健康の話 2023年5月         体内に異物を侵入させない身体の仕組み        

私たちの身体には、外部から細菌、ウィルス等の異物の侵入を防ぐための三つの防御層が設けられています。                              ★一つ目は、「皮膚」で、下記の種類があります                ・身体の全体を覆う皮膚 ・鼻、のど、目、肛門、尿道口等のうすい粘膜 ・足の裏・手のひら等のような硬い皮膚 これら皮膚はそれぞれの役割を有する皮膚細胞が集まって作られており、 ・細胞同士が密着し外部からの侵入を困難にしています。 ・更に、粘液(注)を発出し、細菌、ウィルスを囲い込み侵入を防ぐとともに保温、保湿、及び免疫細胞への情報伝達を行っています。 (注) サラサラ:口の中の汚れを洗い落とす粘液:よだれ、なみだ等 ねばねば:皮膚の保温、乾燥を防ぎ、異物の侵入を防ぐ粘液:鼻水等 べたべた:足裏の汗、粘液便 ぬるぬる:気管支,食道の粘膜の保護、異物の侵入排除の為の粘液 ・また、織毛(気管支等)、線毛(のど等)、鼻毛をはやして、粘膜の保護、及び細菌、ウィルス、それらを付着した埃を囲い込み侵入をブロックし外へ送り出す働きをしています. ★二つ目は、皮膚を突破した細菌、ウィルスを迎え撃つのは、生まれつき身体に備わっている免疫細胞「自然免疫」です。侵入した細菌、ウィルスの約6割を攻撃し、排除すると言われています。                             ★三つ目は、特定の細菌、ウィルスのために培養したワクチンを予防接種し、特定の免疫機能を養成したり、免疫機能を強化した免疫細胞「獲得免疫」です。「獲得免疫」は侵入してきた特定の細菌、ウィルスを攻撃し、排除する最も有効な防御層です。      ★上記の三つの防御層を突破した細菌、ウィルスによって発病した場合、治療によって対応します。細菌については抗生物質による治療を行い、抗生物質が効かないウィルスについては、抗炎症薬、抗ウィルス薬、中和交代薬を適切に投与し、水分管理、栄養管理を行いつつ自然観察を行い治癒を待ちますが、重症化する場合は、人工呼吸、ECM(エクモ)を実施します。かかる治療にもかかわらず、結果として、命が失われることもあります。 上記した身体の仕組みを理解すると、下記の行為が身体の仕組みを助ける為に如何に重要であるかお分かり頂けると思います。 ・手洗い、うがいによって細菌、ウィルスを洗い落とすこと、入浴またはシャワーにより身体を清潔に保つこと ・計画される予防注射の接種を必ず受けること。  ・風邪、伝染病が流行する中で、身体の異変を感じた時には、遅滞なく診察を受け、適切な治療を受けること。

文 責:高橋 昭浩(当法人職員、健康管理士上級指導員/日本成人病協会) 参考資料:「ほすぴ」(日本成人病協会発行)、公開情報

健康の話 2024年11月             自律神経について

健康の基本は、”自分自身が、身体を形成している最小単位である「細胞」が喜ぶ生活をすることですが、今回の「健康の話 」では、その生活に大きく影響を与える”自律神経(交感神経と副交感神経)”について説明します。 人間には生命を維持するために、即ち、「細胞」が喜ぶ生活をするために必要な基本的身体条件(健康診断検査項目の正常な数値、自律神経の正常なバランス、各器官の正常な働き等)がもともと身体に備わっています。そして、その身体条件を変えるような気象条件、生活環境が発生すると、交感神経(体の機能を興奮モードにする)と副交感神経(体の機能を鎮静モードにする)、が頻繁に切替わりバランスを取り正常な身体条件を保つように働きます。それによって「細胞」が喜ぶ生活が保たれ、生命が維持されています。 しかし、気象条件、生活環境の変化が頻繁に発生することによって、交感神経と副交感神経が過度に切替わるようなことがあると、バランスが乱れ、いらいら、不眠、内臓機能の低下、消化機能の低下、食欲不振、免疫機能の低下等により、身体のだるさ等身体の不調を感ずるとともに風邪、インフルエンザに掛かり易くなります。 そこで、四季おりおりの気象条件、生活環境の変化を理解し、それら変化に対する交感神経と副交感神経の作用と身体への影響を理解し、適切な対策(予防、軽減、そして乱れを安定させる対策)を講ずることによって、年間を通して安定した健全な生活を維持することが可能になります。 以下にその内容を解説します。 【1】自律神経(交感神経と副交感神経)について 興奮モードを担い、主に日中にもともと優位となる交感神経と、鎮静モードを担い、主に夜にもともと優位となる副交感神経は、日々の気象条件、生活環境の変化に対応して頻繁に切替わりバランスを取り自動調整して、基本的身体条件を守っています。 しかし、両神経がバランスを乱し、調整機能を失ったりすると基本的身体条件に変動をきたし、身体の不調を感じたり、発病したりすることになります。 気象条件、生活環境の変化に伴う交感神経と副交感神経の各器官への作用をまとめると下記の通りです。

自律神経器官交感神経副交感神経
(気分)緊張、興奮リラックス
血管(末梢血管)収縮させる拡張させる
血圧上げる下げる
汗・鳥肌汗を分泌し体温を下げる(暑い時など)鳥肌を立てて熱の放出を防ぐ(寒い時など)
心臓脈拍を早くする脈拍をゆっくりする
気管広げる狭くする
胃腸働きを抑える活発にする
呼吸早くする遅くする
排便・排尿抑制する促進する
消化消化液の分泌を抑え、抑制する消化液の分泌を高め、促進する
瞳孔拡大し、涙の分泌を抑制する収縮し、涙の分泌を促す
唾液量を少なくする量を多くする

【2】季節の気象条件、生活環境の変化及び変化に伴う自律神経の作用と身体への影響

春は3月~5月の期間を言い、「春分の日」頃から冬のきびしい寒さが終わり、だんだん温かくなり、桜が咲き、草花が芽生え、身体も心も軽くなるような爽やかな季節であると言われていますが、実は、気温の寒暖差、気圧の変動、及び生活環境の変化が頻繁に発生し、交感神経と副交感神経の切替えが頻繁に行われ、バランスが乱れ安い時節と言えます。 (1)初春は「3寒4温」と言うように高気圧によりポカポカ暖かい日になると思えば、一転して低気圧により寒い日になり、その後、いわゆる「春一番」により急に気温が上昇したり、「春の嵐」と呼ばれるように、強い雨が降ったり、強い風が吹いたりします。このようにこの時期は気温・気圧の変化が頻繁に起こります。 かかる気温・気圧の頻繁な変化に対応して、両神経の切替えが頻繁に続くため、調整機能のバランスが乱れ易くなり、体の不調を感じ易くなります。 (2)5月になると高気圧が張り出してきて温かく澄み渡った青空になり、からっとした「五月晴れ」が多くなります。この時期は副交感神経が優位となりリラックス状態が続き、体調もよく、ゆったりした気分になります。 ただ、この頃から冬の夜長が短くなり、朝明けが早くなり、「春眠暁を覚えず」と言うように 寝不足を感ずる日が多くなり、それがストレスとなって交感神経が必要以上に高まり、結果として体調不良を感じ易くなります。 (3)また、3月の年度末には、卒業、入学、入社、異動、転勤という生活環境の変化が多くな り、人との接触が増え、喜怒哀楽の感情の起伏も多くなり、交感神経と副交感神経の切替えが頻繁になり、バランスが乱れ易くなり、体調を崩し易くなります。
夏          夏は6月~8月の期間を言い、じめじめした梅雨期が終わると、高温、高湿度の太平洋高気圧が張り出し、気温が急速に上昇し、蒸し暑い猛夏が到来します。 冷房の効いた快適な室内と猛暑の屋外を頻繁に出入りする生活が続くとともに冷房の効いた室内に1日中のほとんどを過ごすことが多くなります。 頻繁な出入りにより両神経が頻繁に切替わることによってバランスを乱し易くなり、また、涼しい快適な室内に長く滞在することによって両神経の体温調節機能が緩慢になり、内臓機能の低下により身体の不調を感ずるととも、免疫機能の低下により夏風邪、インフルエンザを発病し易くなります。 更に、高温で湿度が高い日は、熱が体中こもり「熱中症」を発症し易くなります。 また、夏の風物詩である花火大会、盆踊り、夏祭り等に加え、海水浴、山登り等の野外活動が活発になり、喜怒哀楽の感情によって交感神経が必要以上に刺激されます。そして、夕方になっても収まらず、夜に優位であるべき副交感神経より優位の状態が続くと両神経の調整バランスが乱れ、身体の不調を感ずるとともに、夏風邪、インフルエンザを発病し易くなります。
秋              秋は9月~11月の期間を言い、「女心と秋の空」の諺のように、初秋は、晴れと雨を繰り返す変わり易い天候が続き、時には「秋の長雨」となります。また、9~10月に伊勢湾台風のような大きな「秋台風」が到来しますが、それが過ぎると、すがすがしい、「小春日和」、「秋晴れ」が続き、「天高く馬肥ゆる秋」、「実りの秋」、「食欲の秋」が到来します。台風の時期を除けば、秋は気温、気圧、湿度ともに安定した日々が多く、旅行などの外出、「秋祭り」等生活環境がざわつくこともありますが楽しさが勝り、気分の良い日々が続き、交感神経と副交感神経がバランス良く働き、一年中で最も自律神経が安定する時節となります。 ただ、11月になると、「秋冷え」となり、「木枯らし」が吹き始めます。寒さが身に染みる日々が続くと、交感神経が働き、血管を収縮させ、血流を抑え体温が奪われないように働き、夜になっても副交感神経を上回る場合は、両神経のバランスが崩れ、体調の不調を感じ易くなります。
冬は12月~2月の期間を言い、1年で最も寒さが厳しくなる季節です。屋外は寒いが屋内は暖房で温かく、頻繁な出入りによって、両神経の切替えが頻繁に行われ、バランスを乱し易くなります。また、クリスマス、年末・新年を迎え生活環境がざわつくとともに飲み過ぎ、食べ過ぎによって消化機能が乱れや易くなります、また、人混みの中に滞在する機会も多くなり、交感神経が強く働き、両神経のバランスが乱れ易くなります。それらによって、不眠を引き起こし、身体の不調を感じ易くなるとともに風邪やインフルエンザに掛かり易くなります。

【3】自律神経のバランスの乱れを予防、軽減し、そして乱れたバランスを安定させる対策

春、夏、秋、冬いずれの季節においても、気温・気圧・湿度の高低の変化が発生しますが、その変化が頻繁に起こると自律神経(交感神経と副交感神経)の作用が乱れ、いらいらしたり、不眠になって、内臓機能が低下、消化機能の低下、食欲の減少を引き起し、その結果エネルギーが減少し身体がだるくなったり、疲労感を強く生ずるとともに抵抗力が低下し風邪やインフレンザに掛かり易くなることについては、既に、ご説明した通りです。   そこで、お気付きのことと存じますが、「四季を通じて発生する交感神経と副交感神経の乱れをいかにして防ぐか、軽減するか、また、乱れを安定させるか、適切に対策を講ずること」が重要なポイントであると言うことがお分かりのことと存じます。   重要なポイントとなる主な対策をまとめると下記の通りですが、体験からもそれほど難しいことではなく、容易に行うことが可能と思われますので、出来る範囲で早速始めていただきたく存じます。 (1)3食を必ず取ること。  朝食:洋食、和食いづれでも結構ですが、ただ、量は軽めが望ましい。  昼食:洋食、和食いづれでも結構ですが、しっかり食べたほうが良い。尚、発酵食品(例えば、ヨーグルト、納豆)、及び野菜をメニューに加えること。  夜食:好きな食べ物で消化の良いものを食べ過ぎないように取ること。食後、白湯を一杯飲むこと。尚、食後、お茶などの飲み物を飲む習慣の方は、お茶碗、グラスに1~2杯程度とし、頻尿を避けるためにも飲み過ぎないようにすること。  (2)寝る前に、ゆっくりお風呂に入ること  日中には気象条件、生活環境の変化によって交感神経と副交感神経の作用に乱れを生ずることが多いので、寝る1~2時間前に湯温38℃~40℃のお風呂に、10分~15分間ゆったりした気分で、半身浴すること(半身浴では物足らない方は、どっぷりつからず、せいぜい肩が出る程度までつかることをお勧めします)。入浴直後に、グラス1杯の水を飲むこと。 これによって、乱れていた両神経のバランス機能が戻るとともに、夜には優位となる副交感神経が正常な状態になります。 (3)睡眠を十分に取ること。 入浴後、20分~30分程度ゆっくり休み、体温が下がる前に布団に入ること。副交感神経が優位となり体温が下がり始め眠くなります。最低3時間の熟睡を含め6時間の睡眠を取るのが望ましい。寝付かれない場合や途中目が覚めた場合には、布団の中にそのまま横になって眠くなるのを待つこと、その間音楽を聴いたり、ラジオを聴いてもよいし、読書が良い方はそれでもよいが、睡眠を誘うような難解なものが良い。 (4)5,000歩~8,000歩のウオーキングを行うこと(高齢者は1万歩を超えないようにすること)。毎日が望ましいが、週2~3日でもよい。  周りの景色を眺めながら、きれいな花があれば美しさを感じながら普通の速度で、若干大股で歩くように努めること。ただし、靴はウオ-キング用のものを購入し履くこと。 (5)腹式呼吸を行うこと、そして身体の右側を下にして寝ること。  布団に入った時、3秒ほどかけて鼻または口から腹を膨らませながら空気を吸い込み、そのまま3秒ほど息を止めて、6秒ほどかけて腹をへこませながら空気を吐くこと、5回程度行うこと。 これによって、副交感神経が活発化し、睡眠に入り易くなる。 また、その後、身体の右側を下にして寝ることによって、呼吸がし易くなり、熟睡し易くなる。 (6)時間を見つけて、下記事項を行うように努めること。  好きなことを行うこと(好物を食べる・のむ、好きな映画・TVを見る)、笑うこと(落語を聞く、笑えるTVを見る)。公園などでボーとすること。気の合う人と会話すること。冷たいものや甘いものを取り過ぎないこと。長く室内で過ごす場合は、ときどき窓を開けること。座りっぱなしが続く場合、時々立つ・歩く・ストレッチを行い身体を動かすこと。                                      文  責 :高橋 昭浩(当法人職員、健康管理士上級指導員/成人病予防対策協会)         参考資料:「ほすぴ」(成人病予防対策協会発行)、公開情報

健康の話 2025年8月          猛暑と感染症  

今年の猛暑により、下記の通り、身体的異常、及び細菌、ウイルスの異変株の感染が起きています。                                 (1)熱中症が異常に発生しています。症状は高熱                (2)百日咳の感染が神殿だけでなく大人気も拡大している。症状は、       (3)新型コロナの異変株”ニンバス”の感染が広がっている。症状は、        (4)”マダニ”の異常発生により、刺された事による感染症が広がっている。症状は

上記(1)の熱中症以外は、(2)百日咳は細菌、(3)“人パス”及び(4)“マダニ”はウイルス、による感染症である。                         熱中症は遅滞なく、医療機関で治療することが必要であるが、細菌の感染に対しては抵抗力を高めておくことが必要であり、ウイルスの場合は、予防接種により抗体を備える必要がある。

細菌の感染に対して免疫力を高めるには、                     ★抗酸化作用(細胞を酸化させる活性酸素を減らす作用)があり、また、細胞の根粘膜を丈夫にしウイルスの侵入を防ぐ効果があるビタミンA、C、Eなどを摂取するために、色々な色彩の野菜、果物を取ること                       ★良質なタンパク質を摂取するために、肉、魚、卵、豆腐などの大豆製食品を取ること★腸内環境を整え、腸の免疫細胞を活性化させるために、、納豆、キムチ、みそ、ヨーグルト等の発酵食品、キノコ、海藻などの植物繊維を取ること            ★血行やリンパの流れを促進し、免疫細胞の働きを活性化させるために、ウォーキング、ジョギング等の有酸素運動を無理せず継続して適度に行うこと          ★睡眠中に分泌される成長ホルモンは、疲労回復や細胞の修復、免疫機能の強化に不可欠なので、7時間程度の質の良い睡眠をとること                 ★免疫細胞の活動性を低下させないように、体温を適切に維持するために、服装に留意すること、就寝前に適温の風呂に入ること、気温が高すぎる場合は冷房を適切に使うこと                                      ★好きな音楽を聴く、同署する、散歩をする、笑う等によりストレスの解消に努め、過剰なストレスによる免疫量の低下を防ぐこと                   ★ワクチン接種は必ず行うこと                         ★こまめな水分補給、口腔ケア、禁煙を行うこと

文責:高橋 昭浩(当法人職員、健康管理士上級指導員/日本成人病予防協会) 参考文書:「ほすぴ{(日本成人病予防協会発行)、公開情報

健康の話                                  2025年 健康に関する最新情報

1)ラーメン「週3回以上」は死亡リスク1.52倍                    ラーメンの本場山形県の山形大医学部と県立米沢栄養大の共同研究チームが、ラーメン好きの山形県民を追跡調査したところ、「ラーメンを週3回以上食べる人は週1~2回の人に比べて死亡リスクが1.52倍高い傾向にある」との研究結果が出たことを発表しました。                                   総務省の家計調査で、」山形市は外食の「中華そば」(ラーメンなど)の年間支出額で全国3連覇中であることから、研究者は山形市民に「ラーメンの食べすぎに注意してほしい」と呼び掛けていると言うことです。                      ラーメンには、具材の選択により、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、植物繊維を摂取できると言われますが、毎日食べると、炭水化物、脂質、塩分の取りすぎになってしまい、糖尿病、高血圧、肥満症になる可能性大となります。               2)認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」の人は、3割が5年後に「正常」に戻る                                     認知症の前段階{MCI}と診断された高齢者の約3割はある対策を取ることによって、5年後に認知機能が正常に戻ったとする研究結果を、九州大のチームが発表しました。                                      ある対策とは、                                ①糖尿病がない、血圧がたかくない等の生活習慣病がないこと           ②運動等により筋力が保たれること                       上記の対策は、認知症の前段階の回復だけでなく認知症の予防に役立つものであります。                                     3)ノーベル賞受賞坂口志文教授チームが「制御性T細胞」の大量作製の技術に成功             今年のノーベル生理学・医学賞の受賞者である坂口志文大阪大特任教授らの研究チームは、「制御性T細胞(Tレグ)」の大量作製技術の確立に成功したとの発表があった。  これまで安定したTレグを大量に作成することが難しかった。            人の免疫細胞の一つであるT細胞は、体内に入った病原菌を攻撃する役割がりますが、一定の割合で「不良品」のT細胞が生じ、その「不良品」T細胞は誤って自分の体を傷つけて炎症を引き起こします。この「制御性T細胞(T細胞)」は不良品T細胞の活動を抑える働きがあり、この働きを利用して「自己免疫疾患」などを治療できる研究が大きく前進し、リュウマチなどの完治の可能性が出てきました。

文責:高橋 昭浩(当法人職員、健康管理士上級指導員)             参考文書:「ホスピ」及び「健康関連最新情報」(日本成人予防協会 発行)

2023年 健康に関する最新情報

2023年に発表された健康に関する最新情報は下記の通りです。

(1)アルツハイマー病治療新薬「レカネマブ」が2023年9月23日に国内承認され、12月20日から販売が開始され患者への投与が始まりました。
生労働省の調査よると、我が国は高齢化に伴い65才以上の認知症高齢者は、2025年に約675万人(約5人に一人)と予測されています。
認知症には、アルツハイマー型、脳血管性型、レピー小体型、前頭側頭型の4種類があり、その中でもアルツハイマー型が全体の約6~7割を占めていおり、65才以上で発症リスクがますます高まる傾向にあります。
アルツハイマー型認知症は、脳内のアミロイドβ(ベータ)と言う異常なタンパク質が脳内に蓄積して脳の細胞が死滅し、脳が萎縮し、記憶障害が現れる症状で、時間や場所がわからなくなる見当識障害、判断能力や言語の理解力の低下などが現れます。

   その進行度は「前期・初期・中期・末期」に分かれ、

前期」では、軽度認知障害(MCI)と診断され、放置すると症状が進行するので、医者と相談して治療することが望まれる。
初期」では、同じことを何度も尋ねる、日付や曜日がわからなくなるなど、記憶力 が低下するので、生活において周囲の気遣いが必要になってきます。
中期」では、食事をしたことを忘れる、着替えやお金の払い方がわからなくなるなど、日常生活に支障をきたし、サポートを必要とする場面が多くなります。
「末期」では、排便や歩行が困難になり、徐々に寝たきりの生活になって行きます。

治療新薬「レカネマブ」は、上記「前期」の軽度認知障害、又は「軽度の認知症」と診断される段階で投与されるもので、脳内のアミロイドβ(ベータ)に直接働きかけることで神経細胞の破壊を阻止し、認知症状の進行を抑制し、認知機能と日常生活機能の低下を遅らせることが出来ます。高齢者は、おかしいと思ったら、早期に医者の診察を受けて、どう対処するか決めることをお勧めします。

ただ、新薬「レカネマブ」は使用開始されたばかりであり、実用化に向けて下記の問題を解決することが必要となっております。

①検査費用については、脳内にアミロイドβ(ベータ)が蓄積されていることを確認する必要がありますが、その検査は、現在、下記の2つの方法に限られております、
・放射性薬剤を体内に投与し、分析を画像化し検査を行う「アミノイドPET検査                                      ・局部麻酔を行い、腰に針を刺し、脳脊髄を採取し検査を行う「髄液検査」
上記の「アミロイドPET検査」は、費用が1回当たり約20万円~60万円と高価です。「髄液検査」は保険が適用され、1回当たり約3万円と比較的安価ですが、局部麻酔は身体への侵襲性があります。
②治療費については、新薬「レカネマブ」による治療は、2週間に1回投与し、1年半をめどに継続され、期間が長く生活に影響があります。治療費用は、年間約298万円で、公的保険、「高額医療制度」適用により、外来で年間約14万4443円の負担となります。(米国では、一人当たり年間約380万円の自己負担になっています)。

(2)高齢者の居場所づくり、即ち、「食」を通じた交流支援場所づくり、が各地に広まりつつあります。
一人暮らしの高齢者が増加する中、地域の高齢者が集まり、飲食しながら交流する「シニア食堂」が各地に広まりつつあります。
東京都は今年度(令和5年度)、シニア食堂の事業推進に乗り出しました。高齢者の孤立を防ぎ、心身の健康推進につなげてもらうことが狙いです。同事業では、シニア食堂1か所当たり最大65万円を支給し、会食に加え、健康講座の開催や多世代交流の場なども補助対象に含めると言うことです。すでに、目黒区、荒川区、奥多摩町に交付されました。
目黒区は区立特別養護老人ホームなどで「高齢者会食サービス」を開催しており、1食400円で、現在6か所で週1~2回実施しております。
荒川区では、2事業者が食堂を運営しており、1食400円で月4回開催しております。
奥多摩町では、65才以上の高齢化率が50%を超える町として、2つの自治会が20人以上が飲食や交流を楽しんでおります。

今後、この活動が全地域に広まり、高齢者の生活が支援されることが望まれます。

(3)政府は2023年12月22日、現行の紙の健康保検証を2024年12月2日に廃止すると決定しました。
廃止日から1年間は、紙の保険証を並行して使用できますが、1年後は「マイナンバーカード」のみを保険証として使用することになります。まだ「マイナンバーカード」を取得していない高齢者はできるだけ早く取得する必要があります。

(4)介護施設の住居費が、2024年8月から、月1800円引き上げられます。
厚生労働省は、12月27日、昨今の光熱水費の高騰を踏まえ、特別養護老人ホー ム(特養)などの介護施設の住居費を月1800円程度引き上げる方針を発表しました。特養の月々の住居費は、「ユニット型個室」は約6万1000円、相部屋(多床室)は約2万6000円となっていますので、それらが月1800円程度引き上げられると言うことです。

施設利用者は、住居費の他に、サービス利用料(1割負担)、食費を負担する必要がありますが、働く人の最低賃金がアップされること、食材費アップにより食費負担が2024年度から30円アップすることが決まっていますが、介護サービス料金の値上げに備えて、生活設計をしっかり見直す必要があります。

(5)新型コロナウイルス感染症の感染症分類が、結核などと同様の「2類」相当から、季節性インフルエンザなどと同様の「5類」へ2023年5月8日付けで移行しました。
①政府が関与した仕組みから自己の自主的仕組みに変更となりました。       ②マスクの着用は個人判断となり、2023年10月より、ワクチン接種、治療薬や入院医療費も公的負担から自己負担に変更となりました。              ③ワクチン接種は、2024年から定期接種となり、費用は一部自己負担となります。④新型コロナウイルス治療費の自己負担上限は、1割負担の方は3000円、2割の方は6000円、3割のかたは9000円となります。高額医療制度が適用されました。