~事業場における労働関連用語の一考察~
私たちが『働いている』うえで、よく見たり聞いたりする用語があります。当たり前のことと看過せず、ちょっぴりその中身を考えてみると意外な発見があるかもしれません。
第2回:安全・衛生・健康について
労働安全衛生法は、事業者が職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的としています。また労働者自身も労働災害が発生しないように必要な事項を守り、事業者が実施する労災防止措置への協力に努めなければなりません。職場における労働環境を向上させていくうえで『安全衛生』はとても重要な管理事項なのです。
ところで皆様は『労働衛生の三管理』という言葉をご存じでしょうか。これは労働者の安全を守り健康の保持増進を推進するための大切な概念で、作業環境管理・作業管理・健康管理のことを言います。作業環境管理とは労働者が労働災害を被らないように作業をする環境を整えることで、有害因子を作業の前に取り除いたり、作業場の照明照度や換気機能を調整したりして作業の環境を整えること。作業管理とは作業の方法や時間、姿勢などを適正に管理し人と作業を調和させること。健康管理とは職場における労働者の安全と健康を確保するために健康診断を企画したりメンタルヘルス対策を行ったりすること。いずれも労働者の安全や健康を守る上で重要なことなのです。どんな職場にも必ずハザード(人によくない影響を与える可能性がある性質)はあります。ハザードが労働者に影響を及ぼしたとき、労働者の安全が損なわれる可能性をリスクと言いますが、このリスクを低減させる措置は事業者も労働者も普段からしっかりと講じておく必要があるわけです。
統計上、最も多い労働災害事故の原因は『転倒』ですが、私がコンサルタント契約をしている保育園や介護施設では『児童や介護者に接触中の腰痛』も頻発しています。職場の業務内容により発生しやすい労働災害が何かを認識しておくことも大切なことではないでしょうか。どうか皆様も、自分たちの身の回りに安全・衛生・健康を阻害する要因が存在していないかを改めてチェックしてみてください。