【ステップアップ講座】NPO流 お金の集め方・使い方 開催レポート

2024年09月13日に、産業商工会館展示場にて、【ステップアップ講座】NPO流 お金の集め方・使い方を開催しました。

講師には、全国のおもちゃ美術館を設立・運営をしている認定NPO法人芸術の遊び創造協会より、山田心さんにお越しいただきました。山田さんは、新宿区の廃校を活用した「東京おもちゃ美術館」設立にあたっての寄附金制度「一口館長(※1)」設立や疑似私募債(※2)の発行、姉妹館設立のためのクラウドファンディングなど様々なファンドレイジング手法の実践を行ってきた、資金調達のプロとも言える方です。また、おもちゃ美術館のみならず、各方面で、准認定ファンドレイザーとして活躍されています。「第6回日本ファンドレイジング大賞」、「READY FOR of THE YEAR2013」を受賞された経験もお持ちです。

今回は、経験も知識もある山田さんから、地域活動団体それぞれに合った資金調達方法を考えるきっかけづくりとして、この企画を考えました。日頃から、資金繰りに悩む団体様の声も多く、寄附と助成金、協賛金、クラウドファンディング等、それぞれの特徴を学び、お金の悩みを解決して活動の広げ方を学ぶことをゴールとして開催しました。

この日の山田さんの講義のテーマは、『ひとりでがんばらない』でした。地縁、血縁、など様々なご縁がある中で、クラウドファンディングでは、「価値感縁」の輪を広げることの必要性を、また、助成金は、投資であり、援助だと思ってはいけないことを学び、ファンを増やし、縁を築いていくことの大切さを学びました。

それぞれの資金調達方法に、山田さんの事例を交えてお話ししてくれたので、とても分かりやすく、参加者の多くが、自身のプロジェクトに重ね合わせ、「なるほど」と頷いている様子が見られました。

最後に、個人ワークを行いました。
お悩み共有&解決シート~プロジェクト実現のために、ひとりでがんばらない~と書かれたワークシートに、実現したいプロジェクト、悩み、協力者を整理していくというものです。

悩みを可視化することで、頭の中を整理し、資金調達に向けて周到な準備をすることができるそうです。

ワーク終了後には、数名にワークシートに書いたことを発表してもらいました。お悩みをその場で発表したことで、会の終了後に、「私、手伝えますよ」と声をかける場面も見られ、早速協力者が見つかり、その参加者は「今日は本当に来てよかった!」と仰っていました。
横のつながりも生まれたことに、日頃から地域団体のサポートをしているすぎなみ協働プラザとしては、とても嬉しく思いました。

参加者からは、

・とても参考になりました。自分たちの想いをまとめる必要があるなと思いました。悩みを話すだけでなく解決するために具体的に悩みを書いてみることが大事だと感じました。一人で悩まずにいろんな人を巻き込んでいくのを大切に進めていきたいと思いました。

・今回は実際に資金集めに苦労されてきた方が講師で、実践的なところが良かった。

とのお声をいただきました。ご参加いただいた団体が、今回の講座で学んでことを生かして、資金調達にトライし、活動の幅を広げていくことを願っています。

文責・写真:大庭

東京おもちゃ美術館
https://art-play.or.jp/ttm/

(※1)東京おもちゃ美術館 「一口館長」制度
https://www.charibon.jp/partner/goodtoy/

(※2)疑似私募債とは
企業が社債を発行するように、均一の条件で組織内外の多数の者(多くの場合、会員などの支援者)から借り入れる手法です。有価証券の「債券」ではないので、疑似となっています。NPO債や市民債とも呼ばれます。

団体訪問 NPO法人Sign-サイン-『水鉄砲大作戦』(NPO活動資金助成事業)

NPO法人サインは令和6年度杉並区NPO活動資金の助成金を受託し、夏休みに子ども向けのイベントを3つ開催しました。そのうちの最後のイベントである『水鉄砲大作戦★2024』にお伺いしてきました。

開催日の8月29日は台風の心配がありましたが、なんとか天気は持ち、『水鉄砲大作戦』を予定通りに校庭で行うことが出来ました。

『水鉄砲大作戦』は2本立てで行われました。1回戦は、校庭のトラックの中と外から他の子どもや先生方が水鉄砲で妨害するなか、障害物競走で校庭のトラックを一周しリレーをする競技。

2回戦は小学生チームと中学生・先生チームの対戦です。先生は小学生のしっぽを取ったら勝ち、小学生は中学生と先生が持っているポイを破ったら勝ち。軍配は…どちらも良い勝負だったようです。ずぶ濡れになりながらも、世代や立場の違うみんなが笑顔で楽しめる素敵なイベントでした。

 

校内では荻窪地域で居場所つくりや地域の活性化の活動に取り組んでいるOgiLoveさんによる駄菓子屋がオープンしていました。

お店で子どもたちはみんな首からスタンプカードを下げています。お話を伺うと

「参加費を事前に徴収していて、駄菓子屋で200円使えるカードを渡しています。たくさん並んでいる駄菓子の中から子どもたちは200円分の商品を選ぶことができます。買った金額分、スタンプカードにチェックがつくので、あといくら使えるかカードを見ながら買わなければいけなく、自然と計算の勉強にもなるんです」と仰っていました。

駄菓子屋さんでは杉六小OB・OGの中学生が売り子をしており、参加者が支援者になっていく好循環が生まれていました。

校門付近では、小学生の通学時、放課後などでの児童の安全・見守りなどをしている「ご近所付き合い広目隊」の皆さんがかき氷を振舞ってくれました。

子どもたちは美味しそうにかき氷を食べていて、ここでも多世代交流がされていました。

大成功の楽しいイベントですが、サインの小山内さんから課題について伺うと次のようなお話が聞けました。

「今回の参加者は杉並第六小の生徒がほとんどでした。地域に住んでいる他の小学生にも周知したいけれど、今の区立小学校はネットでの周知が主流で、拡散しすぎて参加者が増えてしまった場合、安全の確保やボランティアの人数不足などで、開催が難しくなるということもあり、どこまでの周知が適切なのかが手探り状態です」とのことでした。

ただ、イベントとしての魅力は絶大で、今回駄菓子部門をOgiLoveさん、かき氷部門をご近所付き合い広目隊が担っていて、他の地域団体を巻き込んでのイベントは理想的だと感じました。またOB・OGや保護者、教員などが地域に関心を持ち、支援者が増えていくことは間違いないと思います。

学校でも、学校支援本部でもないNPO団体が学校という場所を使用してイベントを行うには、様々なハードルもありますが、学校長含め教員や地域団体がサポートに回りイベントを成功させて、地域を明るくしようという気概の見えた、真夏にぴったりのイベントでした。

特定非営利活動法人Signサイン
公式WEBサイト:https://sign-ibasho.org/
Instagram:https://www.instagram.com/nposign

OgiLove
公式サイト:https://ogilove.com/

文責・写真 大久保・有川

団体訪問 楽学倶楽部『てらこや』(NPO活動資金助成事業)

今年の1月にも訪問させていただきましたが、今回は令和6年度NPO 活動資金助成事業となった「てらこや」を見学するために、2024年8月21日(水)楽学倶楽部に再度訪問してきました。

この「てらこや」は、荻窪地域区民センターで、毎月2回、15:30~17:30まで開催しています。学童クラブになじめない、家に閉じこもりがちな子どもたちを対象とした「居場所づくり」と「学習支援」を目的としています。異なる学校の子ども達が安心して勉強したり遊んだりする環境を提供することで、学習支援だけではなく子ども同士の新しいつながりによる社会性の向上を目指しています。

 
西田小学校と桃井第二小学校の1年生から4年生の子どもたち12名が登録していて、当日は子どもの参加人数は9名。夏休みの宿題や、「てらこや」で用意した学習プリントや家から持ってきた塾の宿題やドリルなどに取り組んでいました。わからない問題があると、手を上げて先生を呼びます。先生は、子どもたちが理解するまで、マンツーマンで丁寧に教えていました。一人の先生に15分ほど質問攻めにしている子どももいました。ある子どもが「『てらこや』って何?」と聞くと、他の子どもが優しく答えている様子も見られ、微笑ましく感じました。勉強の途中で水分補給の声かけ、休憩時間にはジュースやお菓子の配布があり、とても和気あいあいとして和やかな雰囲気でした。

お迎えに来た保護者の方にお話を伺いました。
・型にはまってなく、自由なところがあるので通いやすい。うちの子どもの場合は、毎週だと嫌になってしまうので、月2回の開催がちょうど良い。

子ども達にもお話を聞きました。
・お友だちに会えるので楽しい。
・先生が優しい。

代表の中澤さんにお話を伺いました。
以前は違う場所でも活動していたが、コロナのため中断していました。
昨年、保護者の方から、緩やかな学習の機会と居場所に関する要望を受けて、2023年4月に活動を再開しました。
学習内容は、各自の持ち込みの他に、「てらこや」が作成している算数の文章問題を用意しており、算数と文章力理解という両面の学習ができるようになっています。
テーブルの配置は毎回同じではなく、様々なレイアウトで児童を迎えることで、飽きさせず楽しく学習できるよう工夫しています。
取り組んで良かったことは、小学生と交流することで、自身の人生が豊かになったこと。また、今は困っていることはなく、メンバー全員が楽しく活動しています。会社の定年が伸び、地域に帰ってくる後任人材は75歳以上なので、メンバー絶賛募集中です!と仰っていました。
11月から、荻窪地域区民センターが改修工事に入るため、会場を荻窪地域の中道寺の会議室をお借りするとのこと。区民センターにいる間に、映画上映会を行いたい、来年度からは英語を教えたいと企画が次々と出ていて、これからの活動も楽しみです。

以前使用していた
「杉並区NPO支援基金助成事業」
の旗を、今回、リメイクしました。

※「らくがく(楽学)・てらこや」の情報は、2024年8月現在のものです。最新の情報については団体に直接お問い合わせください。
楽学倶楽部
https://www.sugi-chiiki.com/rakugaku/

訪問・記録:小林(淳)・椎野
文責・写真:椎野

【ステップアップ講座】地域活動団体のための「助成金」考え方と申請のコツ

助成金申請の上手な団体は、申請書の書き方ではなく「考え方」を知っている団体です。この講座では、助成金の審査員や助成機関でのアドバイザーとして幅広い経験を持つ小堀悠氏を講師として迎え、「助成金」についての考え方から、申請する前の準備、決定後の手続きまで実践をまじえて幅広く学びます。

■開催日:2024年10月16日(水)

■開催時間:18:30~20:30

■開催場所:杉並区役所分庁舎3階(杉並区成田東4-36-13)

■対象:杉並区内で活動している団体の方・助成金について興味のある団体

■定員:30名(申込順、1団体2名まで)

■講師:小堀 悠 氏(特定非営利活動法人NPOサポートセンター常務理事・事務局長 認定ファンドレイザー・日本ファンドレイジング協会認定講師)

学生時代より、環境団体、まちづくり団体の設立や運営、資金調達に携わる。卒業後、民間企業のシステムエンジニアを経て2009年より、NPOサポートセンターに入職。主にNPOのマネジメントや資金調達をテーマとした研修・セミナーの企画および講師、支援者データベースをはじめとするNPO向けのITサービス普及に取り組む。また、複数の助成金の審査員、助成機関へのアドバイザー経験を持つ。

■参加費 :無料

■申込方法:
Eメールに「①講座名②氏名③団体名④電話番号」を記入して、すぎなみ協働プラザ(Eメール:sanka@nposupport.jp)へお申し込みください。

■問い合わせ:
・すぎなみ協働プラザ(杉並区阿佐谷南3丁目2番19号 産業商工会館内)
電話:03-5335-9540
Eメール:info@nposupport.jp

【団体交流会】「こんな杉並区にしたい!」を語り合おう! 開催レポート

8月17日(土)に団体交流会を開催しました。
当日は、台風一過で気温が上がり、猛暑のなか多くの地域活動団体の皆様にご参加いただきました。

今回の交流会は、【昔の杉並→現在の杉並→未来・9年後の杉並区区政施行100周年にむけて】というテーマで企画しました。
グループワークでは未来の理想的な杉並区についてそれぞれの想いをグループ内で発表・共有し、最後にはグループごとに、「〇〇な杉並区にしたい!」というスローガンを模造紙に書いて発表していただきました。

第一部でははじめに、NPO法人すぎなみムーサの山崎さんが作成した「善福寺川のカワウソ」を上映し、江戸時代の杉並区を見てもらいました。(※文末に動画リンクあり)

NPO法人すぎなみムーサ 山崎さん
画:すぎなみ紙芝居一座「すかい」那須克彦

続いて、杉並区企画課公民連携担当の金子さんより「人口動態、課題など、データからみる杉並」をスライドで紹介。現在から未来に向かって杉並区がどう変化していくかを学び、第一部を終了しました。

第二部では、「〇〇な杉並区にしたい!」をグループ毎に考えてもらうワークショップをしました。今回は参加者のなかで7月にファシリテーション講座を受講した方にファシリテーター役をお願いし、ファシリテーション講座で講師を務めていただいた杉村郁雄さん(プロセスクリエイト代表)には今回コーディネーターとして、交流会全体を見守っていただきました。

各グループのファシリテーターさんのおかげで、和気あいあいとした雰囲気のなかで自由闊達に意見交換が進み、最後にはグループそれぞれの「〇〇な杉並にしたい!」の発表がありました。

Aグループ 「知恵と愛の杉並区キャンパス計画」な杉並区にしたい!


Bグループ 「あいさつでつながるすてき」な杉並区にしたい!

Cグループ 「年代国籍問わず、だれもが集まる安心安全で緑豊か」な杉並区にしたい!

Dグループ 「みんなが知り合う事ができて、子育てがやり易い」な杉並区にしたい!

Eグループ 「多様なつながりある寛容で良い環境の良いだれからも愛される様」な杉並区にしたい!

たくさんの意見をグループでひとつにまとめあげ、その発表はたくさんの想いと「杉並区が大好き」が詰まった魅力的なものでした。

第三部では自由に交流する時間をとりました。

団体同士が積極的に交流する様子がうかがえました。横のつながりをつくってもらえるようにプラザスタッフからもお声かけし、新しい出会いも生まれました。

杉並区企画課の方々、コーディネーターの杉村さんにも交流に加わっていただき、普段関わることのない人とも知り合うことができ、幅広い自由交流時間となりました。

参加者からは

・本日は大変貴重な学びの場をありがとうございました。交流の場を通じ、横のつながりを形にできるような場があると良いなと思いました。
・区の企画課からの説明も興味深い内容でした。ファシリテーターの進め方は的確で楽しい雰囲気も出てとてもよかったです。
・参加団体の方と交流を持てて楽しい会でした。ワークショップも盛り上がりましたが、なかなか形にならないのが残念なところです。区のマッチングも期待します。

など感想をいただきました。

今回、ワークショップを通し、団体同士がつながり、新しい交流が生まれたことが、プラザにとっても大きな収穫となりました。

交流会のなかで同業種同士の交流もしてみたいとの声も伺いました。すぎなみ協働プラザでは、団体の声を聞きながら、団体がつながり、それをカタチにできるように地域活動の懸け橋としてお手伝いしていきたいと思っています。

◆善福寺川のカワウソはこちらからご覧いただけます!
江戸時代の杉並区をご紹介しています。小さなお子さんも楽しめる内容です。ぜひご家族やお友達皆さんでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=ZylvdAUYrw4

文責・写真 大久保