団体訪問 NPO法人DANKAIプロジェクト「ルンルン学習室」×すぎなみ食育推進の会 「みそ玉づくり」

NPO法人DANKAIプロジェクト(以下、DANKAI)が主催するルンルン学習室と、すぎなみ食育推進の会(以下、すぎ食)との協働による「体験型学習プログラム みそ玉づくり」に、すぎ食代表の堀田さんよりお誘いいただきました。

DANKAIさんもすぎ食さんも、過去に訪問したことがありますが(※)、今回はDANKAIの「学習支援」と、すぎ食の「食育推進」という、地域課題解決を目指す二つの活動が連携し、とても興味深い特別プログラムを開催するとのことなので、早速見学に行ってきました。

■「すぎ食」と「DANKAI」の出会い

この素敵なコラボレーションのきっかけを、すぎ食代表の堀田さんに伺いました。
すぎ食を立ち上げた後、「食育で何かお手伝いできないか」と杉並区社会福祉協議会に相談に行ったところ、DANKAIさんを紹介されたのが始まりとのこと。

当初は食育の講師として関わりましたが、堀田さんが子どもたちの学習支援もできることから、学習サポートも手伝うようになり、時々特別プログラムとして「みそ玉づくり」(親子参加可能)を開催しているのだそうです。

親子で笑顔満開!「みそ玉づくり」

子ども達の学習が終わり、いよいよワークショップを開始。

この日はルンルン学習室の子どもたち5名に加え、きょうだいや保護者の方も参加し、学生ボランティアや団体スタッフを含めると総勢16名が参加!

まずは、すぎ食の堀田さんから、もしもの「発災時」の食育について、大切なレクチャーがありました。みそ玉を作って冷蔵庫に入れて保存し、お湯を注ぐだけで味噌汁が作れる手軽さは、発災時にはとても役立つそうです。普段の日常生活でも「一汁一菜」を心がけた食事を手軽に作るために、いつでも冷蔵庫にみそ玉を作っておくと良いと伝えていました。

アレルギーの確認も丁寧に行って、いざ実践へ!机の上には、3種類のお味噌がずらり。自分好みにブレンドしても良し、好みの1種類だけでも良し、サランラップにスプーンですくって乗せ、その上に顆粒だしと具材を乗せて、ラップで包み丸く仕上げます。この日の具材は、乾燥野菜でしたが、乾燥麩や乾燥わかめ等、具材は好みで変えられます。学生ボランティアをはじめ、スタッフも皆、夢中になって「みそ玉」を一人3個ずつ作っていきます。

■おいしいお味噌汁、いただきます!

みそ玉が完成したら、すぎ食の小田さんから地域ごとの味噌の種類の違いや味噌の栄養について、また、味噌は隠し味としてカレーに少し入れるとおいしいという豆知識を教えてもらいました。「へえ~」という声もあがり、皆、興味津々でした。

その後、いつもルンルン学習室で提供されている手作りカレーライスと一緒に、自分たちで作ったみそ玉をお味噌汁にして実食しました。「このお味噌がおいしい!」「カレーに少しかけてみたらおいしい!」と和気あいあいに食事を楽しみ、会場は終始、笑顔と活気に包まれていました。

終了後に、主催者からお話を伺いました。

DANKAI代表の栗田さんは、「活動を始めてから、今年の3月に初めて6年生がルンルン学習室を卒業し、そしてまた来年3月にも卒業していく児童が2名いる。新年度にはまた新しい児童との交流が生まれることが楽しみ」と話してくれました。いつもおいしいカレーライスを作っているDANKAIメンバーの藤澤さんは、「これから新しい事業も展開していきたい」とワクワクするようなお話を伺えました。今後の展開が楽しみです。また、カレー作りのボランティアをしている安達さんからも、「子どもたちからたくさんの元気をもらうと心が洗われて、ここは私の居場所です」と素敵なお話を聞くことができました。

すぎ食の堀田さんと、小田さんは、「今回のようにそれぞれの団体の強みを生かしながら共に事業をできることはありがたく、喜びを感じている。相乗効果が生まれていると思う。12月はクリスマス会を予定しています。子ども達との触れ合いがいつも楽しみです」とのことでした。

帰り際、「またいつでも遊びに来てください」と笑顔でお声がけいただきました。
ルンルン学習室とすぎなみ食育推進の会の今後の活動に、引き続き注目していきたいと思います。


(※) 過去の訪問レポート
NPO法人DANKAIプロジェクト「ルンルン学習室」見学訪問
https://member.sugi-chiiki.com/nposupport/dankairoject/

すぎなみ食育推進の会 インタビュー
https://member.sugi-chiiki.com/nposupport/shokuiku-suisin/

文責・写真:大庭

団体訪問 蚕糸の森おはよう会

2025年11月22日(土)、東京メトロ丸の内線、東高円寺駅近くの蚕糸(さんし)の森公園(※1)で行われている「蚕糸(さんし)の森おはよう会」の活動に参加してきました。

蚕糸の森おはよう会は、蚕糸の森公園で散歩、掃除をしていた地域住民が、地域の健康推進と親睦を深めようとラジオ体操を始めたことをきっかけに、1986年8月10日に設立された団体です。雨天時と年末年始以外は毎日活動しています。

早朝の6時15分に会場である蚕糸の森公園内つどいの広場に着くと、既に50名ほどのメンバーが集まっていました。

団体の役員の方々が、のぼりの設置、CDラジカセの準備を行い、ラジオ体操の指導者資格を持つ3名の方が中央に立ち、スタートしました。

6時25分からみんなの体操(※2)、6時30分からラジオ体操第1・第2を行いました。その後、希望者が残り、気功(練功十八法)を行いました。

みんなの体操と中国由来の健康体操である気功は、動作がより緩やかで膝や腰への負荷が少なく、ラジオ体操の前後にウォーミングアップ・クールダウンとして実施しています。
気功が終わると、メンバー同士で挨拶やお話をしていました。

前に立っていた、ラジオ体操の指導者資格を持っている齋藤さんにお話を伺いました。
「ラジオ体操の指導者資格を取得するため、月1回、錦糸町駅近くにある墨田区総合体育館に通い、ラジオ体操講習会を10年間受講しました。試験科目には筆記、実施、作文がありました。この会に参加して20年以上になります。おかげさまで医者いらずです。」
と仰っていました。

代表の中川さんにもお話を伺いました。
「2024年の4月からクールダウンのために気功を取り入れました。メンバーの最高齢は96歳、ラジオ体操の動きは意外とハードなので、緩やかな動きの気功は高齢者にはピッタリなのです。この会の後に、蚕糸の森公園の花壇で花木の手入れをする方、公園の周り(1周700m)を歩いてから帰られる方、情報交換をされて帰られる方などいらっしゃいます。健康のためではなく、コミュニケーションの場としての役割も果たしています。当団体は、蚕糸の森公園が開園された3ヶ月後に設立されました。地域の方々は、こんな公園ができることを望んでいたのだなと思います。」
と仰っていました。

他のメンバーの方たちからも、「毎日参加するのが日課です」、「こんな素敵な公園が近くにあり嬉しく思います」、「公園の中は空気が澄んでいて気持ちよいです」、などお話を伺いました。

また、こちらの団体は、杉並区の健康づくりに積極的に取り組む事業所・団体を表彰する「健康づくり表彰」で、令和7年度の最優秀賞を受賞されました。(※3)

帰る頃には、蚕糸の森公園の木々の紅葉が朝日に照らされてとても美しく、運動後は身体が軽くなり、すがすがしい朝の始まりとなりました。

【蚕糸の森おはよう会 公式サイト】
https://www.sugi-chiiki.com/sanshinomori/
★おはよう会に参加ご希望の方は、蚕糸の森公園つどいの広場(おおきなスズカケ(プラタナス)の木の下)で、体操の指導・機材の片付けを行っている役員にお気軽にお声掛け下さい。

(※1)蚕糸の森公園
1911年農商務省原蚕種製造所(後の農林水産省蚕糸試験場)が当地に開設される。1980年蚕糸試験場が茨城県つくば市へ移転。1986年5月31日、跡地が蚕糸の森公園として開園。試験場の跡地には杉並区立杉並第十小学校も移転。https://www.city.suginami.tokyo.jp/s100/shisetsu/14821.html

(※2)みんなの体操
子どもから高齢の方、身体に障害のある方も気楽にできる体操として、1999年10月に郵政省とNHKが制定。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%AE%E4%BD%93%E6%93%8D

(※3)令和7年度健康づくり表彰https://www.city.suginami.tokyo.jp/s045/news/17612.html#p1

文責・写真 椎野

団体訪問 1つだけ美術館

2025年11月、杉並区阿佐谷のパール商店街の一角にオープンした「1つだけ美術館」を訪問させていただきました。
1つだけ美術館は「1つ1つを、1人1人を大切にしたい。全ての物事に内包されている芸術性を伝えたい」そんな思いで運営されている美術館です。

代表理事のよしおかりつこさん(左)と
副代表理事の吉岡正人さん(右)

「1つだけ美術館」は代表理事のよしおかりつこさんの故郷である香川県で営まれていましたが、ご自身の活動で度々訪れていた東京でも「1つだけ美術館」を広めたいという想いがあり、それを形にするべく、都心で落ち着いて活動できる場所を探していたところ、いまの阿佐谷の場所に決められたそうです。確かに東京の「1つだけ美術館」は阿佐谷パールセンター商店街の一角にありますが、活気ある通りの中にあるとは思えないほど静かで伸びやかな空間でした。

この日は参加者がアート作品への参加(編み物など)をしながら、アートやご自身についてのお話をする会と、子どものころに戻って、自分が最初に触れたアートについて付箋に書きだし、そのアートについて当時の気持ちを思い出しながら語り合うワークに参加させていただきました。
各々の思い出アートの中から「子どもたちにやってもらうならばどんなことができるでしょう?」というよしおかさんからの問いに、「大人が子どもに絵本を読み聞かせするのではなく、子どもたちに絵本を読んでもらう」「体を動かしながら作るアート作品として、大きな筆で書初めをする」など楽しい想像が拡がり、次のイベントに繋がりそうなワークとなりました。

美術館がNPO法人という法人格を持っているのは珍しい形でしたが、
「私設美術館だと自分が好きな作品に偏ってしまうかもしれなくて、それよりもソーシャルなものにしたかったので、より広がりや継続性を持たせるためにNPO法人という選択をしました。」
と、よしおかさんは語られていました。

この日はプレオープンでしたが(本格的なオープンは2026年3月5日)、気軽にアートに触れられる新しい文化・場所として「1つだけ美術館」が生まれたことで阿佐谷の町に楽しみが一つに増えました。

会員さんと一緒に

1つだけ美術館
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1丁目18−6 第七スカイビル 501(5階)
HP:https://1museum.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/1museum_tokyo/

写真・文責:有川

団体訪問 NPO法人防災コミュニティネットワーク レッツボウサイ!「どうする?災害時のトイレ問題」(NPO活動資金助成)

2025年10月18日開催のレッツボウサイ「どうする?災害時のトイレ問題」講座を見学してきました。

この講座を企画・運営している特定非営利活動法人防災コミュニティネットワークは防災活動をとおしたコミュニティの形成と、そのネットワークの構築を目的に設立されました。
開催のきっかけは、主催者自身が2024年元旦に発生した能登半島地震の復興支援のボランティアとして、富山市から車で能登半島穴水町を訪れた時に何時間もトイレが使えなかった過酷な状況や、被災者がトイレで苦労した経験からでした。
テレビ・ニュースでは被災地での様子は断片的に見ることができますが、被災後の実生活で不便な事が多い中で「誰もが経験するトイレの悩み」(トイレが使えない、衛生面、安全性、使用方法がわからない)を理解するためと、水、食料の備蓄と同様にトイレ備蓄の重要性を具体的に説明するために開催しました。

 【講座の様子】
講座は以下の内容で話がすすめられました。
① 「トイレ問題の主な原因」
災害時におけるトイレ問題とは、普段あたりまえに使用しているトイレが使えない状態を指します。災害による上下水道・電気などのライフラインや建物の使用ができない時に発生します。
杉並区ライフラインの被害想定時の復旧日数も確認しました。
② 「災害時のトイレ状況」
被災地で目にした実際の既存のトイレの状況、仮設トイレの種類とその問題点の詳細が写真入りで紹介されました。
③ 「トイレの備蓄で必要な情報」
トイレがいつも通りに使えるかの安全確認すること、便器が使用可能であれば、携帯トイレを使う、感染予防のため、トイレの後は手洗いと手指消毒の感染予防についての話がありました。
加えて携帯トイレ・非常用トイレの必要備蓄数の概算の説明、備蓄トイレ以外に揃える必要な備品の説明がありました。
④ 「自分にあった非常用のトイレを探そう」
会場後部に10種類以上の簡易トイレが置かれ、全てのトイレに座ったり、触れてみたりして自分に合ったトイレを探すことができました。

様々な種類の簡易トイレ
大学生ボランティアによる説明
自分に合うトイレを見つけるべく、簡易トイレを座って試す参加者


実際に被災地へボランティアとして行かれた経験をお聞きしてトイレ問題の苦労・切実さを実感しました。トイレ備蓄で必要な情報は、これから簡易トイレ備蓄をする際の大きなヒントとなりました。また、参加者が10種類以上の簡易トイレの見本を実際に座ってみた体験や、主催者に質問して得た使用時の注意点等の知識はこれからトイレ備蓄を考えている人たちへの大きなインパクトを与えて、災害時のトイレ問題への関心が高まり、その重要性が認識された素晴らしい機会だったと思います。

写真・文責:小林

■防災コミュニティネットワーク https://bosaicn.net/

■杉並区NPO支援基金 https://member.sugi-chiiki.com/kikin/

ワークサポート杉並 職場実習 実施レポート

すぎなみ協働プラザ(以下プラザ)では、毎年ワークサポート杉並を通じて、障害のある方の就労体験の場として職場実習生を受け入れています。

実習生と、事前にしっかりと面談を行い目標を立てて、2025年9月19日に実習を行いました。この日の実習内容は事務作業です。プラザ職員と一緒に、区内文書交換便用の封筒づくりと、講座ポスターを大判印刷しました。区内文書交換便とは、自治体自らが文書の搬送を行う制度です。まずは交換便の封筒に貼る宛名ラベルをリソグラフで印刷しました。実習生にとってリソグラフ印刷は初めての経験でしたが、職員と一緒に手順を確認しながら作業を進めました。

職員とともにコミュニケーションを取りながら作業をする実習生

その後は、印刷した宛名ラベルを封筒に貼り、さらに蓋の部分を養生テープで補強します。実習生はとても手際がよく、しかも丁寧に作業してくれました。おしゃべりを交えながらの作業は和やかで、職員も一緒に楽しむことができました。

続いて取り組んだのは、プラザ主催講座の掲示用ポスターの大判印刷です。今回はパソコンが得意な実習生ということで、実際にデータを操作しながらA2サイズに拡大して印刷してもらいました。

「こんなに簡単に大きなポスターが印刷できるんですね!」と驚く実習生

大判印刷の使い方にはコツがあり、うまくいかないこともあるのですが、実習生はスムーズに操作をこなし、2枚を完成させてくれました。通常のコピー機よりも大きな機械音とともに印刷機から出てくる迫力あるポスターに、驚いた様子を見せていました。

最後は、ワークサポート杉並の職員の方も交えて実習の振り返りをしました。
実習生からは
「前日は緊張していたが、職場の雰囲気が和やかで安心して取り組めた。事前に立てた目標も達成できて嬉しい。リソグラフや大判印刷など、初めての体験もできて良かった」
と、前向きな感想が寄せられました。

プラザでの職場実習が、今後の就職に向けた自信や意欲の一歩につながることを願っています。

文責・写真:大庭・椎野