健康の話 

身体がだるい、疲れた! どうして? どすればいい?

皆様は、時々、「だるい、しんどい、疲れた」と感ずることがあり、”なぜだろうか、どうすれば良くなるだろうか”と思うことがありますが、下記をご参考にしていただき日常生活において対応して頂きたく思います。

.「だるい、しんどい、疲れた」と感ずる原因は何だろうか?

(1) 頭や気を使い精神的ストレスが重なった時                      (2) 運動や労働で肉体的ストレスが重なった時                      (3)自律神経の乱れた時                                          (4)体に病的な異常がある時

これ等の原因によって、「だるい、しんどい、疲れた」と感じ「やる気の欠如、発熱、痛み」が現れる場合があります。「やる気の欠如、発熱、痛み」は「三大生体アラーム(警告)と言われています。                        

 詳しく説明しますと、

(1) 精神的ストレスの場合、頭や気を使う仕事を行うと、集中や計画、意思決定、洞察、判断、想起などを担う脳の前頭葉「前頭前野」の脳細胞が活発に働きますが、その為のエネルギーは、細胞内の小器官である「ミトコンドリア」がヘモグロビンの運んでくる酸素を介して行う脂質、糖質の代謝(燃焼)によって、産出されます。同時に、この産出の過程で酸素の約2%が活性酸素(通常より活発化した酸素)になります。その一部は免疫性の向上に役立ちますが、過剰な「活性酸素」は細胞を傷つけます。体内には、過剰な活性酸素の発生抑制・除去を行う「酵素」や「抗酸化物質」による抗酸化防御システムが備わっていますが、過剰に活性酸素が産出されますと防御システムが追い付かず、脳細胞が傷ついたままになり、その状況を察知した免疫細胞が炎症反応を起こします。  この炎症反応が脳細胞内で起きると、症状が脳に伝達され、「だるい、しんどい、疲れた」と感じ倦怠感、 意欲低下が現れます。

(2) 肉体的ストレスの場合、上記の精神的ストレスの場合と同様に、過度な運動・労働を行うと、筋肉細胞内の「ミトコンドリア」はその為のエネルギーを産出すると同  時に活性酸素を過剰に産出し、その活性酸素により炎症反応が起こり、筋肉に発熱や筋肉痛が発生し、この症状が脳に伝達され、倦怠感、意欲低下が現れます。

(3) 自律神経、即ち、活動を担う交感神経、休息・リラックスを担う副交感神経を構成する神経細胞に、過度な四季の変化、温度・気圧・湿度の変化、生活環境の過度な変化により、過度な負荷がかると自律神経をコントロールする脳細胞は大量のエネルギーを必要とし、その為の「エネルギー」を「ミトコンドリア」は酸素を使用して脂質、糖質を燃焼し産出すると同時に、過度な「活性酸素」を派生します。その「活性酸素」は  細胞内に炎症症状を発生させ、その症状が脳に伝達され、倦怠感、意欲低下が現れます。

(4) 体に病的異常を感ずる場合は、内臓等の疾病(内臓等の細胞の異変)があったり、菌やウイルスの感染による免疫細胞の活動によって発熱、痛み等を感じ倦怠感、意欲低下が現れます。この場合は、遅滞なく病院に行き内科治療等を受けることが必要です。

以上から、(4)の病気にかかった場合を除き、「だるい、しんどい、疲れた」と感じ倦怠感、意欲低下が現れるのは、脳あるいは筋肉を構成する細胞内で「ミトコンドリア」がエネルギーを産出する過程で発生する過剰な「活性酸素」によって炎症反応が起こることが原因であるとお分かり頂けたと思います。

尚、この「活性酸素」は、下記の外的原因によって増えることに留意して下さい。

・赤外線

・農薬

・大気汚染

・電磁波

・タバコ

・アルコール

                                                                                                                 

2.では、どうすれば細胞内での「活性酸素」による炎症反応を防ぐことが出来るだろうか?

1) 細胞内の「ミトコンドリア」が酸素と脂質、糖質によりエネルギーを産出する活動を活性化し、副産物である「活性酸素」の派生を少なくすること。

2)「酵素」や「抗酸化物質」は「活性酸素」の発生抑制・除去に役立つので、食事により積極的にこれ等を摂取すること。

3)外的原因については、日常生活において回避・減少・取り止めることに努めること。

以下に解説します。

1)「ミトコンドリア」を活性化させるのは「コインザムQ10」と言う栄養素で、それは体内で合成されますが、食事で補うことが必要です。それを含む食品は、イワシ・ハマチ等青魚の刺身、豚肉、牛肉、卵、オリーブオイル、ブロッコリー等です。 ただ、これらの食品を、ビタミンやミネラルを含む食品、即ち、野菜・果物やカキ、豚レバー、牛赤身肉、小麦胚芽、ナッツ、タケノコ、卵等、と一緒に取ることによって「コインザムQ10」の吸収が促進され、「ミトコンドリア」がより活性化しますので、食べ合わせについても常に留意すべきです。

2)「酵素」はたんぱく質の一種で、「活性酸素」と反応し消化、吸収、代謝、排せつを促進する役割を担っています。言い換えれば、「酵素」は「活性酸素」を減らすことに役立っています。「酵素」は体内でも産出されますが、不十分なので食事で摂取する必要があります。「酵素」を含む食品は、新鮮な野菜・果物、及び納豆・味噌、ヨーグルト、バッター、チーズ、キムチ等の発酵食品が主なものです。

また、「活性酸素」を取り除き酸化を抑える「抗酸化物質」を多く含む食品としては、ブドウ(アントシアニン)、大豆(イソフラボン)、ゴマ(リグナン)、トマト(リコピン)、スイカ(リコピン)等です。 従って、これ等食品も計画的に摂取するように努めるべきです。

3)外的原因については、日常生活において注意して避けたり、減らしたり、取り止めたりすることによって、不要に「活性酸素」を増やさないようにすることが出来ます。

2019年3月6日付「健康の話」で、健康は “体の最小単位である「細胞」が喜ぶ生活をすること” であると申し上げましたが、今回の説明を通じて、“「細胞」が喜ぶ生活”とは、“「細胞」の活動のエネルギーの供給を担う「ミトコンドリア」が喜ぶ生活”、即ち、“「ミトコンドリア」が活性化する生活”、と言い換えることが出来るとお気付きのことと存じます。

まとめますと、下記のようになります。

1)先ず、「細胞が喜ぶ生活」、即ち、「ミトコンドリアが活性化する生活」の為には、毎日取る食事が最も大事であることです。従って、食品の栄養を良く知った上で、料理を工夫し、計画的に、バランス良く食べることに努めることです、同時に、食品の食べ合わせについても留意することです。

2)次に、「やる気の欠如、発熱、痛み」がある時は、休息すること、また、体に病的異常があるときは、病院へ行くこと。

3)合わせて、「ミトコンドリア」を活性化する日常の生活態度として、規則的な生活、適度な運動、十分な睡眠を行うことに努めること。

最後に、「三大生体アラーム(やる気の欠如、発熱、痛み)」について正しく理解し、日常生活においてそれを生かし、適切に対応することによって、より豊かな生活を送られるよう願っています。

文 責:高橋 昭浩 当法人職員(健康管理士上級指導員)                        参考書類:「ほすぴ」日本成人病予防協会発行、その他公開情報