事業場における労働関連用語の一考察
私たちが『働いている』上で、よく見たり聞いたりする用語があります。当たり前のことと看過せず、ちょっぴりその中身を考えてみると意外な発見があるかもしれません。
第13回:処遇改善加算について
私は自分の契約先で保育所を運営している事業所さんといくつかお付き合いがあります。ここ何年かのところで、認可保育所に支給される処遇改善加算というお金がどんどん手厚くなっていく実態に驚きを隠せません。社会的需要が高いのに給与水準が低かった保育士の処遇を改善しようという目的で始まった制度ですが、現在は子ども家庭庁が管掌で運営が続いています。保育士さんの給与水準が上がっていくのは結構なことなのですが、その額が企業の家族手当や住宅手当等の一般的手当の水準を大きく超えています。制度の中身は複雑なので本稿に書ききれるものではありませんが、何年か勤務して所定の研修を受講すれば、その事業所でもらう給与に加え、三つの区分を合算して5~7万円程度の処遇改善費が毎月公金から支給されるのです。またその保育所を管轄する自治体に独自の加算ルールがある場合もあり、加算額はさらに上を向くというケースもあります。介護事業所にも同じような制度がありますが、こちらは利用者さんの負担額に影響してくるとか微妙な違いがあって、保育所のような加算をしていくのは容易ではありません。
今や保育業界は超売り手市場であり、保育士は勤務する事業所を選定できるくらいです。たしかに幼児のケアリングは命と向き合わなければならない仕事ですし、厄介な保護者対応だってあるから大変でしょう。保育士の需要に対して供給が追い付いていないのも事実です。しかし、そのような課題を処遇改善加算費というような公金の支給という形で解決しようという行政の考え方には疑問を感じます。所属人数に応じて国がその保育所に一定の交付金を出し、保育所はそのお金を使って事業所全体の福利厚生や職員の労働環境の向上を推進していくという形のほうが、将来を見据えた場合、より良い施策ではないかと思っています。もしも保育事業の運営が過渡期を迎え、処遇改善加算が廃止されたらどうなるのでしょう?実質給与の大幅減額になってしまうのではないでしょうか。





