ワークサポート杉並 職場実習 実施レポート

すぎなみ協働プラザ(以下プラザ)では、毎年ワークサポート杉並を通じて、障害のある方の就労体験の場として職場実習生を受け入れています。

実習生と、事前にしっかりと面談を行い目標を立てて、2025年9月19日に実習を行いました。この日の実習内容は事務作業です。プラザ職員と一緒に、区内文書交換便用の封筒づくりと、講座ポスターを大判印刷しました。区内文書交換便とは、自治体自らが文書の搬送を行う制度です。まずは交換便の封筒に貼る宛名ラベルをリソグラフで印刷しました。実習生にとってリソグラフ印刷は初めての経験でしたが、職員と一緒に手順を確認しながら作業を進めました。

職員とともにコミュニケーションを取りながら作業をする実習生

その後は、印刷した宛名ラベルを封筒に貼り、さらに蓋の部分を養生テープで補強します。実習生はとても手際がよく、しかも丁寧に作業してくれました。おしゃべりを交えながらの作業は和やかで、職員も一緒に楽しむことができました。

続いて取り組んだのは、プラザ主催講座の掲示用ポスターの大判印刷です。今回はパソコンが得意な実習生ということで、実際にデータを操作しながらA2サイズに拡大して印刷してもらいました。

「こんなに簡単に大きなポスターが印刷できるんですね!」と驚く実習生

大判印刷の使い方にはコツがあり、うまくいかないこともあるのですが、実習生はスムーズに操作をこなし、2枚を完成させてくれました。通常のコピー機よりも大きな機械音とともに印刷機から出てくる迫力あるポスターに、驚いた様子を見せていました。

最後は、ワークサポート杉並の職員の方も交えて実習の振り返りをしました。
実習生からは
「前日は緊張していたが、職場の雰囲気が和やかで安心して取り組めた。事前に立てた目標も達成できて嬉しい。リソグラフや大判印刷など、初めての体験もできて良かった」
と、前向きな感想が寄せられました。

プラザでの職場実習が、今後の就職に向けた自信や意欲の一歩につながることを願っています。

文責・写真:大庭・椎野

ステップアップ講座「地域活動に活かす生成AI活用講座」(全3回連続講座)

AIを「自分よりも優れたコンシェルジュ」として使える環境が整ってきました。この講座では、AIに初めて触れる方でも安心して学べるよう、段階的に理解を深める構成で、生成AIの基本から実践的な活用法までを習得します。
AIはあくまで“手段”であり、“目的”を持つことが大切。まずはAIに触れてみませんか。それが、今後の活動を大きく変える一歩になるかもしれません。

【講座メニュー(全3回)】
第1回:生成AIって何?を学ぶ
 ChatGPTやGeminiなど、生成AIの基本機能や使い方、無料・有料版の違いなどを実際に触れながら学びます。
第2回:様々な種類のAIを触ってみよう
 画像生成、企画書作成、デザインなど、目的別のAIツールも体験。使い分けのヒントを得られます。
第3回:AIを使って課題に挑戦+フィードバック
 実際の活動・業務に活かせるテーマをAIで試し、講師から個別フィードバックを受けます。ご自身の目的に合ったAI活用法を習得できる、実践的な回です。

※講座のワークを進めるため、AIサービス(ChatGPTやGeminiなど)のアカウントを作成し、利用規約に同意いただく必要があります。

●日時:
(1)令和7年11月13日(木)18:00~20:00
(2)令和7年11月20日(木)18:00~20:00
(3)令和7年12月4日(木)18:00~20:00
●場所:産業商工会館 すぎなみ協働プラザ内交流コーナー(杉並区阿佐谷南3-2-19)
●対象:
・杉並区内で活動しているNPO法人や地域団体の方
・生成AIを活用してみたい方
・PC操作ができる方、ご自身のPCを持参できる方 ※タブレット、スマートフォンは不可
●講師:西植 弘(にしうえ ひろむ)氏(デジタルハリウッド横浜校講師、慶應義塾大学SFC研究所 所員)
●定員:12名(1団体2名まで・申込順)
●持ち物:パソコン ※タブレット、スマートフォンは不可
●参加費:無料

●申込方法

お申込みは左記の二次元コードを読み取るか、メールにて以下の必要事項をご入力の上、お申込みください。
宛先:sanka@nposupport.jp
・氏名(ふりがな)
・メールアドレス
・団体名
・年代
『質問事項』
⑴Googleアカウントの有無
⑵日常的なPCの使用の有無
⑶生成AIを使ってどのような業務に生かしたいですか?

「てらこや」楽学倶楽部 訪問レポート

2025年9月10日(水)
【令和7年度杉並区NPO活動資金助成事業】

令和7年度杉並区NPO活動資金助成を受けた、楽学倶楽部が主催する「てらこや」を訪問してきました。

てらこやは地域の子どもの学習支援と居場所として、荻窪地域の小学生を対象に、月2回水曜日に開催しています。これまで荻窪地域区民センターで実施されていましたが、施設の改修工事のため、昨年12月からは近くの中道寺で開催しています。

楽学倶楽部は昨年度に引き続き助成を受けており、前年度の算数の学習支援に加えて、今年は新しく英語学習が始まりました。英語のプログラムでは英語教師だった方を講師に迎え、英語で挨拶をしたり、歌に合わせて体を動かしたり、カード遊びやアルファベットビンゴをしたりと、みんなで楽しみながら英語にチャレンジしていました。

英語のプログラムに参加せず「今日は宿題をやる!」と自分の勉強に取り組む子もいます。そんなときもスタッフは子どもの選択を尊重します。やりたいことに集中しつつ、カリキュラムの英語の書き取りやビンゴにも参加する…そんな自由でのびのびした雰囲気が「てらこや」の魅力です。

訪問した日は残暑が厳しかったのですが、暑さ対策も万全で、エアコンに加え、お寺の扇風機と保護者の方から寄付していただいたサーキュレーターが稼働しており、快適に過ごせる工夫がされています。水分補給も忘れずに飲み物も準備され、安心して学べる環境が整っていました。最後は恒例のお菓子タイム。お家で食べてもらうようにしていますが、お友達とお菓子を交換するのも楽しみのひとつのようです。

この日は、近隣小学校3校、1年生~5年生の12人の子どもたちが参加。学年別でグループになっていて、違う学校の子ども同士、自然とコミュニケーションをとっています。主催者の中澤さんが算数の講師、英語講師とボランティアさんを含めた大人5人が、しっかりと子どもたちの学習を見守ってくれていました。中澤さんにお話を伺うと、参加者もボランティア登録者も昨年より増えているそうで、人の輪が広がっているようです。

学習が終わってから、1月はカルタ作り、5月は兜の折り紙、7月は七夕飾りと、季節の日本文化も採り入れています。学習支援や居場所としてだけでなく、地域の高齢の人と小学生の親子が自然につながれる場になっていて、大人も子どももとてもイキイキしていたのが印象的でした。

「学び」と「安心」と「つながり」が詰まったてらこや。今後も地域に根差した活動が楽しみな訪問となりました。

楽学倶楽部さんの情報はこちらから
https://www.sugi-chiiki.com/rakugaku
*参加については団体にお問合せください。

NPO支援基金について
https://www.city.suginami.tokyo.jp/kurashi/chiiki/npo/kikin/index.html

写真・文責:大久保

団体訪問 「平和=自分ごと?」Forum2050杉並区ワークショップ(NPO活動資金助成)

2025年8月24日(日)
【令和7年度杉並区NPO活動資金助成事業】

令和7年度杉並区NPO活動資金の助成を受けた、特定非営利活動法人Forum2050(以下、Forum2050)にお伺いしてきました。

Forum2050は、日本を含む世界の人々、とりわけ子どもたちがつながって互いに他を思いやるようになったら世界はどのように変わるでしょうか?という問いを立て、国境・言語・文化・宗教の違いを超えて、平和な未来を共に創っていこうという想いを育むことができるように、そのきっかけをつくるために活動をしています。

令和7年度杉並区NPO活動資金助成金事業の「『平和=自分ごと?』Forum2050杉並区ワークショップ」は、世界では平和があたりまえではない今、「平和」を自分のこととして考えるきっかけとなってほしいという趣旨のもと、ワイム貸会議室荻窪で、午前の部と午後の部の2回、開催されました。

参加した午前の部の参加者は28名(スタッフ11名含む)でした。そして、子どものスタッフの司会で、メンバーの自己紹介から始まりました。


第一部:みんなで考える材料を共有しよう
初めにForum2050の戸田代表から、活動を始めてまだ2年あまりだが、これまで7,000人を超える子どもたちと平和な未来を共創することの大切さについて対話してきたこと、また自治体やJICA(※1)などと連携し日本の子どもたちが、ルワンダ共和国、バングラデシュ人民共和国、ジョージア共和国など海外の国々とつながって交流する活動を支えているなど活動報告がありました。

次にForum2050が独自にカンボジア王国とバングラデシュ人民共和国で作成した動画を観て、両国の子どもたちが、未来の世界に向かってどのような想いを抱いているかについて知りました。

その後、関係者として参加していた杉並区在住のウクライナ国民のイゴールさん(日本ウクライナ協会KRAIANY副理事長)のお話を聞きました。平和を守ることの大切さ、失われた平和を取り戻すことの困難さを知ることができました。

第二部:みんなで話し合ってみよう
第二部では、2つのグループに分かれて、
①平和な未来を創ることを自分ごととして考えていますか?
②どうすれば世界の子どもたちが、平和な未来を創ることを自分ごととして考えられるようになると思いますか?
について自分たちの意見、想いを共有し話し合いました。
・平和を自分ごととして考えているかどうかわからない。でも、このイベントに参加したことが考えるきっかけとなった。
・戦争については学校の授業では勉強するが、日々の生活の中でイメージがわかない。
・平和について話すことに恥ずかしさがあったが、対話をしているうちにあらためて考えることができた。
・大切な人がいること、自分以外の人について思いやる気持ちを持つことが、平和を自分ごととして考える初めの一歩になるのではと思った。
・まずは世界について知ることが必要だと思った。
・受け入れる(精神的・物理的)ということがすごく難しい。
・ニュースを見ても遠い世界の話だと感じてしまう、何をすればいいか分からず、行動に移せない。
・自分が実際に危険なことを(戦争など)経験しないと考えることが難しいと思った。
などたくさんの意見、想いを共有しました。

平和という難しいテーマではありましたが、子どもから大人まで、世代を超えて率直な意見交換ができました。
そして何より未来を担う子どもたち自身が、このイベントを進行し、堂々と自分の意見を発表していることが素敵だなと思えるイベントでした。

最後に戸田代表は、「今、平和だから何もしなくてもよいという考えではなく、今ある平和は先人の多くの方々の努力により享受している、それを維持するために私たちも努力をしていかなければならない。このイベントだけで具体的に世界が平和になるとは思っていない。でも、続けていくこと、つながっていくこと、つみあげていくことが大切だと思う。」と仰っていました。

Forum2050の今後の活動がとても楽しみです。

※本事業は、杉並区NPO支援基金を原資としたNPO活動資金助成の採択事業です。
NPO支援基金については下記URLをご覧ください。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/kurashi/chiiki/npo/kikin/index.html

特定非営利活動法人Forum2050のホームページはこちらからご覧いただけます。
https://forum2050.com

(※1)JICAとは
独立行政法人国際協力機構(JICA/ジャイカ)は、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っています。
JICA/ジャイカはJapan International Cooperation Agencyの略称です。
https://www.jica.go.jp/about

文責・写真 椎野

「次世代グローカルリーダー育成プログラム」訪問レポート

【令和 7年度 NPO 活動資金助成事業】
令和 7 年度杉並区 NPO 活動資金助成を受けたNPO法人みんなの進路委員会が主催する「次世代グローカルリーダー育成プログラム」。


これは杉並区在住または在学する中高生が社会の課題について学び、自分たちで企画したワークショップを小学生に届けるというユニークなプログラムです。
グローカルとは、global(地球規模の)とlocal(地域的な)を合わせた語で、地域性を考慮しながら、地球規模の視点で考え、行動すること。(大辞泉より)
このプログラムの3日間の事業のうち、1日目の8月21日、ワークショップデザインを学ぶ時間にお邪魔しました。

この日の会場は、高円寺氷川神社。午前中、「気候変動」「子どもの権利」「ろう(聴覚障害)」「アイヌ文化」の各テーマについての学習を終えた31名の中高生たちが、和気あいあいとした雰囲気で午後のワークショップに臨んでいました。参加者の約3分の2が高校生とのこと。これから始まる学びへの期待が表情から伝わってきます。

ワークショップデザインの講師の方のもと、学生たちは「ワークショップデザイン」と「ファシリテーション」について、座学ではなく、実践を通して学んでいきます。

例えば、「○○といえば?」というお題。学生たちは4〜5人のチームで輪になって座り、「夏といえば?」「友達といえば?」「子どもが好きなご飯のおかずは?」といった質問にそれぞれが答えを書いて、一斉に見せ合います。全員の答えが揃った時には大きな盛り上がりを見せ、互いの答えを覗き合って一人ひとり答えを教えあっていました。

そんな楽しいワークを終えた後、講師はこう問いかけます。
「(おかずの質問で)全員同じ答え『ハンバーグ』でも、皆の頭の中のハンバーグは違うよね」。

この言葉に参加者たちははっとした表情になり、真剣なまなざしで講師の話に耳を傾けていました。言葉の上では同じでも、その背景にある認識や体験は人それぞれ違うという、コミュニケーションの奥深さを学ぶ貴重な時間。参加者の真剣な眼差しがとても印象的でした。

この日、参加者たちは頭と体、そして心を使ってワークショップの基礎を学びました。この学びが、小学生向けのワークショップでどのように活かされるのか、想像するだけでワクワクします。

なお、このプログラムは3日間にわたって開催され、2日目にはこの日学んだことを活かして企画を考案し、最終日の3日目には、近隣の児童館で小学生向けにワークショップを実践したそうです。

NPO法人みんなの進路委員会が、次世代を担う若者たちの主体性と創造性を育むために企画したプログラム。参加した中高生たちがこの経験を通して、どんな未来を描いていくのか、今後がとても楽しみです。

※本事業は、杉並区NPO支援基金を原資としたNPO活動資金助成の採択事業です。
NPO支援基金については下記URLをご覧ください。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/kurashi/chiiki/npo/kikin/index.html

NPO法人みんなの進路委員会のホームページはこちらからご覧いただけます。
https://minnanoshinro.com/

写真・文責:山口