子どもたち

豆まきが終わると、来場者は古民家に上がって、鬼のお面づくりをしたり、囲炉裏で竹の筒を使って火種を吹かせてもらったり、昔の石臼で粉ひき体験、てんびんぼうで肥桶を担いだりするなど、昔の暮らしを体験していました。

囲炉裏、肥桶、石臼などを実際に触ってみて、昔の暮らしを体験する子どもたち

この古民家は、下井草5丁目から移築復原されました。建築は寛政年間(1789-1801)頃とされており、230年以上も前の家屋です。江戸時代の平均的な本百姓の家屋で、当時の農民生活の様相を知ることができます。土間には、かまどと石臼などが置かれ、天井を見上げると、緩やかに曲がった梁があり、とても趣があります。

この日の囲炉裏番の日下部さん(すぎなみムーサ)
すすがついた釜戸は当時の暮らしをリアルに伝えてくれる
今でも立派に機能する石臼

古民家の囲炉裏は、すぎなみムーサのスタッフが一年を通して、交代で火の番をしています。この日は5人のスタッフが囲炉裏番や、豆まきの豆を配ったり、古民家の説明等をしていました。囲炉裏は、土日祝日のみ火を焚いていて(※)、最近では、古民家や、囲炉裏を目当てに外国人の観光客が来ることもあり、少しずつ海外の方にも口コミが広まっているとのことです。また、この囲炉裏の前で朗読する動画を撮りたい、と言う方が訪れ、数十分撮影をし、後日YouTubeに載ったこともあったそうです。
すぎなみムーサのスタッフの方が、「この古民家の素晴らしさを、できるだけ多くの人に知ってもらいたい。囲炉裏の火をたいて、皆様のお越しを待っています!」とお話をしてくださいました。

(※)夏場、囲炉裏の火は、熱中症予防の観点から暑さ指数31以上の場合は中止しています。

博物館は、古民家以外にも見どころがたくさんあります。まず、入り口に構える長屋門(旧井口家住宅長屋門)は、宮前5丁目の五日市街道沿いにあった江戸時代後期の建物を、移設復原したものです。門をくぐり裏側の蔵屋に杉並の養蚕に関わる道具などを展示しています。

長屋門(旧井口家住宅長屋門)
中に入り間近で見物も可能

本館は、一階の常設展示室と特別展示室、二階の会議室、視聴覚室、昭和の暮らしの展示で構成されています(※)。また、昔の杉並区の白黒写真からは、「こんなものがあったんだ!」「昔はこうなっていたんだ!」と、時空を超えて杉並区の新しい発見をすることができます。
(※)パネル展示の内容は変わることがあります。

昔の杉並区へタイムスリップできる展示物の数々

博物館の周辺には、都立和田堀公園を始め、大宮八幡宮、松ノ木遺跡などの見どころもあります。
善福寺川沿いの公園でピクニックがてら、杉並区立郷土博物館までお散歩に出かけてみませんか?

■すぎなみムーサ ホームページ
https://member.sugi-chiiki.com/172/

■杉並区立郷土博物館の年中行事
https://www.city.suginami.tokyo.jp/histmus/1092833.html

■杉並区立郷土博物館(本館)
https://www.city.suginami.tokyo.jp/histmus/

〒168-0061 東京都杉並区大宮1丁目20番8号
電話:03-3317-0841
アクセス:
【バス(京王・関東バス)】
JR中央・総武線「高円寺駅」または東京メトロ丸ノ内線「新高円寺駅」⇔京王井の頭線「永福町駅」間
「都立和田堀公園」停留所 下車 徒歩5分
【徒歩】
京王井の頭線「永福町駅」北口より 徒歩15分
歩き方の詳しいご案内は以下ページをご参照ください。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/histmus/1009059.html

文責・写真:大庭

団体訪問 楽学俱楽部

2024年、1回目の団体訪問は、楽学俱楽部でした。

楽学倶楽部は、2023年4月に設立され、荻窪地域区民センターの集会室を借りて、子どもの学習支援と居場所づくりとして「らくがく(楽学)・てらこや」(以下てらこや)を月に2回開催しています。

16時頃に訪問すると、9名の子どもたちが、学習に取り組んでいました。

子どもたちはここに来ると、まず学校の宿題から始めます。その後に、てらこやが用意したドリルに進みます。てらこやの開催時間は15:30頃から17:30頃までと、長時間なので、途中でおやつ休憩を挟みます。子どもたちはそれぞれのペースで学習を進めることができ、講師は一人ひとりに丁寧に個別指導をしています。代表の中澤一郎さんは、子どもたちの学習方法として、「自分で考えることが大切」と話し、考えさせながら答えを導き出す手助けをしているとのことでした。


子どもたちは近隣にある、桃井第二小学校と西田小学校の1~4年生が対象なので、顔見知りの仲間でもあります。時々、話に花が咲いて賑やかになりすぎると、講師がうまく勉強へ誘導します。しかし、低学年ですから、途中で集中力が途切れてしまう子もいます。立ち上がり、遊び始めた数名の子どもたちを、勉強を続けている子の邪魔にならないように、講師の一人が、廊下に誘い、とても楽しそうに上手に気分転換をしている様子が印象的で、子どもたちと講師の信頼関係を見ることができました。

通常、生徒は10名程度で、講師は三人、日によってはボランティア講師が1人加わるそうです。代表の中澤さんも講師として子どもたちに学習指導をしています。中澤さんは、「学習支援に留まらず、子どもたちの居場所作りも目的の一つ。これからも、このてらこやの事業をはじめ、できる形でたくさんの社会貢献をしていきたい」と話します。

2月には近くの田端神社で開催される節分の豆まきイベントに子どもたちを連れて出かけるそうです。地域との交流にも力を入れている楽学倶楽部のこれからの活躍が楽しみです。

「らくがく(楽学)てらこや」の会場となっている杉並区立荻窪地域区民センター

※「らくがく(楽学)・てらこや」の情報は、2024年1月現在のものです。最新の情報については団体に直接お問い合わせください。
https://www.sugi-chiiki.com/rakugaku/

文責・写真:大庭

団体訪問 コミュニティふらっと方南
(受託業者:NPO法人 さらプロジェクト)内覧会参加レポート

2023年12月19日、NPO法人さらプロジェクトが運営する (以下さらプロジェクト)「コミュニティふらっと方南」の内覧会に伺いました。

さらプロジェクトは、活動の一つに、ゆうゆう館※1を、杉並区から運営管理業務を受託しています。
2006年4月より「ゆうゆう四宮館」(2015年3月末運営終了)、2007年4月より「ゆうゆう高井戸東館」、2008年4月より「ゆうゆう下井草館」(2018年3月末運営終了)、2015年4月から 「ゆうゆう方南館」、2018年4月より「ゆうゆう西荻北館」各館の施設管理及び協働事業の運営を実施しています。

上記の中の「ゆうゆう方南館」が2023年11月末をもって閉館、その後に開館される「杉並区立コミュニティふらっと方南」を、さらプロジェクトが引き続き運営することになりました。

「杉並区立コミュニティふらっと方南」は、地域の幅広い世代の方の交流の場になるよう、旧方南区民集会所を改修し、整備されたということで、今回訪問をしました。
地下1階から地上3階までの建物で、エレベーターが設置、各階にトイレが有り、2階には授乳室があり、駐輪場も設置されています。


グループ活動ができる集会室や、音楽・体育利用を始め幅広い活動ができる多目的ルーム、ひとりで過ごす時間にも仲間が集う時間にも活用できるラウンジを備えた、誰でもふらっ、と立ち寄れる施設です。

1階のラウンジは、予約なしで利用することができ、窓側のテーブルにはコンセントが設置、Wi-Fiも利用可能です!ちょっとした打合せはもちろん、読書や勉強、友人との歓談など様々な利用ができます。

外装はほぼそのまま利用、内装は、吸音設備や二重窓の設置、机や椅子の設備など、全てきれいにリフォームされていました。環状七号線沿いの建物ですが、自動車の走行音はほとんど気になりませんでした。

高齢者の方から乳幼児連れの方まで幅広く活用できるよう配慮されていて、世代を超えて交流・つながりが生まれる場所になると思いました。

開館日は2024年1月5日(金)、墨絵教室や筋トレ&ストレッチなど、たくさんのプログラムが用意されています!
2024年1月21日(日)には、『コミュニティふらっと方南オープン祭り』が開催されます。
ふらっ、と素敵な場所「コミュニティふらっと方南」に皆さまも行ってみませんか?

◇コミュニティふらっと方南
施設案内 コミュニティふらっと方南|杉並区公式ホームページ (city.suginami.tokyo.jp)
住所:杉並区方南1丁目27番8号
電話:03-3322-4225
利用時間:9:00-21:00
休館日:第1・第3水曜日、年末年始(12月28日から1月4日)
交通アクセス
丸ノ内線「方南町」徒歩12分
京王線「代田橋」徒歩15分
都営バス(新宿駅西口・新代田間、宿91)、都営バス・京王バス(阿佐ケ谷・渋谷間、渋66)「和泉一丁目」下車徒歩1分

◇NPO法人さらプロジェクトHP
https://www.sara-project.or.jp/

※1ゆうゆう館は、杉並区にお住いの60歳以上の方が、健康増進、教養の向上、介護予防、生きがい支援の場として利用できる高齢者の「生涯現役」を応援する杉並区の施設です。
地域へのお役立ち拠点として、自立した人生を送れるコミュニティの場となるべく、各種の講習会やイベントを区との協働事業も行っています。

文責:椎野 写真:椎野、中野

団体訪問 NPO法人まちの塾freebee(NPO支援基金助成事業)

令和5年11月17日、NPO法人まちの塾freebee (以下フリービー)を訪問させていただきました。

「勉強の仕方がわからない」「経済的に有料塾に通えない」「不登校で学習が遅れている」など、様々な理由で学習に不安を抱える子どもたちをサポートするために、無料の学習教室を開いています。

フリービーは助成金や寄附によって運営されており、今年度は杉並区NPO活動資金助成を受けて、教育経験のある地域の社会人が中高生を対象に日頃の学習課題・定期テスト・入試・英検受験のサポートをしています。

現在は、毎週金曜日19時から高円寺北区民集会所にて教室を開催し、12~3人の中•高生が学習しています。訪問した日にも自習をしたり、ボランティア講師の方とマンツーマンで学習している様子が見られました。

こちらの高円寺教室に来ているのは、高円寺周辺の子ども達が多いとのことですが、最近は西荻地域でも教室がスタートしたそうです。こちらは区内の子ども食堂ネットワークとの連携から始まった教室です。「寺子屋子ども勉強会」として、まちナカ・コミュニティ西荻みなみにて毎週月曜日19時から開催されています。

NPO法人フリービー代表 木村裕子さん

代表の木村さんに今の困り事をお聞きしたところ、教室会場にWi-Fiが無いということ。今の時代タブレット学習が進み、学校の課題提出にもインターネットは欠かせません。学習がスムーズに進むためにも会場として使用している区内施設のインターネット環境の整備をお願いしたいとおっしゃっていました。

また、地域の連携ができるネットワーク作りができないか、というお話を伺いました。教室の子ども達に近くの子ども食堂を紹介したり、西荻の教室がスタートに至ったのは他団体からの声がけがあったからです。個々の繋がりに留まらず、広い区内の団体連携の仕組みができることで、どこに何が必要か、そのための場所は確保できるのか等の情報共有ができることになるのではないか、子どもをサポートできる範囲がより一層広がると感じていらっしゃいます。

昨今、ますます子どもへのサポートが必要になっています。フリービーだけでなく、子どものサポートに尽力されている団体の活動を応援し、すぎなみ協働プラザではこれからも団体の声を発信していきたいと思っています。

※開催日や時間は、2023年11月現在のものです。変更となる可能性がありますので、詳細は下記HPをご確認ください。

NPO法人まちの塾freebee https://machinojuku.com/

まちナカ・コミュニティ西荻みなみhttps://nishiogi-machinaka.org/

文責・写真:有馬

団体訪問 杉並区集団給食研究会

2023年10月9日、杉並区集団給食研究会の取材で荻窪タウンセブンに行ってきました。

杉並区集団給食研究会(以下研究会)は、区内の病院、事務所、介護施設、学校、幼稚園、保育園等に給食を提供している施設(健康増進法21条に基づく特定給食施設)が喫食者(利用者)の健康づくりを目指し情報交換や学習等を行う「食の専門家」の組織です。区民の健康的な食生活を応援するために「みんなの栄養展」を1975年より開催し、時代に沿ってメタボリックシンドローム対策や介護予防・フレイル・食育に関するテーマで健康づくりを応援しています。

この日、研究会は、杉並保健所の依頼を受けて、「タウンセブン秋まつり」に参加し、杉並保健所のブースとして「『食』を学ぼうスタンプラリー」を行っていました。

「つりゲーム」「やさいはかり」「まめつかみ」「食の安全クイズ」の4コーナーを廻ると景品がもらえます。研究会の方々は、「つりゲーム」を担当していました。主食、主菜、副菜の中から自分の好きなものを一つずつ釣り竿で釣って、トレーに乗せて献立を完成させていくゲームです。参加していた子どもたちは、自分の好きなメニューを楽しそうに釣っていました。

「やさいはかり」は、一日に必要な野菜の量を実際に計りに乗せてピタリを当てるゲームです。10歳以上は1日に350g必要なのですが、実際の野菜の量を知ることができて勉強になりました。

「まめつかみ」は、一定の時間内に何粒箸で違うお椀に移動できるか競うゲームです。
「食の安全クイズ」は、食中毒予防ポイントなどをクイズにしていました。
この日のお天気は、あいにくの雨でしたが、どのコーナーも、小さなお子さま連れのご家族など大勢の方々で賑わっていました。

スタンプラリーを廻ると、エコバッグや野菜のレシピが載っている冊子などたくさんの資料がもらえます。どのレシピも美味しそうで、さっそく料理に挑戦してみようと思いました!

杉並区集団給食研究会の代表の金子攻さんにお話を伺いました。
金子さんは、救世軍ブース記念病院の栄養課に勤務されているかたわら、研究会の代表も務められています。この研究会は、杉並区内で給食を提供する施設で働いている方々が、悩みごとの相談や情報共有、また勉強会を開催して、食に関する情報を区民の方々に提供する目的で作られたそうです。杉並保健所の研修とは別に、食事や衛生面をテーマとした勉強会を行っていて、以前は、食品工場の見学にも行っていたそうです。今年のタウンセブンの秋まつりは4年ぶりの開催で、やっとできるようになって良かったと仰っていました。コロナ禍以前は、栄養相談コーナーなども設置して今年より大きな規模で行っていたそうです。

最近のお困りごとは、人手不足でシフトを考えるのが難しいことだそうです。
学校給食は昼食だけですが、病院、介護施設、保育園などは、朝・昼・夕の3食を用意しなければなりません。「食」は、生きていくためになくてはならない大事なものですから、1食でも欠かすことはできません。栄養面、人員、材料のコストなどを考えながらの毎日で大変だそうです。でも、今日のようなイベントで、食の大切さを区民の方々に伝えることができ、また、来てくださった方々に喜んでもらえるのはとても嬉しいので、これからも頑張っていきたいと仰っていました。

杉並区民の「食」を応援している杉並区集団給食研究会の皆さま、これからも給食をどうぞよろしくお願い致します!そして益々のご活躍を応援いたします!

(左)杉並区集団給食研究会代表の金子攻さん

杉並区集団給食研究会 |すぎなみ地域コム (sugi-chiiki.com)

文責・写真:椎野