【団体訪問】映画でペルーを旅する~音楽・踊り・食べ物とともに~ バリアフリー上映会『今日からぼくが村の映画館』(NPO活動資金助成事業)

西荻のことカフェにて開催された、特定非営利活動法人グローイングピープルズウィル主催の『映画でペルーを旅する~音楽・踊り・食べ物とともに~ バリアフリー上映会』(令和8年度 NPO活動資金助成事業)に行ってきました。

西荻のことカフェ
NPO支援基金フラッグ

グローイングピープルズウィルは、主に視覚障害者の地域生活支援を中心に活動する団体です。過去には杉並区協働提案事業として公共施設のアクセシビリティ検証を行うなど、地域のバリアフリー化に取り組んできました。今回は「障害の有無に関わらず、みんなで一緒に映画を楽しんでほしい」という想いから、杉並区NPO活動資金助成を受けて、開催に至りました。

満席の会場 開始前
グローイングピープルズウィル代表の高橋さん(右)
【ケチュア語の原音も残す挑戦!美しいアンデスの大地で繰り広げられる物語】

今回上映されたのは、南米ペルーの雄大なアンデス山脈に囲まれた小さな村を舞台に、映画に魅せられた少年の成長をつづった物語です。

本作は、南米アンデス地域で話される伝統的な言語(ケチュア語※)で制作されたという珍しい映画です。

今回はその貴重な現地語の響きや雰囲気をあえてそのまま残し、そこに「日本語吹替」と「日本語字幕」、更に「活弁士によるライブ音声ガイド」を付けるという画期的な挑戦が行われました。

その結果、視覚障害者も聴覚障害者も、そして健常者も、みんなが作品のリアリティを味わいながら同じ空間で同時に楽しめる上映が実現しました。作品そのものの素晴らしさはもちろん、村の暮らしやコミュニティの温かい繋がりなど興味深い描写がたくさんありました。上映後の細谷広美さん(成蹊大学教授・文化人類学者)による解説で「舞台となった村の標高はなんと約3,400メートル(ほぼ富士山の山頂と同じ高さ!)」と聞いて、会場からは驚きの声が上がっていました。

【音楽と踊りを「全身で体感」する細やかな心配り】

映画の後は、ペルーの伝統的な音楽と踊りのパフォーマンス!「コンドルは飛んでいく」など耳なじみのある名曲等が演奏されました。演者からの呼びかけに合わせて会場全員で掛け声を合わせる場面もあり、一気に一体感に包まれました。

演奏者からは、珍しい現地楽器の紹介もありました。竹や葦で作られた笛「サンポーニャ」や「ケーナ」の素朴で深みのある音色は、どこか日本の尺八にも似ていてすっと耳になじみます。そして一番盛り上がったのが、小型の弦楽器「チャランゴ」の説明のとき。なんと昔はアルマジロの甲羅を裏板に使って作られていたとのこと!滅多に見られない貴重な実物を見ることができ、参加者は皆、興味津々でした。

また、会場の座席配置にも素敵な工夫がありました。映画上映時は映像が見やすいよう前方に聴覚障害者、その後に視覚障害者、最後列に健常者が配置されていましたが、音楽と踊りの時間になると視覚障害者の方が前方に移動されたのです。団体代表にお話を伺うと、「演奏や踊りから生まれる生の『風』や『振動』を全身で感じていただくため」とのこと。まさに細部まで思いやりの行き届いた配慮でした。

【食と地域がつながる温かな空間】

会場内では、踊りの衣装や、ペルーの珍しい飲み物や食べ物の販売のほか、映画パンフレットや点字カレンダーなどの物品販売も行われ、終始賑わっていました。また、会場内にユニバーサルトイレがないため、スタッフの方が近隣の児童館へスムーズに案内している様子も印象的でした。

ペルーのドリンク「チチャモラーダ」と「インカコーラ」。手前はエンパナーダというひき肉のパイ包み。

映画鑑賞にとどまらず、南米ペルーの文化を五感全体で味わいながら、障害の有無に関わらず全員が心から楽しめる工夫が満載でした。 細部にいたるまで行き届いた細やかな配慮の数々に、団体の皆さんが当日へ向けて準備に準備を重ねてこられたことが強く伝わってくる素晴らしいイベントでした。

※ケチュア語とは
南米中央アンデスで話されるアメリカ・インディアン諸語の一つ。南米最大のインディアン語で,エクアドルでは100万人,ペルーでは約500万人,アルゼンチンでは85万人,ボリビアでは人口の4割に近い278万人が用いる。(出典:百科事典マイペディア)

【関係リンク・事業概要】

■特定非営利活動法人グローイングピープルズウィルホームページ
https://gpw.sakura.ne.jp/

■杉並区NPO支援基金
https://member.sugi-chiiki.com/kikin/shikinjyosei/reiwa-8npojyosei/

■西荻のことカフェ
https://nishioginokoto.co.jp/

(写真・文責:大庭)