団体訪問 NPO法人カケルとミチル(NPO活動資金助成事業)

2024年10月12日(土)
【令和6年度NPO活動資金助成事業】
令和6年度杉並区NPO活動資金の助成金を受けたNPO法人カケルとミチル(以下カケルとミチル)にお伺いしてきました。

カケルとミチルは、心身の状態や発達の特性により、社会生活上の困難さや違和感を抱く人、またそのような人たちを支援するご家族及び専門家に向けて様々な活動を行っている団体です。不登校当事者が主催する地域イベントの企画運営を団体が支援しながら開催することによって、不登校児童・生徒らについて地域の方々に知ってもらうことや、不登校児童・生徒らが社会と触れ合う機会を創出するような取り組みを行っています。

今年度のNPO活動資金助成事業として、ファシリテーターのもと、グループミーティングを年間を通して行います。

見学させていただいた日は、生徒5名保護者3名の参加があり、中学生がほとんどでした。

この日は初めての参加者もいたので、コミュニケーションを取るためにまずボードゲームで関係をほぐしていましたが、参加者から「集中しちゃうゲームだからコミュニケーション取れないよ~」などの突っ込みがあり、盛り上がっていました。

参加者にはお菓子と飲み物が配られ、好きな時好きなタイミングで飲食が出来て、終始リラックスしたムードでした。

この日のグループミーティングのテーマは「楽しかったことを教えてください」というものでした。

進行する司会の方はなるべく参加者たちに話をするように促していて、初めはいつもとは違う環境で話しづらそうにしていた参加者もいましたが次第に打ち解け、質問することでお互いの存在を認め合い、人への興味を持てているように感じました。

学校へ通うことはできていなくても、オンライン上のゲームで集まった仲間とはグループを作っているという参加者もいて、生き方はひとつではないし、正しい事もひとつではないんだと考えさせられました。

最後に「人狼ゲーム」のような遊びをしましたが、保護者を含めてみんなで誰が人狼なのか探り合いながらゲームを楽しんでいました。参加者の一人はかつてカケルとミチルの活動に参加をしていたOBでした。帰ってこられる場所、ふらっと寄れる場所は心の拠り所でもあるのだと感じました。

会場が定まっていないことや、事業の特性として難しい事へ挑戦しているとは思いますが、この日の参加者と保護者はみんな笑顔で過ごすことができていたので、こういう場所があるということを同じような悩みを抱えているご家庭にも広がるといいと思いました。

文責・写真:有川

団体訪問 阿佐谷南きずなサロン虹

2024年9月13日(金)、コミュニティふらっと馬橋の「阿佐谷南きずなサロン虹」にお伺いしました。

「きずなサロン(※1)虹」は、小さいお子さんから高齢者の方まで、みなさんが気軽に立ち寄り、サロンでお茶を飲み会話を楽しみ情報を得て、友だちを見つけ、顔見知りを増やし、ご近所のきずなが広がることを願って、毎月1回、第2金曜日にコミュニティふらっと馬橋で活動しています。

コミュニティふらっと馬橋外観
阿佐谷南きずなサロン虹の2024年11月チラシ

毎月のイベントで作成するものが異なります。毎月チラシを作成して、区や地域の掲示板などに貼付して地域の方々にお知らせしています。
※最新のチラシは、会場であるコミュニティふらっと馬橋内の掲示板をご覧ください。

お伺いした日の参加者は9名、スタッフ9名が集まっていました。

スタッフの皆さん

今月は、毛糸のハート型のポンポンストラップを作成。スタッフの方に教わりながら、何色の毛糸にしようかと嬉しそうに選んだり、丸い形のポンポンをハート型にカットしたり、参加者は皆さん楽しそうに作成していました。
作成後は、お互いの完成品を見せ合いながら写真を撮り、その後、コーヒーを飲みながら、おしゃべりに花が咲いていて、とても和やかな雰囲気でした。

「きずなサロン虹」を、中心になって運営している高橋さんに活動のきっかけなどをお聞きしました。

この団体の活動は2011年東日本大震災の後に災害時に地域での顔見知りを増やしていこうと言いう観点から、杉並区社会福祉協議会のご支援をいただきながら民生委員4人を中心にスタートしました。初めは阿佐谷地区で活動をしていましたが、2018年に高円寺地区へ移って、現在ではコミュニティふらっと馬橋で活動しており、スタッフは12名(内民生委員とOGを含めて9名、地域の人3名)で運営しています。

スタッフは、その日の様子をそれとなく見守り、人と人との話の橋渡しなどを心掛けているそうです。

参加者からの協力金、杉並区の長寿応援ポイントの収入などで運営しています。他にも、社会福祉協議会からの「特技さん(※2)」の仕組みを使って、マジックショー、ハンドマッサージを行っています。

参加者の方にお話をききました。

・毎月、何を作成するのか楽しみにしています。

・毎月、できるだけ参加するようにしています。お友だちと会ってお話しするのが楽しみです。

との声があり、地域の居場所の一つになっているのだと思いました。

また、この日、参加者のお一人が手作りの素敵なネックレスを身につけていて、これも「きずなサロン虹」で作ったものだと教えてくれました。そして、そのネックレスは、過去に自分が療養中で参加できなかった時に、顔馴染みの参加者の方が作ったものをプレゼントしてくれたものとのこと。とても嬉しそうにお話しされていて、参加者同士の「きずな」があることを目にしました。

現時点の課題としては若い人たちにも参加を促していきたいとのことです。 今後も、多世代への活動の周知など、プラザとしてできることを考え、お手伝いをしていきたいです。

参加者とスタッフの皆さん

※1「きずなサロン」とは・・・杉並区社会福祉協議会が支援している、誰でも気軽に立ち寄れ、ふれあい、交流をする場です。きずなサロンの活動を通して、地域の方々の輪が広がり、支え合える関係ができることが期待されています。
杉並区の各所にありますので、詳しくは以下のリンクからご覧ください。https://www.sugisyakyo.com/suishin/kizuna.html

※2「特技さん」とは・・・杉並区社会福祉協議会の杉並ボランティアセンターが派遣している、人より秀でた特技があり、披露していただける方、または、特技を人に教えることができる特技ボランティアさんです。
https://www.borasen.jp/service/06

「阿佐谷南きずなサロン虹」の問い合わせ先は以下の通りです。

杉並区社会福祉協議会(電話 03-5347-1017)
コミュニティふらっと馬橋(電話 03-3315-1249)

【交通アクセス】コミュニティふらっと馬橋

住所:〒166-0003 杉並区高円寺南3丁目29番5号

東京メトロ丸ノ内線「新高円寺駅」徒歩10分
JR中央線・総武線「阿佐ケ谷駅」「高円寺駅」徒歩12分
都営・京王バス(渋谷駅・阿佐ケ谷駅間)「西馬橋」下車徒歩7分(青梅街道)

労務コラム④ 教えて梶谷先生

事業場における労働関連用語の一考察

私たちが『働いている』上で、よく見たり聞いたりする用語があります。当たり前のことと看過せず、ちょっぴりその中身を考えてみると意外な発見があるかもしれません。

第4回:健康保険について

 日常的に手元にあるのが当たり前という印象がある健康保険ですが、この保険が私たちの日常に大きな安心感を与えてくれているということに異論がある方はいないでしょう。法人に勤務して概ね週労働時間数が30時間以上の方は必然的に健康保険の被保険者になります。私たちが傷病を発症して医療機関で診療・治療を受ける時、この保険のおかげで自己負担額は本来の医療費の30%で済みます。出産においても、出産手当金や出産手当一時金が公的給付金として支給されますし、私傷病のため労務に服することができずに休業をしなければならなくなっても、被保険者であれば最大で1年6か月間は傷病手当金が支給されます。この傷病手当金は国民健康保険制度にはない健康保険の大きなメリットでしょう。さらに加筆すれば、医療費が月単位で一定額以上になると、被保険者の支払い負担を軽減してくれる高額療養費という制度もあります。普段高い保険料を支払っていても、然るべきときは助けてくれる、それが健康保険なのです。

 配偶者や親族の被扶養者になっている方は、自身での保険料支払いは免除されますが、出産手当金と傷病手当金を除く事項に関しては、被保険者自身と同様の権利が保障されているので、自身の収入を抑えて誰かの扶養になる選択をする場合もあるわけですね。

 ところでこの健康保険ですが、『自己負担額30%』が定着して20年以上も経つのでそれが当たり前だと思っている方も多いのではないでしょうか?この自己負担額の歴史を辿ってみると、1984年までは被保険者自身の自己負担額ゼロやわずかな定額自己負担が課されるという時代が長かったのです。1984年に自己負担額は10%となり、1997年に20%、そして2003年には30%という変遷を経て今日に至っています。人口減少の著しい日本社会、この負担額が40%になる日はそう遠くないのかもしれません。

「教えて!梶谷先生」コラム一覧ページへ

団体訪問 すぎなみ紙芝居一座「すかい」

2024年10月12日(土)、永福町駅屋上庭園ふくにわに、すぎなみ紙芝居一座「すかい」の紙芝居口演を見に行ってきました。

京王井の頭線永福町駅 屋上庭園「ふくにわ」

『すかいの合言葉~地域に伝わる昔話を知れば地域が好きになる』

こんな素敵な合言葉を持つ、すぎなみ紙芝居一座「すかい」は、主に杉並の昔話を、手作りの紙芝居で読み聞かせる活動をしています。郷土の説話・伝承にもとづいた話は、大人にも好評です。

この日は、久しぶりの口演でした。屋上庭園という立地から、真夏の7月から9月まではお休みをしていました。4か月ぶりとなるこの日は、秋晴れの空のもと、幼児から小学生までのたくさんの親子連れが集まっていました。

永福町にまつわる話など、全部で5つの紙芝居が口演されました。「にんじん、ごぼう、だいこん」「大きい魚、小さい魚」「永福稲荷のお告げハト」「あまんじゃく」「招き猫」です。抑揚のある読み方や身振り手振り、体を大きく動かしながらの口演は、聞き手を惹きつけます。

途中にクイズを挟み、クイズに正解すると、お菓子を貰えます。子どもたちの気分転換になり、工夫が凝らされた進行になっていました。

この日は、すぎなみ協働プラザの職員が作ったバルーンアートも景品として寄附しました。プラザ職員のバルーンアートは、11月に参加予定のすぎなみフェスタに向けて練習をしているものでした。お菓子とともに、これらのバルーンアートをクイズの正解者に配り、保護者も「すごい!かわいい!」と喜んでくれる姿に、こちらも嬉しくなりました。

紙芝居口演は、出入りは自由なので、子どもが飽きてしまって途中で帰る親子もいましたが、中には、毎回来ている常連の子もいて、「もうすぐ、いつものクイズやるかな?」とわくわくしながら聞いていました。

この日、日差しが強く少し汗ばむくらいでしたが、からっとした気候で、心地よく、終了後も子どもたちはベンチでお菓子を食べたり、線路を走る電車を見たり、大人たちはベンチに腰かけ、のんびりと秋晴れを楽しんでいる様子でした。

「すかい」東島信明さん
「すかい」座長:那須克彦さん

終了後、片付けの途中でも子どもが来ると、マンツーマンで紙芝居を披露するなど、一座の地域の子どもたちを想う気持ちに胸が熱くなり、ますます応援していこうと思いました。

すぎなみ紙芝居一座「すかい」の紙芝居は、毎月、第2土曜日にふくにわにて開催されています。ぜひお散歩がてら、紙芝居を見に行きませんか?


すぎなみ紙芝居一座「すかい」ブログ  https://ameblo.jp/suginami3jp/

文責・写真:大庭

【イントロカフェ】楽しく地域活動するためのヒント~これってハラスメント?~開催レポート

杉並区区民生活部管理課男女共同・犯罪被害者支援係との協働事業として、2024年9月23日に【イントロカフェ】楽しく地域活動するためのヒント~これってハラスメント?~を開催しました。

講師の植松侑子さんは、舞台芸術のアートマネジメント専門職に向けた人材育成と雇用環境整備のための中間支援組織「特定非営利活動法人Explat(えくすぷらっと)」理事長で、上級ハラスメント対策アドバイザーとしてご活躍です。
今回の講座では、ハラスメントの基礎知識についてと事例を通して考え方についてお話いただきました。

最初に、ハラスメントとはなにかを学びました。
行為する側に悪意がなくても、相手が「傷つけられた」と感じさせる発言や行動がハラスメントに該当する。ということでした。

続いて、ハラスメントの種類別に、どんな要素がどのハラスメントにあたるのかを学びました。優位的な立場の者が下の者に身体的、精神的な攻撃などをする「パワーハラスメント」。相手の人の意思に反して性的な言動が行われる「セクシャルハラスメント」。同僚や同級生、家庭や恋人、友人同士の間でも起こりうる、精神的ないじめ・嫌がらせの「モラルハラスメント」について、事例を交えながら解説していただきました。

ハラスメントを学んだあとは、ワークショップでさらに理解を深めていきました。
4~5人のグループに分かれて、グループ毎に16枚のことばカードを配り、「青色→きっと大丈夫な言葉」「黄色→ちょっと考えた方がいいかも。要配慮・要注意の言葉」「赤色→言わないでほしい。聞きたくない、止めたい言葉」の3種類に分類してもらいました。

「赤色→言わないでほしい。聞きたくない、止めたい言葉」への分類が多いグループやどこに置いていいのかなかなか決まらないグループなど、ワークショップはとても盛り上がりました。一通り分類したあとは、他のグループがどんな分類をしたのかを見て回りました。

分類を終えた後は、黄色や赤色に置いたことばカードを、どのような言い回しにしたら、相手に苦痛を与えない言い方になるかを考え、書き変えるワークをしました。こちらも他のグループがどんな書き変えをしたのかを見て回り「自分のグループと一緒だね」と共感したり「こういう言い変え方があるのか」と新たな発見があったようでした。

講師の植松侑子さんは結びに、
ハラスメントは相手の価値観や感覚を認めず自分の価値観や感覚で支配・コントロールしたいという欲求から発生しがちです。一方向ではなく、双方向のコミュニケーションが大事になります。コミュニケーション・身体的接触に関しては、相手の家に訪問した時のスタンスをイメージすると良いでしょう。勝手にトイレを借りたり冷蔵庫を開けたりしないように、それぞれの「パーソナルスペース」があるので、事前に同意をとることが必要です。
ハラスメントの勉強をすると、人と関わるのが怖くなるイメージがありますが、コミュニケーションこそが大切で、積極的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切ですと仰っていました。

参加者からは「何気なく言った言葉や態度がハラスメントになるかと思っていましたが、双方向のコミュニケーションが大事で話し合うことで相手を傷つけないようにできるのだと思いました。」「地域活動を想定してのお話がとてもありがたかったです。」「言葉カードを家族でやっても楽しそうだと思いました。」などの感想をいただきました。

また「イントロカフェを設けていただき、ハラスメントについて考えるきっかけになり、とても良い企画でした」と職員が嬉しくなるような言葉もいただきました。

すぎなみ協働プラザでは、すでに地域活動をされている方が団体活動の活性化につながる、スキルアップを目標にした講座「ステップアップ講座」と、気になるテーマをより身近なものにすることで、社会課題や地域活動を知るきっかけの場をつくることを目的とする「イントロカフェ」を企画開催しています。これからも、皆さまにとって、地域活動を始めるきっかけと、地域活動の充実のお手伝いができるようにしてまいります。

文責・写真:大久保