2025年前期の最新ニュース

1) 日本人女性の平均寿命は、40年連続世界1

厚生労働省は7月25日2024年の日本人の平均寿命を発表した。

・男性は81.09才(前年と比べ、横ばい)

・女性は87.13才(前年と比べ、0.01才短かい)

男女とも、心疾患や新型コロナなどによる死亡率は減ったが、老衰、肺炎による死亡率が増えた。全体としては、前年のほぼ横ばいであった。              また、特記すべきは、最新の海外統計を基にした国別の比較では、女性40年連続の世界1位となった。                                一方、男性はスエーデン、スイス、ノルウエー、イタリア、スペインについで6位で、前年から順位を一つ落としたとしている。

2) 高血圧の治療値を、年令75才以上で「上130・下80未満」に引下げ

 日本高血圧学会は7月25日、高血圧の治療で血圧を下げる際の目標値について、75歳以上で上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)を、これまでの「上140・下90」から10引き下げ、「上130 ・下80未満」に抑える新たな治療指針を発表した。なお、70才未満は、「上130・下80」で変更はない。                         なお、これまで75才以上の目標値が高めに設定されていたが、今回下げること(過去に戻すこと)で脳卒中などの予防効果が高いと判断した。

3) 10万人の「介護離職者」が発生しており、今回、国はこれを防ぐため仕事と介護が両立できる「環境づくり」指針を発表し、企業にその実践を促した。

 超高齢化社会で親の介護をしながら働く人が増える中、年間10万人が介護のために仕事を辞めており、企業にとって介護離職を防ぐ対策が急務であるが、ノウハウが乏しいのが現状である中で、厚生労働省は7月、介護と仕事の両立支援を進めるためのガイドライン(指針)を策定し公表した。企業にとって役立つことが期待される。

4) がん手術の医師が、2040年には5千人不足し「今の医療継続ができない恐れ」

 がんの手術を担う消火器外科医が、2040年時点で約5千人不足する見込みであることが、関係学会の推計で分かりました。日本消化化器学会に所属する医師は、長時間労働などで若手から敬遠され、減っている。この傾向が続くと、2040年には9200人となり、2025年の1万5200人から約4割減ることになる。実際上、2040年には、最低1万4400人必要なので、5200人不足することになり、このままでは今のがん医療を継続できなくなる恐れがあるとして、厚生労働省は都道府県に対し、医療機関の集約化により労働条件の改善等の検討を要請した。

2024年 健康に関する最新ニュース

1)2024年の日本の総人口が発表された。

総務省は2024年10月1日時点での日本の総人口推計を発表した。
総人口は前年から89万人減少した。外国人の日本国籍取得者の増加人数を算入すると55万人の減少となり、総人口は1億2380万2千人となった。これによって、人口減少は14年連続となり、かつ減少幅は過去最大になった。

特に、出生者数が死亡者数を下回る「自然減」は18年連続となった。
また、75才以上の人口は2077万7千人で全体に占める割合は16.8%と過去最高を更新し、一方、15歳未満は1383万人で11.2%と過去最低を更新した。
政府による、人口減に歯止めをかける有効な施策が早急に期待されるところである。

2)百日咳の流行が急拡大している。

 激しい咳が続く百日咳の流行が拡大している。百日咳に罹った人は、2024年は4054人で、2023年の1009人の4倍強になった。また、2022年の499人の約8倍となった。

更に、2025年3月31日時点において、既に4771人と2024年の一年間を上回っている。この原因は、新型コロナの発生によりコロナワクチン接種が集中的に行われたため。百日咳のワクチン接種の実施が疎かになったためである。

今後、子供に対する百日咳ワクチン接種が急がれる。

3)新たな感染症危機に備え「国立健康危機管理研究機構」が発足した。

 新型コロナ感染症の経験を活かし、新たな感染症危機などに備える新組織「国立健康危機管理研究機構(JIHS、ジース)」が発足した。今後起こり得る重大な感染症危機への対応能力が強化された。今後における迅速かつ的確な感染危機対応が注目される。

4)ips細胞を使った治療法の開発が目立った。

 大阪大学、新興企業「クオリブス」は、ips細胞から心臓の筋肉(心筋)の細胞シートを作って心臓病患者に移植する治療法を発表し、細胞シートの製造販売承認を厚生省に申請した。

 京都大学病院は、ips細胞から膵臓でインスリンを放出する細胞を作って数センチのシートに加工し、糖尿病患者の下腹部に数枚移植する手術を行った。患者の経過は良好で既に退院した患者もいる。今後5年間経過を観察し、安全性や効果の検証を行う。

 大阪大学は、ips細胞から小さな幹細胞の塊「ミニ肝臓」を作ることに成功し、肝不全のラットに移植した結果、生存率が向上した。新しい治療法の開発につながることが確認され、将来における人間向けの治療法の確立が期待される。慶応大学も別の方法で「ミニ肝臓」の作成に成功した。

 京都大学は、ips細胞から作った神経細胞をパーキンソン病(注)の患者の脳に移植し、再生治療の効果を確認した。患者によっては介護がいらなくなるという驚異的な効果もあった。
(注)パーキンソン病とは、中脳のドーバミンを産生する神経細胞の変性又は細胞死によってドーバミン神経細胞が減少することによって発症、進行する病気である。
この病気では、体の動きに障害がおこる運動症状(手がふるえる、良くころぶ、指がふるえる、歩くときふらつく、身体がこわばる等)だけでなく精神症状を含む非運動症状(認知症、統合失調症)も併せて起きる。
日本では、1000人に1~1.5人程度の割合で患者がいると言われている。50才以上の患者が多いが、近年、40才以下の若者も発症している。若者発症の原因は、ストレスの増加や極端な運動不足によると言われている。

2023年 健康に関する最新情報

2023年に発表された健康に関する最新情報は下記の通りです。

(1)アルツハイマー病治療新薬「レカネマブ」が2023年9月23日に国内承認され、12月20日から販売が開始され患者への投与が始まりました。
生労働省の調査よると、我が国は高齢化に伴い65才以上の認知症高齢者は、2025年に約675万人(約5人に一人)と予測されています。
認知症には、アルツハイマー型、脳血管性型、レピー小体型、前頭側頭型の4種類があり、その中でもアルツハイマー型が全体の約6~7割を占めていおり、65才以上で発症リスクがますます高まる傾向にあります。
アルツハイマー型認知症は、脳内のアミロイドβ(ベータ)と言う異常なタンパク質が脳内に蓄積して脳の細胞が死滅し、脳が萎縮し、記憶障害が現れる症状で、時間や場所がわからなくなる見当識障害、判断能力や言語の理解力の低下などが現れます。

   その進行度は「前期・初期・中期・末期」に分かれ、

前期」では、軽度認知障害(MCI)と診断され、放置すると症状が進行するので、医者と相談して治療することが望まれる。
初期」では、同じことを何度も尋ねる、日付や曜日がわからなくなるなど、記憶力 が低下するので、生活において周囲の気遣いが必要になってきます。
中期」では、食事をしたことを忘れる、着替えやお金の払い方がわからなくなるなど、日常生活に支障をきたし、サポートを必要とする場面が多くなります。
「末期」では、排便や歩行が困難になり、徐々に寝たきりの生活になって行きます。

治療新薬「レカネマブ」は、上記「前期」の軽度認知障害、又は「軽度の認知症」と診断される段階で投与されるもので、脳内のアミロイドβ(ベータ)に直接働きかけることで神経細胞の破壊を阻止し、認知症状の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることが出来ます。高齢者は、おかしいと思ったら、早期に医者の診察を受けて、どう対処するか決めることをお勧めします。

ただ、新薬「レカネマブ」は使用開始されたばかりであり、実用化に向けて下記の問題を解決することが必要となっております。

①検査費用については、脳内にアミロイドβ(ベータ)が蓄積されていることを確認する必要がありますが、その検査は、現在、下記の2つの方法に限られております、
・放射性薬剤を体内に投与し、分析を画像化し検査を行う「アミノイドPET検査                                      ・局部麻酔を行い、腰に針を刺し、脳脊髄を採取し検査を行う「髄液検査」
上記の「アミロイドPET検査」は、費用が1回当たり約20万円~60万円と高価です。「髄液検査」は保険が適用され、1回当たり約3万円と比較的安価ですが、局部麻酔は身体への侵襲性があります。
②治療費については、新薬「レカネマブ」による治療は、2週間に1回投与し、1年半をめどに継続され、期間が長く生活に影響があります。治療費用は、年間約298万円で、公的保険、「高額医療制度」適用により、外来で年間約14万4443円の負担となります。(米国では、一人当たり年間約380万円の自己負担になっています)。

(2)高齢者の居場所づくり、即ち、「食」を通じた交流支援場所づくり、が各地に広まりつつあります。
一人暮らしの高齢者が増加する中、地域の高齢者が集まり、飲食しながら交流する「シニア食堂」が各地に広まりつつあります。
東京都は今年度(令和5年度)、シニア食堂の事業推進に乗り出しました。高齢者の孤立を防ぎ、心身の健康推進につなげてもらうことが狙いです。同事業では、シニア食堂1か所当たり最大65万円を支給し、会食に加え、健康講座の開催や多世代交流の場なども補助対象に含めると言うことです。すでに、目黒区、荒川区、奥多摩町に交付されました。
目黒区は区立特別養護老人ホームなどで「高齢者会食サービス」を開催しており、1食400円で、現在6か所で週1~2回実施しております。
荒川区では、2事業者が食堂を運営しており、1食400円で月4回開催しております。
奥多摩町では、65才以上の高齢化率が50%を超える町として、2つの自治会が20人以上が飲食や交流を楽しんでおります。

今後、この活動が全地域に広まり、高齢者の生活が支援されることが望まれます。

(3)政府は2023年12月22日、現行の紙の健康保検証を2024年12月2日に廃止すると決定しました。
廃止日から1年間は、紙の保険証を並行して使用できますが、1年後は「マイナンバーカード」のみを保険証として使用することになります。まだ「マイナンバーカード」を取得していない高齢者はできるだけ早く取得する必要があります。

(4)介護施設の住居費が、2024年8月から、月1800円引き上げられます。
厚生労働省は、12月27日、昨今の光熱水費の高騰を踏まえ、特別養護老人ホー ム(特養)などの介護施設の住居費を月1800円程度引き上げる方針を発表しました。特養の月々の住居費は、「ユニット型個室」は約6万1000円、相部屋(多床室)は約2万6000円となっていますので、それらが月1800円程度引き上げられると言うことです。

施設利用者は、住居費の他に、サービス利用料(1割負担)、食費を負担する必要がありますが、働く人の最低賃金がアップされること、食材費アップにより食費負担が2024年度から30円アップすることが決まっていますが、介護サービス料金の値上げに備えて、生活設計をしっかり見直す必要があります。

(5)新型コロナウイルス感染症の感染症分類が、結核などと同様の「2類」相当から、季節性インフルエンザなどと同様の「5類」へ2023年5月8日付けで移行しました。
①政府が関与した仕組みから自己の自主的仕組みに変更となりました。       ②マスクの着用は個人判断となり、2023年10月より、ワクチン接種、治療薬や入院医療費も公的負担から自己負担に変更となりました。              ③ワクチン接種は、2024年から定期接種となり、費用は一部自己負担となります。④新型コロナウイルス治療費の自己負担上限は、1割負担の方は3000円、2割の方は6000円、3割のかたは9000円となります。高額医療制度が適用されました。                      

40年ぶりの民法改定! 人生設計への影響は!

40年ぶりの民法改定 人生設計への影響は

4年前の2018年7月に、約40年ぶりに民法が改定され、その中の”相続に関する規定(相続法)”の大幅改定、および新設が行われ、2019年から今年にかけて順次施行されています。
特に注目すべきポイントは9つあり、何が、どう変わったか、ご説明します。

皆様に於かれては、コロナ渦で精神的に余裕がない状態であろうと存じますが、老後の人生設計に重要な事項ですので、この際、理解し、記憶にとどめていただきたく存じます。

【「自筆証書遺言」の要件緩和】
1.法務省令で定めた様式に従って書いた遺言書(「自筆証書遺言」)は、法務局で低額な費用で安全に管理・保管できるようになりました(法務局における「自筆証書遺言」の保管制度の新設)。(2020年7月10日施行)
2.法務局で保管された「自筆証書遺言」は、開封時に裁判所の「検認」が不要になりました。(2020年7月10日施行)
3.「自筆証書遺言」に添付する財産目録は、パソコンで作成することが可能となるとともに、通帳等の証拠書類の写しを添付して作成することも可能となりました。(2019年1月13日施行)
【配偶者の住居に関する権利の拡大】
4.配偶者に居住権が認められ、被相続人の死後、これまで住んでいた自宅(土地と家屋)に、終身又は一定期間そのまま無償で住むことが可能になりました(配偶者居住権の新設)。(2020年4月1日施行)
5.結婚期間が20年以上の夫婦間の住居用不動産の生前の遺贈・贈与は、遺産の先渡し(特別受益)の対象外となりました。(2019年7月1日施行)
【相続の円滑化】
6.遺留分を侵害された者は、遺贈・贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金額を請求することが可能になりました。また、遺贈・贈与を受けた者が直ちに支払いを準備することができない場合は、裁判所に支払期限の猶予を求めることが可能になりました。(2019年1月13日施行)
7.遺産分割前に、被相続人の預・貯金から必要経費を引き出すことが可能になりました(預・貯金の払い戻し制度の新設)。(2019年1月13日施行)
8.被相続人(例えば、夫の親)の介護や看病で貢献した相続権を持たない親族(夫の配偶者)は、相続人(夫等)に貢献の対価として金銭を請求することが可能になりました。(2019年7月1日施行)
【成年年齢の引下げ】  
相続には直接関係はありませんが、成人年齢が引き下げられました。9.成人年齢が20歳から18歳へ引き下げられました。これによって、女性の結婚年齢が16才から18才に引き上げられ、男性の結婚年齢が20才から18才に引き下げられました。(2022年4月1日施行)

上記の各項目に関して、下記の通り解説します。

1.これまでは、本人が自由に遺言書を作成し、自宅のタンス等に保管する方法、および公証人に依頼して遺言書を作成し、公証人役場に管理・保管する方法(「公正証書遺言」)がありましたが、今回、法務省民事課が「遺言書の様式の注意事項」として公表した作成方法で本人が遺言書を作成し、新設の「遺言書保管制度」を活用する方法(「自筆証書遺言」)が追加されました。
「遺言書保管制度」とは、公表された様式に基づいて書いた遺言書(「自筆証書遺言」)を、本人が最寄りの法務局に持参すれば、法務局担当者が、遺言書の書き方等が公表条件に適合しているかを確認してくれ、3,600円の費用を払えば、生涯、または一定期間、安全に管理・保管してくれる制度です。なお、保管中、所定の手続きにより、遺言書の閲覧および内容の変更を行うことができます。
2.遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を受けなければなりません。「検認」とは、家庭裁判所が相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書を開封し、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。
「検認」に関しては、
・今回の「遺言書保管制度」を活用した「自筆証書遺言」は、交付される「遺言書情報証明書」を提示することによって、裁判所の「検認」は不要となります。
・公証人に依頼して作成され、管理・保管された「公正証書遺言」も、交付される「遺言書情報証明書」を提示することによって、「検認」は不要となります。
・本人が自由に作成し、保管されていた「遺言書」は、家庭裁判所の」「検認」が必要であり、「検認」により適正と判断されると「検認済証明書」が発行されます。かかる手続き後、遺言の執行が可能になります。なお、「検認」を受けないで開封すると、罰金が課されるとともに、遺言の執行はできません。
3.「自筆証書遺言」に添付する「財産目録」はパソコンで作成しても、証拠書類の写しを添付し作成しても良いことになりましたが、下記事項を厳守する必要があります。
・A4用紙を使用すること
・規定通りの余白を残すこと(向かって左側20mm以上、右側5mm以上、上部5mm以上、下部 5mm以上)
・ページを付けること(例えば、3枚の1ページ目は“1/3 ”とする)          ・各ページの下部に氏名を自書し、捺印すること
4.住居(建物と土地)についての権利が、今般、「配偶者居住権」と「負担付きの所有権」に分けられ、遺産分割の際などに、配偶者が「配偶者居住権」、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を1:1の比率で取得することが可能になりました。また、預貯金は、従来通り、配偶者と配偶者以外の相続人が1:1の比率で分割することになります。なお、居住(建物と土地)に対する税金は権利の所有者が支払うことになりますが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に課したりすることができない分、評価額を低く抑えることができます。
例:相続人が妻(配偶者)と子供2人、遺産:自宅(家と土地)2,000万円+預貯金3,000万円の場合
(改正前)妻と子供の相続配分:1:1(2,500万円:2,500万円)
妻:2,500万円(自宅2,000万円+預貯金500万円)
子供:2,500万円(預貯金2,500万円)(2人の子供は均等分割)
(改定後)妻と子供の相続配分:1:1(2,500万円+2,500万円)
自宅:「 配偶者居住権」1,000万円+「負担付きの所有権」1,000万円
  妻:「配偶者居住権」1,000万+ 預貯金1,500万円

子供:「負担付き所有権」1,000万円+預貯金1,500万円
      (2人の子供は均等分割)

(コメント)「改正前」は、妻が自宅を取得する場合は、他の財産の額が少なくなり、「改正後」は、妻が自宅に継続し住居しながら、他の財産の額が増加します。
5.結婚機関が20年以上の夫婦間で自宅(家と土地)が遺贈(遺言によるもの)または贈与(生前契約によるもの)された場合は、遺産分割に於いて遺産の先渡しとして取り扱われなくなり、相続財産の総額からその分減額されなくなりました。
配偶者の妻は、自宅の生前贈与を受けた場合は、結果的により多くの相続財産を得て、生活を安定させることができるようになりました。
6.遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人について、その生活保障を図るなどの観点から、最低限の取り分を確保するする制度ですが、今回の改正により、遺留分を侵害された相続人は、被相続人から多額の遺贈、または贈与を受けた者に対して、遺留分侵害額(不足分)に相当する金銭を請求することができるようになりました(例えば、故人が配偶者がいるにもかかわらず「愛人に遺産をすべて渡す」という遺言書を作成しているとすると、配偶者の遺留分が相続財産の1/2なので、財産の1/2を愛人に対して請求できる)。法定相続人の財産に対する遺留分の割合は下記のように定められています。

相続人遺留分合計配偶者の遺留分子供の遺留分親の遺留分兄弟姉妹 の遺留分
配偶者のみ1/21/2
配偶者と子供1/21/41/4
配偶者と親1/21/31/6
配偶者と兄弟姉妹1/21/2
子供のみ1/21/2
親のみ1/31/3
兄弟姉妹のみ

なお、遺留分及び遺留分侵害額(不足分)の所定の計算法がある(ご要請により、別途説明)。
7.被相続人の死後、生活費用の支払い残額、葬儀費用、相続債務の弁済などの資金需要がある場合、遺産分割前に預貯金の払い戻し(口座からの引き出し)を行うことができるようになりました。
しかし、小口の資金需要については、家庭裁判所の判断を経ないで行うことができますが、比較的大口の資金需要については、債権限度額以内で払い戻しができるようになりました。
債権限度額の計算方法:  
(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準)x1/3 x(当該払い戻しを行う共同相続人の法定相続分)

8.被相続人の療養看護等を相続人以外の親族が無償で行った場合には、相続人に対して、金銭の請求ができるようになりました。例えば、夫の親の介護を妻が行った場合、妻(夫の親の財産の相続権はない)は、介護に費やした労力について夫等(親の財産の相続者)に対し相当の対価を請求できるようになりました。
9.成年年齢の引き下げに伴う年齢要件の変更が下記の通り行われました。

改正前「20歳」から、改正後「18歳」に変ったもの改正前「未成年」(20歳以下)が、改正後も「20歳」で維持されたもの
選挙権、被選挙権
契約行為、カード作成、借金等の実施 10年用一般旅券の取得
帰化の要件
性別の取扱いの変更の審判
人権擁護委員・民生委員・社会福祉主事資格
船舶職員、小型船舶操縦者講習実施講師等
喫煙年齢
飲酒年齢
アルコール健康障害の定義
養子をことのできる年齢
障子慢性特定疾病医療費の支給患児の年齢 競馬、競輪、競艇、カーレース勝者投票券の購入年齢等
改正前「未成年者」(20歳以下)から、改正後「未成年者」(18歳以下)に変ったもの改正前「20歳」が、「改正後」も維持されるもの
公認会計士資格
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師資格
司法書士、行政書士、社会保険労務士資格
土地家屋調査士資格
分籍
●犯罪者の実名報道 
大型、中型免許等
国民年金の被保険者資格
船長、機関長の年齢
猟銃の所持の許可年齢
特別児童扶養手当支給対象者年齢 
指定暴力団等への加入強要禁止年齢等

「新型ウイルス」について

  「ウイルス」に対しては、予防注射により免疫をつくることが、最大の防御策であることは論を待ちません。「新型コロナ」の予防注射もようやく開始され、一安心というところです。ただ、国内外の専門家から、感染し回復した後、味覚、だるさ、筋肉痛、頭痛、微熱等の後遺症が残ると言われていますので、回復途上にある方は、慌てず、時間をかけて回復に努めていただきたいと思います。 傷ついた体内免疫細胞を正常に戻すためには、細胞の新陳代謝、増殖を活発化させる発酵食品(納豆甘酒、味噌、チーズ、ヨ-グルト等)を取ることが有効と言われています。

  さて、「新型コロナ」は、インフルエンザ、ノロウイルスと同様に、「ウィルス」によって感染します。風邪、食中毒、百日咳、結核、肺炎などは、「細菌」によって感染・発病します。 「ウイルス」は、自己増殖できないので細胞の中に入り込んで増殖しますが、「細菌」は、自己増殖できるという違いがあります。また、「細菌」は抗生物質の投与で除菌できますが、抗生物質は「ウイルス」には効きません。従って、「ウイルス」については、培養したウイルスを薄めて作成したワクチンや不活性化したウイルスを含むワクチンを注射して、免疫細胞に攻撃の訓練をして備える方法と、特殊な遺伝子を含むワクチンを注射することによって、「ウイルス」が細胞内に入り込ませないようにする方法があります。日本が予防注射として今回輸入したワクチンは、後者のワクチンです。このワクチンは新しく開発されたワクチンであり、副反応を全て解明されていませんが、これまでの検証から、「新型コロナ」を発症するよりずっと人体に有益であることが確認されておりますので、予防注射を積極的に受けるのが自身にとって有益であるということが出来ます。  

  ちなみに、細胞、細菌、ウイルスの大きさを比較しますので、その違いを認識して下さい。

人の細胞: ほぼ円形で、細胞膜、核を有し、自己増殖する。
直径 約0.01mm
細菌: ほぼ楕円形で、細胞膜、核酸を有し、自己増殖する。
大きな方の径 約.001mm(大きさは細胞の約10分の1)
ウイルス : ほぼ円形で、タンパク質と核酸から構成され、自己増殖することなく、他の細胞内に侵入し増殖する。 直径 約.0001mm(大きさは細胞の約00分の1)
(出典:農水消費・安全局薬剤耐性対策班)