ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の閉幕から8日目、杉並少年ラグビースクールが2019年11月10日に東京都杉並区の井草森公園運動場で初心者向けのラグビー教室(杉並区後援)を開いた。半年前の参加者は66人だったが、この日は4・4倍の292人に膨れ上がった。
この教室は未就学児、小学生、中学生を対象に、日本協会が開催を呼びかけた全国一斉ラグビー体験会の一環。毎週の練習でも体験希望者は5~10人ずつ来ていて、W杯開幕後は20人を超える週もあり、手応えは感じていた。しかし区の広報紙にお知らせが載る教室は、事前申し込みだけで261人。当日飛び込み参加も加えれば300人に迫る可能性があった。
こどもが300人来るということは600人近い両親が付いて来る。スクール生とコーチ、保護者を合わせれば、グラウンドは1000人以上の親子でいっぱいになる。小学校1校分だ。今まで経験したことがない状況に、練習グリッド数を半年前の12から20に増やした。20グリッドに張り付けられるコーチ数が足りないので、中学部の生徒・コーチにもコーチ役を依頼し、自分の子が既に卒業して何年もたっているOBコーチも招集した。受付で長蛇の列ができないよう、受付スペースも拡張してより多くのお母さん方に立ってもらった。
練習メニューのネーミングも「にわかファン」層の興味を引くよう、日本代表の大躍進に敬意を表して「田村キック」「One Teamボールリレー」「フェラーリ松島」「ジャッカル姫野」などと工夫。入念な準備のおかげで、当日は滞りなく幼児137人、低学年103人、中学年44人、高学年8人に楕円球の魅力を伝えることができたと思う。
上記のことは杉並少年RSに限った話ではなく、都内に25あるスクールは全て、数字の大小はあれども同じ状況だったと聞いている。11月3、4日に開催された「2019年度東京都秋季ミニラグビー交流大会」にはNHKとTBSが「ラグビーブーム」を取材に来た。こんなことは4年前に日本代表が南アフリカに勝った時ですら、なかったことだ。W杯後、狛江、目黒両ラグビースクール設立が東京都協会で承認された。
杉並少年RSの生徒数は8月末の時点で、幼児から中学生まで127人だった。今年1月19日現在で過去最多の173人まで増えた。実に36%増だ。特に幼児は20人増えた。
よいことばかりではない。競技人口の急増に見合う①練習場所の確保②コーチングレベルの向上--が今後、全スクール共通の課題となってくる。NHKがW杯後、都内の各スクールを対象に行ったアンケート調査でも、9割のスクールが「グラウンドを確保するのが難しいと感じたことがある」と回答した。
今回増えた幼児・小学生は、日本ラグビー界の次世代を担うW杯のレガシー(遺産)であり、大切に育てていきたいと考えている。
(東京都ラグビースクール校長会議事務局)
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- 一斉ラグビー体験会の参加者4・4倍に (日本協会機関誌より)