労務コラム⑧ 教えて梶谷先生

事業場における労働関連用語の一考察

私たちが『働いている』上で、よく見たり聞いたりする用語があります。当たり前のことと看過せず、ちょっぴりその中身を考えてみると意外な発見があるかもしれません。

第8回:失業給付のお話

 昨年のコラムで雇用保険についての記事を掲載しましたが、その際には触れなかった失業給付についてお話しいたします。雇用保険は労働者を守ってくれる大切な保険ですが、何らかの理由で会社を辞めなければならなくなった人にとっては、雇用保険の被保険者資格が12か月以上あれば失業給付を受給することができます。被保険者期間の長短によって受給期間が異なりますが、次の仕事が見つかるまで、最低でも90日分は基本手当を受け取ることができます。基本手当とはざっくりと在職時の日給換算額の約50%と考えてください。ちなみに被保険者期間が10年以上であれば受給期間は120日、20年以上あれば受給期間は150日分になります。

 この失業給付は会社をやめてすぐもらえるわけではありません。自己都合退職であれば、手続き後に一週間の待期期間があり、さらに1か月の給付制限期間があります。この給付制限期間は長年にわたって3か月が維持されていたのですが、この4月から1か月に緩和されています。このあたりは時代の流れというものでしょう。また有期労働契約者が契約満了で退職したときや、会社都合での退職の場合は給付制限期間はありません。

 ところでこの失業給付の制度にもいろいろと例外はあります。65歳以上の雇用保険被保険者が退職した場合は、失業給付は高年齢求職者給付となり、50日分の基本手当が一時金で支払われることになります。被保険者期間が20年以上あった人にしてみれば、150日分だった基本手当が50日分になってしまうわけですから素直には喜べないですよね。なので、中には65歳になる直前に退職をして、普通に失業給付を受け取るという人もいるのです。そこまでするの?と思った人もいるでしょうが、人の考え方は様々なのです。

  不測の事態はいつ私たちの身のまわりに起こるか分かりません。こういう知識もちょっと頭の隅に留めておくといいかもしれないですね。

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