健康の話

今年の猛暑により、下記の通り、身体的異常、及び細菌、ウイルスの異常感染が起きています。                                   (1)「熱中症」が異常に発生しています。                      原因:猛暑による体内の水分不足です。                        症状:めまい、だるさ、吐き気・嘔吐、発熱です。                   重症化すると、意識障害を発症することがあるので、症状に気づいたら遅滞なく医療機関の治療を受けること。                                    予防:特に夏期においては、気象予報に留意し、室温の調整、及びきめ細かな水分補給を行うこと。                                     (2)「百日咳」の感染が子供だけでなく大人にも異常に拡大しています。        原因:百日咳は細菌による感染です。接近、くしゃみによる空気・唾液飛散で感染します、また、体液・排出物に触れることによっても感染します。            症状:咳が長く(2~3週間)続き、就寝時に咳が出ることが多く、発熱、鼻炎、咽頭炎を伴うことがあり、重症化すると咳発作を起こします。なお死亡率は低い。          予防法:細菌は、体内に侵入すると、自己増殖し症状を悪化させます。        うがい、手洗い、マスク等により侵入を防ぐこと。               侵入した細菌を攻撃し、排除する為に元々体内に備わっている「自然免疫」力を高める為に、バランスよい食事により必要な栄養素を摂取こと。            ・「自然免疫」では排除できない細菌については、「抗生物質」により排除が可能ですので、適切に、医療機関の治療を受けること。                                                                  ・百日咳ワクチンを必ず接種し、「獲得免疫」(ワクチン接種により、百日咳に特化した免疫情報を自然免疫に記憶させ、次に同じ百日咳細菌が侵入した際に迅速かつ強力に対応し排除する後天的な免疫システム)により、免疫力を高めること。       (3)”マダニ”が異常発生しており、刺す事によりいろいろな病気を媒介し、感染させます。例えば、ダニ媒介脳炎、ツツガムシ病、日本紅斑熱等です。               原因:”マダニ”は、動物の皮膚を刺すことにより各種の病気のウイルスを体内に注入し、感染させます。                                  症状: 刺された皮膚の箇所に、赤い丸い斑点が現れます。なお、“マダニ”が刺したまま残っていることもありますが、その場合は取り除かず医療機関を受診すること。                    刺されて数日後に、発熱、頭痛、発疹等の症状が現れます。              注意すべきは、犬、猫等のペットが刺され感染している場合があり、その場合、唾液、排出物等に接触することにより感染することがあります。              重症化すると、ダニ媒介脳炎、ツツガムシ病、日本紅斑熱等の恐ろしい感染症を発症しますので、症状に気づいたら、遅滞なく医療機関を受診すること.

予防:森林、原野等に入るときは、肌が出ない服装を着ること。芝生にむやみに寝転がないこと。特に、幼児を野原等で遊ばせる時は、服装に注意すること。帰宅した時、服装を取り換え、風呂・シャワーを浴びて体を洗い、また刺されていないかチェックすること。                                    ペットは、体調が悪い様であれば、医療機関に受診すること。           予防接種はまだ十分に整備されていませんが、マダニ媒介脳炎に対しては、「タイコバックR」と称するワクチンが2024年3月に日本絵政府から承認されました。    

死亡率が高いので、症状が感知されたら遅滞なく医療機関の治療を受けること。 

(4)新型コロナの異変株“ニンバス”の感染が広がっています。 原因:新型コロナは過ぎ去った感染症という位置づけになっており、令和6年度以降のワクチン接種は定期接種(B類)に位置付けられ、65才最上の高齢者が対象になっています。従って、人口の大部分は免疫期間を過ぎた状態になっています。この様な状況下で、新型コロナの異変株”ニンパス”が広がり始めています。             症状:”ニンパス”の症状は、カミソリで切られた様な喉の痛みが特徴で、倦怠感、筋肉痛、頭痛、吐き気・嘔吐を伴うことが多い。                   新型コロナ同様、後遺症が現れるので注意を要します。               予防:ワクチン接種は自己負担で可能なので、医療機関と相談すること。高齢者は、役所の計画に従って必ず接種を受けること。                   (5)細菌、ウイルスによる感染、症状の悪化を防ぐ為に、下記の通り「自然免疫」、「獲得免疫」の免疫力を高めることが肝要です。                   ★バランスの取れた食事                            免疫細胞の元となる良質なタンパク質を摂取する為に、肉・魚・卵・大豆製品を取ること。                                      抗酸化作用(免疫細胞を参加させる活性酸素を減らす作用)を高め、細胞の粘膜を丈夫にしウイルスの侵入を防ぐ為にビタミンを含む緑黄色野菜、また、細胞のの代謝、DNA/タンパク質の合成の為の必須アミノ酸の生成に必要な亜鉛等のミネラルを含む牡蠣、あわび、タラバガニ、豚レバー、牛肉、卵、チーズ、納豆、ナッツ、アーモンド、抹茶、煮干し、ココア等を取ること。                      腸内環境を整え免疫細胞を活性化する為に納豆・みそ・ヨーグルトなどの発酵食品、植物繊維が豊富な海藻・キノコ類を取ること。                   ★適度な運動                                 血行やリンパの流れを促進し、免疫細胞のはたらきを活発化さえる為にウオーキング、ジョギング等の有酸素運動を無理せず継続的に行うこと。             ★質の良い睡眠                                睡眠中には、疲労回復や細胞の修復、免疫機能の強化に不可欠な成長ホルモンが分泌されるので、7時間程度の良質な睡眠をとること。                  ★ストレスの管理                                好きな音楽を聴く、散歩する、笑う、適温の風呂にゆっくり入る等によりストレスの解消に努めストレスによる免疫量の低下を防ぐこと。                 ★体温を適切に維持すること。                          適温のお風呂に入ること、冷暖房を適切に使用すること、服装を適切に着ること、によって体温を適切に維持し、免疫細胞の活動を低下させないこと。          ★腸内環境を整えること                            上記の活動を行うことによって腸内環境が整えられ、腸内の免疫細胞が活性化します。  

★うがい、手洗い、口腔内の清潔の実施                         細菌、ウイルスの侵入を防ぐ為に役立ちます。

文責:高橋 昭浩(当法人職員、健康管理士上級指導員)               参考書類:「ほすぴ」日本成人病予防協会発行)、その他公開情報

健康の話

   体内に異物を侵入させない身体の仕組み

私たちの身体には、外部から細菌、ウィルス等の異物の侵入を防ぐための三つの防御層が設けられています。

★一つ目は、皮膚です。下記の種類があります。

・身体の全体を覆う皮膚
・鼻、のど、目、肛門、尿道口のうすい粘膜
・足の裏・手のひらのような硬い皮膚
これら皮膚はそれぞれの役割を有する皮膚細胞が集まって創られており、
・細胞同士が密着し外部からの侵入を困難にしています。
・更に、粘液を発出し、細菌、ウィルスを囲い込み侵入を防ぐとともに保温、保湿、及び免疫細胞への情報伝達を行っています。例えば、

サラサラ:口の中の汚れを洗い落とす粘液、よだれ、なみだ等
ねばねば:皮膚の保温、乾燥を防ぎ、異物の親友を防ぐ粘液、鼻水
べたべた:足裏の尾後、粘液便
ぬるぬる:気管支,食道の粘膜の保護、異物の侵入排除、

・また、織毛(気管支)、線毛(のど)、鼻毛をはやして、粘膜の保護、及び粘液に囲い込まれた細菌、ウィルス、それらを付着した埃の侵入をブロックし、外へ送り出す働きをしています。

★二つ目は、皮膚を突破した細菌、ウィルスを迎え撃つのは、生まれつき体に備わっている免疫細胞(自然免疫)です。侵入した細菌、ウィルスの約6割を攻撃して、排除すると言われています。

★三つ目は、特定の病原菌、ウィルスのために培養したワクチンを予防接種して、自然免疫に特定の免疫機能をつけたり、免疫機能を強化することによって(獲得免疫),侵入きた特定の細菌、ウィルスを攻撃し、排除します。

★上記の三つの防御層を突破した細菌、ウィルスにより発病が診断された場合、治療により対応します。細菌については抗生物質による治療を行い、抗生物質が効かないウィルスについては、抗炎症薬、抗ウィルス薬、中和交代薬を適切に投与し、水分管理、栄養管理を行い自然観察を行う、重症化する場合は、人工呼吸、ECM(エクモ)を行う。結果として、命が失われることもあります。

上記の体の仕組みを理解すると、以下の行為が体の仕組みを如何に助けるかがお分かりいただけると思います。
手洗い、うがいによって細菌、ウィルスを洗い落とすこと、入浴またはシャワーにより体を清潔に保つこと
計画される予防注射の接種を必ず受けること
例えば、風邪をひきそうになったり、伝染病にかかりそうになったら、適切な治療を遅滞なく受けること。

文責:高橋 昭浩(当法人職員、健康管理士上級指導員)
参照資料:「ほすぴ」(日本成人病協会 発行)、その他公開情報


健康の話 

身体がだるい、疲れた! どうして? どすればいい?

皆様は、時々、「だるい、しんどい、疲れた」と感ずることがあり、”なぜだろうか、どうすれば良くなるだろうか”と思うことがありますが、下記をご参考にしていただき日常生活において対応して頂きたく思います。

.「だるい、しんどい、疲れた」と感ずる原因は何だろうか?

(1) 頭や気を使い精神的ストレスが重なった時                      (2) 運動や労働で肉体的ストレスが重なった時                      (3)自律神経の乱れた時                                          (4)体に病的な異常がある時

これ等の原因によって、「だるい、しんどい、疲れた」と感じ「やる気の欠如、発熱、痛み」が現れる場合があります。「やる気の欠如、発熱、痛み」は「三大生体アラーム(警告)と言われています。                        

 詳しく説明しますと、

(1) 精神的ストレスの場合、頭や気を使う仕事を行うと、集中や計画、意思決定、洞察、判断、想起などを担う脳の前頭葉「前頭前野」の脳細胞が活発に働きますが、その為のエネルギーは、細胞内の小器官である「ミトコンドリア」がヘモグロビンの運んでくる酸素を介して行う脂質、糖質の代謝(燃焼)によって、産出されます。同時に、この産出の過程で酸素の約2%が活性酸素(通常より活発化した酸素)になります。その一部は免疫性の向上に役立ちますが、過剰な「活性酸素」は細胞を傷つけます。体内には、過剰な活性酸素の発生抑制・除去を行う「酵素」や「抗酸化物質」による抗酸化防御システムが備わっていますが、過剰に活性酸素が産出されますと防御システムが追い付かず、脳細胞が傷ついたままになり、その状況を察知した免疫細胞が炎症反応を起こします。  この炎症反応が脳細胞内で起きると、症状が脳に伝達され、「だるい、しんどい、疲れた」と感じ倦怠感、 意欲低下が現れます。

(2) 肉体的ストレスの場合、上記の精神的ストレスの場合と同様に、過度な運動・労働を行うと、筋肉細胞内の「ミトコンドリア」はその為のエネルギーを産出すると同  時に活性酸素を過剰に産出し、その活性酸素により炎症反応が起こり、筋肉に発熱や筋肉痛が発生し、この症状が脳に伝達され、倦怠感、意欲低下が現れます。

(3) 自律神経、即ち、活動を担う交感神経、休息・リラックスを担う副交感神経を構成する神経細胞に、過度な四季の変化、温度・気圧・湿度の変化、生活環境の過度な変化により、過度な負荷がかると自律神経をコントロールする脳細胞は大量のエネルギーを必要とし、その為の「エネルギー」を「ミトコンドリア」は酸素を使用して脂質、糖質を燃焼し産出すると同時に、過度な「活性酸素」を派生します。その「活性酸素」は  細胞内に炎症症状を発生させ、その症状が脳に伝達され、倦怠感、意欲低下が現れます。

(4) 体に病的異常を感ずる場合は、内臓等の疾病(内臓等の細胞の異変)があったり、菌やウイルスの感染による免疫細胞の活動によって発熱、痛み等を感じ倦怠感、意欲低下が現れます。この場合は、遅滞なく病院に行き内科治療等を受けることが必要です。

以上から、(4)の病気にかかった場合を除き、「だるい、しんどい、疲れた」と感じ倦怠感、意欲低下が現れるのは、脳あるいは筋肉を構成する細胞内で「ミトコンドリア」がエネルギーを産出する過程で発生する過剰な「活性酸素」によって炎症反応が起こることが原因であるとお分かり頂けたと思います。

尚、この「活性酸素」は、下記の外的原因によって増えることに留意して下さい。

・赤外線
・農薬
・大気汚染
・電磁波
・タバコ
・アルコール

                                                                                                                 2.では、どうすれば細胞内での「活性酸素」による炎症反応を防ぐことが出来るだろうか?

1) 細胞内の「ミトコンドリア」が酸素と脂質、糖質によりエネルギーを産出する活動を活性化し、副産物である「活性酸素」の派生を少なくすること。
2)「酵素」や「抗酸化物質」は「活性酸素」の発生抑制・除去に役立つので、食事により積極的にこれ等を摂取すること。
3)外的原因については、日常生活において回避・減少・取り止めることに努めること。

以下に解説します。

1)「ミトコンドリア」を活性化させるのは「コインザムQ10」と言う栄養素で、それは体内で合成されますが、食事で補うことが必要です。それを含む食品は、イワシ・ハマチ等青魚の刺身、豚肉、牛肉、卵、オリーブオイル、ブロッコリー等です。 ただ、これらの食品を、ビタミンやミネラルを含む食品、即ち、野菜・果物やカキ、豚レバー、牛赤身肉、小麦胚芽、ナッツ、タケノコ、卵等、と一緒に取ることによって「コインザムQ10」の吸収が促進され、「ミトコンドリア」がより活性化しますので、食べ合わせについても常に留意すべきです。


2)「酵素」はたんぱく質の一種で、「活性酸素」と反応し消化、吸収、代謝、排せつを促進する役割を担っています。言い換えれば、「酵素」は「活性酸素」を減らすことに役立っています。「酵素」は体内でも産出されますが、不十分なので食事で摂取する必要があります。「酵素」を含む食品は、新鮮な野菜・果物、及び納豆・味噌、ヨーグルト、バッター、チーズ、キムチ等の発酵食品が主なものです。
また、「活性酸素」を取り除き酸化を抑える「抗酸化物質」を多く含む食品としては、ブドウ(アントシアニン)、大豆(イソフラボン)、ゴマ(リグナン)、トマト(リコピン)、スイカ(リコピン)等です。 従って、これ等食品も計画的に摂取するように努めるべきです。


3)外的原因については、日常生活において注意して避けたり、減らしたり、取り止めたりすることによって、不要に「活性酸素」を増やさないようにすることが出来ます。
2019年3月6日付「健康の話」で、健康は “体の最小単位である「細胞」が喜ぶ生活をすること” であると申し上げましたが、今回の説明を通じて、“「細胞」が喜ぶ生活”とは、“「細胞」の活動のエネルギーの供給を担う「ミトコンドリア」が喜ぶ生活”、即ち、“「ミトコンドリア」が活性化する生活”、と言い換えることが出来るとお気付きのことと存じます。

まとめますと、下記のようになります。

1)先ず、「細胞が喜ぶ生活」、即ち、「ミトコンドリアが活性化する生活」の為には、毎日取る食事が最も大事であることです。従って、食品の栄養を良く知った上で、料理を工夫し、計画的に、バランス良く食べることに努めることです、同時に、食品の食べ合わせについても留意することです。

2)次に、「やる気の欠如、発熱、痛み」がある時は、休息すること、また、体に病的異常があるときは、病院へ行くこと。

3)合わせて、「ミトコンドリア」を活性化する日常の生活態度として、規則的な生活、適度な運動、十分な睡眠を行うことに努めること。

最後に、「三大生体アラーム(やる気の欠如、発熱、痛み)」について正しく理解し、日常生活においてそれを生かし、適切に対応することによって、より豊かな生活を送られるよう願っています。

文 責:高橋 昭浩 当法人職員(健康管理士上級指導員)                        参考書類:「ほすぴ」日本成人病予防協会発行 、その他公開情報

  

     

健康の話  自律神経について

既に掲載した「健康の話 細胞について」で、健康の基本は、“自分自身が、身体を形成している最小単位である「細胞」が喜ぶ生活をすることである”旨説明しましたが、今回の「健康の話 自律神経について」では、その生活に大きく影響を与える”自律神経、即ち、交感神経と副交感神経”について説明します。

人間には生命を維持するために、即ち、「細胞」が喜ぶ生活をするために必要な基本的身体条件(健康診断検査項目の正常な数値、自律神経の正常なバランス、各器官の正常な働き等)がもともと身体に備わっています。そして、その身体条件を変えるような気象条件、生活環境が発生すると、交感神経(体の機能を興奮モードにする)と副交感神経(体の機能を鎮静モードにする)、が頻繁に切替わりバランスを取り正常な身体条件を保つように働きます。それによって「細胞」が喜ぶ生活が保たれ、生命が維持されています。

しかし、気象条件、生活環境の変化が頻繁に発生することによって、交感神経と副交感神経が過度に切替わるようなことがあると、バランスが乱れ、いらいら、不眠、内臓機能の低下、消化機能の低下、食欲不振、免疫機能の低下等により、身体のだるさ等身体の不調を感ずるとともに風邪、インフルエンザに掛かり易くなります。

そこで、四季おりおりの気象条件、生活環境の変化を理解し、それら変化に対する交感神経と副交感神経の作用と身体への影響を理解し、適切な対策(予防、軽減、そして乱れを安定させる対策)を講ずることによって、年間を通して安定した健全な生活を維持することが可能になります。

以下にその内容を解説します。

【1】自律神経、即ち、交感神経と副交感神経

興奮モードを担い、主に日中にもともと優位となる交感神経と、鎮静モードを担い、主に夜にもともと優位となる副交感神経は、日々の気象条件、生活環境の変化に対応して頻繁に切替わりバランスを取り自動調整して、基本的身体条件を守っています。

しかし、両神経がバランスを乱し、調整機能を失ったりすると基本的身体条件に変動をきたし、身体の不調を感じたり、発病したりすることになります。

気象条件、生活環境の変化に伴う交感神経と副交感神経の各器官への作用をまとめると下記の通りです。

自律神経
器官
交感神経副交感神経
(気分)緊張、興奮リラックス
血管収縮させる拡張させる
血圧上げる下げる
汗・
鳥肌
汗を分泌し体温を下げる(暑い時など)鳥肌を立てて熱の放出を防ぐ(寒い時など)
心臓脈拍を早くする脈拍をゆっくりする
気管広げる狭くする
胃腸働きを抑える活発にする
呼吸早くする遅くする
排便・
排尿
抑制する促進する
消化消化液の分泌を抑え、抑制する消化液の分泌を高め、促進する
瞳孔拡大し、涙の分泌を抑制する収縮し、涙の分泌を促す
唾液量を少なくする量を多くする

【2】季節の気象、生活環境の変化、及び変化に伴う自律神経の作用と身体への影響

春は3月~5月の期間を言い、「春分の日」頃から冬のきびしい寒さが終わり、だんだん温かくなり、桜が咲き、草花が芽生え、身体も心も軽くなるような爽やかな季節であると言われていますが、実は、気温の寒暖差、気圧の変動、及び生活環境の変化が頻繁に発生し、交感神経と副交感神経の切替えが頻繁に行われ、バランスが乱れ安い時節と言えます。 (1)初春は「3寒4温」と言うように高気圧によりポカポカ暖かい日になると思えば、一転して低気圧により寒い日になり、その後、いわゆる「春一番」により急に気温が上昇したり、「春の嵐」と呼ばれるように、強い雨が降ったり、強い風が吹いたりします。このようにこの時期は気温・気圧の変化が頻繁に起こります。 かかる気温・気圧の頻繁な変化に対応して、両神経の切替えが頻繁に続くため、調整機能のバランスが乱れ易くなり、体の不調を感じ易くなります。 (2)5月になると高気圧が張り出してきて温かく澄み渡った青空になり、からっとした「五月晴れ」が多くなります。この時期は副交感神経が優位となりリラックス状態が続き、体調もよく、ゆったりした気分になります。 ただ、この頃から冬の夜長が短くなり、朝明けが早くなり、「春眠暁を覚えず」と言うように 寝不足を感ずる日が多くなり、それがストレスとなって交感神経が必要以上に高まり、結果として体調不良を感じ易くなります。 (3)また、3月の年度末には、卒業、入学、入社、異動、転勤という生活環境の変化が多くな り、人との接触が増え、喜怒哀楽の感情の起伏も多くなり、交感神経と副交感神経の切替えが頻繁になり、バランスが乱れ易くなり、体調を崩し易くなります。
         夏は6月~8月の期間を言い、じめじめした梅雨期が終わると、高温、高湿度の太平洋高気圧が張り出し、気温が急速に上昇し、蒸し暑い猛夏が到来します。 冷房の効いた快適な室内と猛暑の屋外を頻繁に出入りする生活が続くとともに冷房の効いた室内に1日中のほとんどを過ごすことが多くなります。 頻繁な出入りにより両神経が頻繁に切替わることによってバランスを乱し易くなり、また、涼しい快適な室内に長く滞在することによって両神経の体温調節機能が緩慢になり、内臓機能の低下により身体の不調を感ずるととも、免疫機能の低下により夏風邪、インフルエンザを発病し易くなります。 更に、高温で湿度が高い日は、熱が体中こもり「熱中症」を発症し易くなります。 また、夏の風物詩である花火大会、盆踊り、夏祭り等に加え、海水浴、山登り等の野外活動が活発になり、喜怒哀楽の感情によって交感神経が必要以上に刺激されます。そして、夕方になっても収まらず、夜に優位であるべき副交感神経より優位の状態が続くと両神経の調整バランスが乱れ、身体の不調を感ずるとともに、夏風邪、インフルエンザを発病し易くなります。
             秋は9月~11月の期間を言い、「女心と秋の空」の諺のように、初秋は、晴れと雨を繰り返す変わり易い天候が続き、時には「秋の長雨」となります。また、9~10月に伊勢湾台風のような大きな「秋台風」が到来しますが、それが過ぎると、すがすがしい、「小春日和」、「秋晴れ」が続き、「天高く馬肥ゆる秋」、「実りの秋」、「食欲の秋」が到来します。台風の時期を除けば、秋は気温、気圧、湿度ともに安定した日々が多く、旅行などの外出、「秋祭り」等生活環境がざわつくこともありますが楽しさが勝り、気分の良い日々が続き、交感神経と副交感神経がバランス良く働き、一年中で最も自律神経が安定する時節となります。 ただ、11月になると、「秋冷え」となり、「木枯らし」が吹き始めます。寒さが身に染みる日々が続くと、交感神経が働き、血管を収縮させ、血流を抑え体温が奪われないように働き、夜になっても副交感神経を上回る場合は、両神経のバランスが崩れ、体調の不調を感じ易くなります。
冬は12月~2月の期間を言い、1年で最も寒さが厳しくなる季節です。屋外は寒いが屋内は暖房で温かく、頻繁な出入りによって、両神経の切替えが頻繁に行われ、バランスを乱し易くなります。また、クリスマス、年末・新年を迎え生活環境がざわつくとともに飲み過ぎ、食べ過ぎによって消化機能が乱れや易くなります、また、人混みの中に滞在する機会も多くなり、交感神経が強く働き、両神経のバランスが乱れ易くなります。それらによって、不眠を引き起こし、身体の不調を感じ易くなるとともに風邪やインフルエンザに掛かり易くなります。

【3】自律神経のバランスの乱れを予防し、軽減し、乱れを安定させる対策

春、夏、秋、冬いずれの季節においても、気温・気圧・湿度の高低の変化が発生しますが、その変化が頻繁に起こると自律神経(交感神経と副交感神経)の作用が乱れ、いらいらしたり、不眠になって、内臓機能が低下、消化機能の低下、食欲の減少を引き起し、その結果エネルギーが減少し身体がだるくなったり、疲労感を強く生ずるとともに抵抗力が低下し風邪やインフレンザに掛かり易くなることについては、既に、ご説明した通りです。   そこで、お気付きのことと存じますが、「四季を通じて発生する交感神経と副交感神経の乱れをいかにして防ぐか、軽減するか、また、乱れを安定させるか、適切に対策を講ずること」が重要なポイントであると言うことがお分かりのことと存じます。   重要なポイントとなる主な対策をまとめると下記の通りですが、体験からもそれほど難しいことではなく、容易に行うことが可能と思われますので、出来る範囲で早速始めていただきたく存じます。                (1)3食を必ず取ること。  
朝食:洋食、和食いづれでも結構ですが、ただ、量は軽めが望ましい。  
昼食:洋食、和食いづれでも結構ですが、しっかり食べたほうが良い。尚、発酵食品(例えば、ヨーグルト、納豆)、及び野菜をメニューに加えること。
夜食:好きな食べ物で消化の良いものを食べ過ぎないように取ること。食後、白湯を一杯飲むこと。尚、食後、お茶などの飲み物を飲む習慣の方は、お茶碗、グラスに1~2杯程度とし、頻尿を避けるためにも飲み過ぎないようにすること。 
(2)寝る前に、ゆっくりお風呂に入ること  
日中には気象条件、生活環境の変化によって交感神経と副交感神経の作用に乱れを生ずることが多いので、寝る1~2時間前に湯温38℃~40℃のお風呂に、10分~15分間ゆったりした気分で、半身浴すること(半身浴では物足らない方は、どっぷりつからず、せいぜい肩が出る程度までつかることをお勧めします)。入浴直後に、グラス1杯の水を飲むこと。 これによって、乱れていた両神経のバランス機能が戻るとともに、夜には優位となる副交感神経が正常な状態になります。
(3)睡眠を十分に取ること。
入浴後、20分~30分程度ゆっくり休み、体温が下がる前に布団に入ること。副交感神経が優位となり体温が下がり始め眠くなります。最低3時間の熟睡を含め6時間の睡眠を取るのが望ましい。寝付かれない場合や途中目が覚めた場合には、布団の中にそのまま横になって眠くなるのを待つこと、その間音楽を聴いたり、ラジオを聴いてもよいし、読書が良い方はそれでもよいが、睡眠を誘うような難解なものが良い。
(4)5,000歩~8,000歩のウオーキングを行うこと(高齢者は1万歩を超えないようにすること)。毎日が望ましいが、週2~3日でもよい。  周りの景色を眺めながら、きれいな花があれば美しさを感じながら普通の速度で、若干大股で歩くように努めること。ただし、靴はウオ-キング用のものを購入し履くこと。
(5)腹式呼吸を行うこと、そして身体の右側を下にして寝ること。  
布団に入った時、3秒程を掛けて鼻または口から腹を膨らませながら空気を吸い込み、そのまま3秒ほど息を止めて、6秒ほどかけて腹をへこませながら空気を吐くこと、5回程度行うこと。 これによって、副交感神経が活発化し、睡眠に入り易くなる。 また、その後、身体の右側を下にして寝ることによって、呼吸がし易くなり、熟睡し易くなる。
(6)時間を見つけて、下記事項を行うように努めること。  
好きなことを行うこと(好物を食べる・のむ、好きな映画・TVを見る)、笑うこと(落語を聞く、笑えるTVを見る)。公園などでボーとすること。気の合う人と会話すること。冷たいものや甘いものを取り過ぎないこと。長く室内で過ごす場合は、ときどき窓を開けること。座りっぱなしが続く場合、時々立つ・歩く・ストレッチを行い身体を動かすこと。  
                 
文  責 :高橋 昭浩(当法人職員)  健康管理士上級指導員
参考資料:・「ほすぴ成人病予防対策協会発行 ・その他公開情報                    

「細胞力」について

前回は、健康を保つためには、体の最小単位である約60兆個の❝細胞❞が喜ぶ日常生活を行うことであり、6つの生活条件について説明しました。

今回は、人の「生命力」の基本となる「細胞力」の育て方について説明します。

1個の細胞は、卵子と精子の出会いにより生成され、それが増殖・代謝を続けて、無数の種類の生成物(血液、筋肉、骨、脳、免疫細胞体、ホルモン等の人体の全ての部位)になり人体を形作っています。言い換えれば、細胞は人の生命の営みの最小の場であるからには、その場によい環境を与えることによって、細胞がその機能を高めたり、調整する力を発揮できるようになります。

では、「細胞力」が育つ環境・条件を創り出すにはどうすればよいか説明します。

① バランスのよい食事をとること
細胞が、常に生き生きと働くためには、そのエネルギーとなる炭水化物・脂質・タンパク質、そして代謝を促すビタミン・ミネラルを、まんべんなく食事によって摂取することです。
役立つ情報:
・三食の食事をきちっと取ること。
・ごはん、みそ汁、卵、牛乳(牛乳が不得意な方は、カスピ海ヨーグルト)、野     菜を、三食の中で必ず取ること。また、時々、肉を食すこと。
② ナトリュウムとカリュウムのバランスを整えること  
細胞が、正常に機能するためには、細胞内外でナトリュウムとカリュウムのイオンバランスが保たれていることが必要です。
役立つ情報:
日本人は、ナトリュウムを多く含む塩分の過剰摂取によって、イオンバランスが崩れやすい傾向にありますので、減塩の工夫をする必要があります。また、日本人はカリュウムの摂取量が少ない傾向にありますので、積極的に摂取するように努めることです。
・カリュウムを含む果物や生野菜等の摂取に努めること。生野菜はそのままなかなか食べにくいと感ずる場合は、オリーブ油を使用しフライパンで軽く炒めたり、蒸し器で蒸す等料理を工夫することによってボリュウムを小さくして食べることです。野菜ジュースでも構いませんが、せっかくの植物繊維が細かく切断されてしまうところがあります。野菜の植物繊維は、ナトリュウムを付着し便として排出し、塩分の調整に役立つ面もあります。
・みそ汁、おかずは、出しや薬味、香辛料を使い、塩分の使用を控えること。
③ 不飽和脂肪酸を摂取すること
細胞が分裂増殖するときに活性酸素が発生します、また、過度な運動、ストレス等によっても発生しますが、過剰になると細胞膜を酸化し細胞の活性力を減少させます。この酸化の進行を抑えるのが不飽和脂肪酸です。
役立つ情報:
・豚肉、オリーブ油、ゴマ(セサミン)、赤ワイン(ポリフェノール)などを計画的に工夫し、摂取すること。
・DHA、EPA を含む鯖、イワシ等の青魚を食べること。
④ 活性酸素を除去すること
細胞が発生する活性酸素から細胞を守る抗酸化作用のあるビタミンA・C.・Eの摂取、あるいは活性酸素を無害化する酵素を活性化する有酸素運動を行うことです。尚、過激・過度な運動は、有酸素運動にならないので注意すること
役立つ情報:
・イモ類、カボチャ等の野菜、レバー、ウナギ、鮭、アボガドロ等を適切に摂取すること。
・ウォーキング(毎日又は一日おきに5,000歩~7,000歩)を行うこと、尚、身体状態によっては、散歩から開始し、楽しみながら徐々に歩数を上げてゆくこと。無理はしないこと。また、TV、ラジオで放送している15分の体操を毎日続けるのも有効です。
⑤ NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させること  
役立つ情報:
・笑いの溢れた生活、良質な睡眠、規則正しい生活が有効ですので、生活方法・環境を工夫すること。
・タバコなどの嗜好品や発がん物質として疑われている化学物質を、できるだけ取り入れないよう注意すること。
・栄養バランスよい食事や抗酸化効果の高い発酵食品、良質の乳酸菌をとること。 ・恒常的に身体を冷やす環境、食べ物、飲み物を避けること。また、適温のお風呂に10分~15分ゆったり入ることも有効です。

 以上、いろいろ説明致しましたが、絶えず留意して努力することが、健康につながることを認識してください。