2024年7月24日(水)、NPO法人杉並冒険あそびの会を団体訪問しました。この日は、杉並区から『子どもプレーパーク事業』として受託しているプレーパーク=冒険遊び場(杉並冒険遊び場☆のびっぱひろっぱ)を、井草森公園で開催していました。
冒険遊び場とは、すべての子どもが自由に遊ぶことを保障する場所であり、子どもは遊ぶことで自ら育つという認識のもと、子どもと地域と共につくり続けていく、屋外の遊び場です。言い換えるなら、子どもを遊ばせてあげる場所ではなく、子ども自身の『遊びたい』を出来る場所と言えます。具体的には、普段の遊びの中ではなかなか出来ないたき火等の火遊び、木を使ってのロープ遊具、ベーゴマ、投げごま等の昔遊び、大工道具を使った木工作などいろいろな遊びを出来る用意があります。普段しない、あるいはなれない遊びが多いので、危ない事もあります。そのために、プレーパークの専門家=プレーリーダーや団体のスタッフがいて、子どもと一緒に遊びながら、様子を見守っています。キーワードは『自分の責任で自由に遊ぶ』『けがと弁当は自分持ち』です。参加費は無し、年齢制限も無し、出入りの時間制限も無しといつでも自由に参加が出来ます。
冒険遊び場の開催時間は午前10時から午後4時まで。この日は朝から蒸し暑かったのですが、たくさんの乳幼児が、お父さん・お母さんと一緒に遊びに来ていました。
まずは、受付で、冒険遊び場の趣旨や遊び方などの説明を受けます。その後は、子どもも大人も自由です。用意している遊びだけでなく、自分で考えて遊びを作ることも出来ます。また、何もしたくなかったら、何もしなくてもOK。それもまた自由なのです。
またこの日は、井草森児童館の子どもたちが、夏休みの館外活動で、児童館の先生と一緒に遊びに来ていました。実際に、たき火にくべる薪をノコギリで切ったり、薪を焚火にくべたり、大きなシャボン玉を作ったり、木材で自分の好きなものを作ったりなど、いつもと違った遊びを思う存分楽しんでいました。水遊びでは、服が濡れたり、汚れたりするのも構わず、楽しそうに遊んでいました。公園は子どもの笑顔と楽しい声でいっぱいでした。
スタッフのお仕事の合間に、副代表理事の吉田さんに活動のきっかけをお聞きしました。
ご自身のきっかけは、子どもと区立公園に遊びに行ったときに、うるさいから静かに遊ぶようにと近所の方に怒られてびっくりし、さらに『静かに遊びましょう』と書かれた公園の看板に驚いたという出来事にありました。そこで杉並区に電話で聞いたところ、「公園に隣接する住民の要望からこのようになったので、守ってください」と回答を受け、子どもたちが大声を出して、思いっきり遊べる場所を作りたいと思ったのが最初のきっかけでした。その後、世田谷区でやっていたプレーパークの活動を知り、杉並区でも出来ないかと始めたのが活動につながったそうです。
活動の始めの頃、杉並区ボランティアセンターと社会教育主事に相談し、まず仲間づくりから始めました。タイミング良く、民間助成金をもらえるチャンスがあり実際の活動を開始しました。助成金頼みの活動は、毎年資金繰りに苦労しました。後に杉並区の協働提案事業を経て、区の委託事業となり現在に至ったそうです。今でも、各方面に相談に乗ってもらいながら、運営を続けているとお話をもらいました。
現在、課題に感じていることは、後継者を育てていくこと、とのことです。活動開始後、20年以上になり、全体的なスタッフの高齢化が進んでいます。本当は子育て世代の方にも、加わってもらいたいと考えていますが、サービスは受ける物という感覚が強い、また、共働きの世帯が増えるなど、親自身が忙しいなどの事情があり、なかなか運営者として加わってくれる人は少ないそうです。参加者としてだけでなく、一緒になって運営していきたいとおっしゃっていました。
たまたま、訪問当日に、学生時代、ボランティアとして参加していた方が、結婚し、お子さんを連れて遊びに来ていました。スタッフと仲良く写真を撮ったりしながら、昔を懐かしんでいました。また、子どもの時に遊びに来ていた子どもが大学生や大人になって、再び訪れ、中にはボランティアとして参加してくれることもあるそうです。活動を続けていて、とてもうれしい瞬間だとお話しされていました。
子どもたちが年齢に応じた冒険遊びを展開できる環境を提供し、子どもの自発性、自主性、創造性を育んでいくことを目的として活動している「杉並冒険あそびの会」の活動を応援していきたくなりました。
特定非営利活動法人杉並冒険あそびの会
公式WEBサイト:https://nobippa.org/
Facebook:https://www.facebook.com/nobippa/
Instagram:https://www.instagram.com/nobippa/
文責・写真 椎野
校閲 NPO法人杉並冒険あそびの会